第7回市民公開講座 質疑応答:講演1

講演1:前立腺肥大症と前立腺がんはどう違うの?

前立腺肥大症で薬物療法をはじめた場合、一生続けなければならないのでしょうか。

前立腺肥大症の重症度によって異なります。中等症以下の場合は、季節によってお薬が不要になることもあります。また、お薬を続けても症状が改善しない場合には、手術がお勧めとなりますが、術後には一般的に前立腺肥大症治療薬は不要となります。

前立腺がんは進行が緩やかだと、高齢になったら治療しなくてもいいケースがあるのか。
また、腫瘍マーカー(PSA)が高くなるのは、がんの可能性以外にありますか。

75歳以上の方でがんの悪性度(顔つき)が比較的良い場合、がんの容積が少ないと予測できる場合などは、何も治療をしないで経過観察をお勧めすることがあります。腫瘍マーカー(PSA)が高くなるのは、前立腺がんだけでなく、前立腺肥大症でもそうです。一過性に上昇する場合には、前立腺の炎症や射精後などがあります。

肛門を収縮させる運動は、影響がありますか。

前立腺がんの根治術後に、おなかに力を入れると尿が漏れる腹圧性尿失禁という状態になることがありますが、これは外尿道括約筋という尿道を締め付ける筋肉が弱まるためです。外尿道括約筋はお尻の穴を占める作用のある肛門括約筋とつながっていますので、肛門括約筋を強く収縮させる運動をすることによって外尿道括約筋の力が強まり、腹圧性尿失禁が改善します。

年に1回、血清PSAを測定しており、毎年少しずつ上昇して、現在4程度になっています。
これはどのように理解すればよいでしょうか。

一般に、加齢とともにPSA 値は上昇しますが、4.0を越えると前立腺がんの疑いが強くなります。年齢とPSAの値にもよりますが、前立腺生検をお勧めします。

前立腺がんになると精液の作成機能はどうなるのですか。

前立腺がんの初期には、変わりはありませんが、進行して前立腺の多くをがんが占めるようになると、精液産生能力は落ちます。

毎年PSAが上昇しています。尿の回数は1日18回ぐらい(うち夜間は2回)で、放尿時少ししみる感じがします。この場合、がんの疑いが濃厚かどうか教えてください。(現在治療中の病院では経過観察でよいとのことです)

一般に、加齢とともにPSA 値は上昇します。また、前立腺肥大症が大きくなってきても、PSA値は上昇しますが、4.0を越えると前立腺がんの疑いが強くなります。年齢とPSAの値にもよりますが、80歳未満であれば前立腺生検をお勧めします。主治医の先生とよくご相談ください。

前立腺肥大症の治療法(薬物療法)で、薬の副作用はどの程度あるのでしょうか。

第一選択の薬物は、交感神経系α1受容体遮断薬(αブロッカー)と抗男性ホルモン薬です。前者は即効性があり、内服してから数日で効き目が出ます。また、血清PSA 値には影響しませんので、前立腺がんの診断には影響が出ません。しかし前立腺肥大症を根治するお薬ではありませんので継続して内服する必要があり、いつ中止して良いかの基準がありません。副作用には、立ちくらみ、射精障害などがありあますが、一般に軽度です。
後者は、3か月間以上内服しないと、前立腺が縮小しませんので、即効性はありませんが、前立腺を縮小させる、つまり根治性があるお薬です。ただし、血清PSA値を下げますので、かならずPSA の値を定期的に調べていく必要があります。副作用には、男性機能障害があります。

レーザー治療法があると聞いていますが、治る確率は何%くらいなのでしょうか。

普通の内視鏡手術と同じで、尿が出にくい方では術後の排尿状態の改善が可能です。ただし、夜間トイレに起きて困るといった症状には、効き目はありません。

前立腺肥大症になった場合、治らないと言われましたが、今回治療法はあると書いてありました。完治するのでしょうか。

薬物療法、手術療法があります。手術の中心は内視鏡手術であり、高周波電気メスを使った従来法以外に、レーザーを使った手術もあります。まず最初にお薬による治療を行い、これでも症状が改善せずにお困りの場合には、手術をお勧めすることになります。手術によって、尿の勢いは良くなりますが、それ以外の症状、たとえば夜間トイレに起きて困るといった症状は、改善しない場合もあります。その場合も、別な治療法はあります。