第7回市民公開講座 質疑応答:講演3

講演3:放射線、放射能と体

前立腺がん放射線治療IMRTで、放射線腸炎、放射線膀胱炎になりました。放射線障害が起きてしまうと、もう一生治らないのでしょうか。良い治療法は他にはないでしょうか。

放射線治療の合併症でお困りとのこと、ご心配のことと存じます。
放射線治療を受けられた場合、放射線治療期間中に起こるような合併症と、数カ月から数年後に発症する合併症があります。前立腺に接して膀胱、直腸があり、前立腺の内部を尿道が通過しています。このため膀胱、直腸、尿道にある程度の放射線が照射されてしまいます。IMRTは前立腺に線量を集中させることができる技術で、高線量が照射される膀胱、直腸の体積を小さくすることができます。したがって、これらの臓器の合併症の頻度は従来の治療法からみると少なくなりました。しかしながら、ある一定の頻度で合併症が発生することは避けることができません。治療中に起こる合併症は、治療終了後長くても1か月程度で自然に治ります。時間がたってから発症した合併症は短期間では治癒しません。
時間がたってから発症する放射線膀胱炎、放射線直腸炎の症状としてはどちらも出血が主なもので、膀胱や尿道では尿の回数が増加したり、尿が出にくかったりすることもあります。軽度の場合は無治療でもやがて徐々に改善します。治療が必要な場合でも、徐々に改善していくことが多いようです。
治療法は色々試みられています。直腸炎では痔疾薬を用い、出血が多い場合には大腸内視鏡下にレーザーで出血点を治療する方法が行われます。はっきりした作用機序はわからないのですが、直腸炎、膀胱炎に高圧酸素療法といって高気圧にした酸素のタンク内に1時間程度入る治療を用いることもあります。

放射線が甲状腺に影響を及ぼす旨報道されていますが、すでに甲状腺腫瘍やがん(特に小児)の摘出手術を受けた者が特に注意することは何でしょうか。

放射性同位元素は私たちの体の中や周りに自然に存在しています。また宇宙から放射線が降ってきています。今回の原発での事故が起こる前でも、日本に生活するだけで1年間に2~3ミリシーベルトの放射線を被ばくしています。現在報道されている線量は、この線量にもなりませんので、とくに注意されることはありません。

除染術とは具体的にどんなものですか。

除染とは、ある一定の量以上の放射性同位元素が体についた場合(汚染といいます)にそれを洗い流すことをいいます。通常の生活では、除染が必要な汚染は起こりません。
今回の原発事故でも、避難地域から避難された方々の極一部で除染が必要になりました。除染といっても特別のことをするわけではありません。汚染された衣服を脱ぎ、シャワーで全身を普通のシャンプーや石鹸で洗い流していただければ十分です。
たとえば原発事業所の中で作業して高度汚染が生じれば、特殊な注意が必要ですが、一般の方々には不必要かと思います。

もし被ばくの可能性がある場合、どんな機関で除染術は可能ですか。

本格的な除染が必要になるような高濃度汚染を生じる可能性はきわめて特殊な状況以外ありませんので、ご自宅のシャワーで洗っていただければよろしいかと思います。なお高濃度汚染が生ずる可能性のある施設には除染設備が設置されています。

1年半前に密封小線源治療(brachytherapy)を行いました。この放射線照射分と福島第1原発の放射能被ばくとどういう関係にありますか。つまり一般人よりも放射能の許容量がもう既にあまりないか否かお教え下さい。

密封小線源治療を受けられ、今回の原発事故の放射能の問題もあって、放射線の健康への影響についてご心配のことと存じます。
さて、被ばくには許容量というものはありません。テレビや新聞に出ている年間1ミリシーベルトという線量は、正式には実効線量限度と呼ばれるものです。これは、人工放射線を産業に用いたり、病気の診断や治療などを行ったり、研究をおこなう上で、これらの業務に無関係な一般のかたがたの被ばく線量を抑えるために決められた線量です。これに基づいて施設の設計や、不要になった放射性同位元素の廃棄基準などの取り扱いが決められています。人工放射線を取り扱う者やそれを指導する行政はこの線量を厳密に守らなくてはなりません。
なお、別の項目でも書きましたが、自然に存在する放射能で年間2から3ミリシーベルトの被ばくを日本人はしています。
一方、医療での被ばくには線量限度が決められていません。それは、放射線を用いることによって得られる利益が、被ばくにともなう不利益よりはるかに大きいからです。密封小線源治療では病気の周辺に極めて大線量の放射線(たとえば前立腺がんでは145グレイ(145シーベルト)程度)が照射されます。シーベルトは少ない線量を被ばくした場合に、将来起こるかもしれない障害(とくに発がん)を扱う場合に用いる単位ですので、本当は正しくない使い方ですが、前立腺には少なくても145000ミリシーベルト被ばくされたことになります。まず局所に関して言えば、さらに1ミリシーベルト被ばくしても誤差の範囲にしかなりませんので、気にされる心配はありません。全身については、短期間に100ミリシーベルト程度以上の被ばくで発がんの報告があるようですが、それ以下では報告はないようです。放射線治療では、はるかに大きい線量の被ばくをされていますので発がんの頻度が上がる可能性はありますが、この治療を受けられる患者様の年齢を考えると、その頻度は無視できるほど小さいと思われます。以上から、「一般人よりも放射能の許容量がもう既にあまりないのか」とご心配される必要はありませんのでご安心ください

がん治療に密封小線源治療(brachytherapy)をした後には、前立腺の精液作成はどうなるのですか。

1. SEED後に無精液を生じる確率は25%との報告があります。
2. 大半の症例で精液量減少の訴えが報告されています。
3. 5-6年の経過で、ごく少量の漿液性のものを排出するようになるというのが多いようです。
4. 排出量についての詳細な記述は、検索した限りでは見当たりませんでした。
5. 精液産生の工場が破壊されるため、必然の結果ではあります。
6. 精嚢の末端に一部産生能が残存するため、少量はできるとされています。
7. 射精管が閉塞するため排出不能となるということも言われています。

がん治療に密封小線源治療(brachytherapy)をした後には、前立腺の精液作成はどうなるのですか。

1. SEED後に無精液を生じる確率は25%との報告があります。
2. 大半の症例で精液量減少の訴えが報告されています。
3. 5-6年の経過で、ごく少量の漿液性のものを排出するようになるというのが多いようです。
4. 排出量についての詳細な記述は、検索した限りでは見当たりませんでした。
5. 精液産生の工場が破壊されるため、必然の結果ではあります。
6. 精嚢の末端に一部産生能が残存するため、少量はできるとされています。
7. 射精管が閉塞するため排出不能となるということも言われています。