第14回市民公開講座 質疑応答:講演1

講演1:新しい抗がん剤、分子標的薬剤のはなし

がんの病態についての質問

がんになった時、転移しやすい場所はどこでしょうか。

それぞれのがんにより転移を起こしやすい場所は異なりますが、主な転移部位は肝、肺、リンパ節、骨、脳などが挙げられます。

転移のしくみについて知りたいです。また、原発ではない別の部位に発生するものは、なぜその場所に転移が起こるのか知りたいです。

転移には、肺や肝臓などの臓器に起きる血行性転移、リンパ節に起きるリンパ行性転移、腹膜や胸膜に起きる播種などがあります。例えば腹部にある消化器の場合、血液は門脈という血管を通って肝臓に流れていくため、肝臓に転移が起きやすくなります。肝臓を通らない場合、血液は心臓に戻ってから肺に流れていくため、肺転移が起きやすくなります。現在、転移を起こしやすいがん細胞の遺伝子の特徴などを調べる研究も精力的に行われています。

がん細胞は脳にも転移しますか。がん細胞の様に大きな分子がなぜ脳に到達することが出来るのでしょうか。

脳にもがん細胞は転移します。肺がんは脳転移を起こしやすい代表的ながんの一つです。転移に関する研究は現在盛んに行なわれておりますが、最近はがん細胞は周りの細胞との接着する力が弱くなるとともに周囲に浸潤を起こして血管内にも顔を出し、血行性に転移するためと考えられています。

遺伝性でないのに、がんになるのはどうしてでしょうか。

がんは遺伝子の異常によって引き起こされます。
両親から遺伝子の異常を引き継いでいなくても(遺伝していなくても)、タバコや紫外線、様々な理由で遺伝子は傷つくため発がんする可能性があるからです。"

自分は胃がん、右肺がん、左肺がん、と4年おきくらいに手術していますが、今回、遺伝子に異常はないと言われました。今後、再発、転移した場合も遺伝子は変わらないのでしょうか。今までは全部原発性と言われています。

質問された方の「遺伝子に変異などの異常はない」の意味ですが、がん細胞を調べたのか、正常細胞を調べたのかで意味が異なりますので、補足して説明します。
正常細胞を調べた時に遺伝子異常が見つかった場合は「胚細胞変異」といいます。胚細胞変異は両親のどちらかから引き継いでいる遺伝子の異常が考えられるので、そこに異常があると体を構成しているすべての細胞に変異があることになるので、他のがんにもなりやすい可能性があります。さまざまながんに関係する胚細胞変異は分かってきていますが、まだ全容は明らかになっていないので、その場合の遺伝子に異常はないの意味は、がんを引き起こす代表的な遺伝子に異常はないとの意味かと思います。
一方、がん細胞だけで遺伝子異常が見つかった場合は「体細胞変異」といいます。がん細胞は変異が起きやすいので、転移や再発した時に新たに遺伝子の異常が入る場合はありますが、もともとあった変異が、次に出てきた病変から消えるという事はあまりありません。つまり一つの目印になるので、これまでご病気された胃がん、肺がんに共通する遺伝子異常が見られなければ、肺で見られた腫瘍は再発ではなく、原発の可能性が高いと思います。"

がん細胞で見つけられた遺伝子の異常が消える可能性はありますか。また、一度調べるだけで良いのか不安です。

がんは遺伝子の異常が蓄積しやすい病気です。最初に遺伝子の異常が観察されていた場合、その異常が消えることはほとんどありませんので、複数回調べる必要はないと思います。一方、最初に遺伝子に異常がなくても、病気の進展とともに異常が見つかる可能性はあります。ただ、そのような異常はもともとがんを引き起こすために重要な異常ではなかったものや、それまで使用していた薬剤に対する耐性を示す異常の可能性もあります。

 がんの予防についての質問

早期がんを診断する際、遺伝子検査でがんか否かの判断は出来ますか。

遺伝子検査は、病理検査(顕微鏡で観察)でがんの診断がついた後、そのがんがどのような特徴を持っているかを調べる追加の検査で行なわれるため、現段階ではがんの早期診断のためには用いられません。

がん細胞のどこに遺伝子の異常があるのかを調べるためには、当該がん細胞が必要なのでしょうか。或いは血液検査だけで判定出来るのでしょうか。
腫瘍マーカーや採血による遺伝子解析によって何のがんか特定出来るようになるのですか?

がん細胞の遺伝子異常を調べるためには、やはりがん細胞を用いて調べる必要があります。がん細胞が崩壊して、そのDNAが一部血液内に流れ出すこともわかっているため、がん細胞で認められた遺伝子異常を目印に採血検体内に流れ出した遺伝子が混在していないか調べる試みは研究としては行なわれてきていますが、現在の技術では血液検査だけで判明していないがんの存在を言い当てることはできません。
腫瘍マーカーも前立腺癌で使われるPSAのような感度が高いものもありますが、一般的には腫瘍マーカーや遺伝子の異常だけで、何のがんか特定することは難しいです。"

患者さん個人個人に合った分子標的薬剤を選ぶために、遺伝子検査などに要する時間はどれくらいですか。
がんの個別化診断は、どれ位の時間、日数が掛かるのでしょうか。
がん遺伝子の検査はどのようにやるのですか。また費用はどれくらいでしょうか。
薬が効くかどうかの検査は、保険の範囲で実施できますか。

患者さん個人に合った薬剤を選択するためには、手術などから得たがん標本からがん細胞を取りだしDNAを抽出して配列を確認する遺伝子検査や、同じくがん標本を使って分子標的薬剤が標的としている蛋白質が大量に発現しているかを調べる免疫染色検査などの検査が必要です。検査手技や医療機関の事情によって検査にかかる時間は様々と思いますが、多くの場合1,2週間以内には結果が揃うと思います。
薬が効くかどうかについてすでに明らかとなっている遺伝子検査の場合は、費用は保険の範囲で実施され、悪性腫瘍に関する遺伝子検査は3割負担の患者さんの場合、1回当たり6,000円程度になります。"

がんの治療についての質問
 1.術前・術後補助化学療法についての質問

抗がん剤治療後、腫瘍部位が縮小した場合の摘出手術の可能性について教えてほしい。

手術の前に化学療法を行うことを術前補助化学療法と呼びますが、これは目に見えないような微小な転移をたたいて手術後の再発を防止するとともに、腫瘍を縮小させることで大きく切らないで済むようにする縮小手術目的を可能とするために行われます。抗がん剤に対する感受性が高い乳がんにおいては、手術の後に化学療法を行う術後補助化学療法と並び、広く行われるようになってきました。
ただ、乳がん以外では術前補助化学療法はあまり一般的なやり方とはいえず、抗がん剤に対する感受性が低いがんでは、治療に反応しないでかえって増大する可能性もありますので、治療開始時点で手術が可能な状態であるかどうか主治医の先生からしっかり説明を受けて慎重に検討する必要があります。"

手術後に予防目的で服用する抗がん剤は、摘出したがんのタイプで決まるのでしょうか。

手術後に再発を予防する目的で抗がん剤を使用することを術後補助化学療法といいます。肺がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がん他、様々ながん種で術後補助化学療法を行うことで再発率が低下することがわかっており、実際に推奨されております。ただし、手術をしたときの病気の進行程度によっても変わってきますので、主治医の先生に自分のがんの進行度(ステージといいます)が何であったか確認も必要です。

手術後の治療を終えてから、転移しない為に気をつける事はありますか。
小児がんになった子供がいるのですが、転移しない方法はありますか。

残念ながら100%完全に転移を防げる確実な方法は確立されておりません。ただし上記に書いたように、がん種によっては、その進行度に応じて、術後補助化学療法や放射線治療により再発のリスクが下がることも報告されています。詳細については主治医の先生とも相談してみてください。

 2.抗がん剤、分子標的薬剤についての質問

抗がん剤を使用したことにより、新たな病気にかかる又は、死に至らしめることはあるのでしょうか。

抗がん剤は一般的な薬剤と比べて副作用が出やすい特徴があります。多くの副作用(吐き気、食欲不振、白血球減少、脱毛など)は一過性であり短期に改善しますが、いくつかの副作用(たとえば間質性肺炎、心機能障害、末梢神経障害など)は長く残り、それらに対する治療が必要になるものもあります。また生命の危機に関わるような副作用(発熱性好中球減少症、間質性肺炎、動脈血栓症、消化管穿孔など)が起きる可能性もあります。また長い期間を経て、別のがんを引き起こすこと(二次発がんといいます)もあります。
抗がん剤は体格や腎機能などから適切な投与量が管理されていますが、そのような管理のもとでも、副作用は少なからずありますので、その抗がん剤を行なうことで得られる効果と副作用について主治医から十分説明を受ける必要があります。"

分化度によって、抗がん剤の効果に違いはありますか。

一般的には低分化型がんは増殖能力が強い傾向にあります。従来からの抗がん剤は増殖スピードの違いを生かして取られてきた薬剤ですので、増殖能力が強いがん細胞で抗がん剤の効果が高いので、効果にも差が見られる事があります。

高齢(80歳以上)の場合にも分子標的薬剤の治療は受けられるのでしょうか。高齢者に使用する場合の注意点を教えてください。

大変お元気なお年寄りも増えていらしていますので、年齢だけの基準で治療可能、不可能を判断することはできません。ただ、高齢者の場合種々の合併症を持っているケースがありますので注意は必要と考えます(高血圧、脳梗塞、糖尿病など)。例えば血管新生阻害剤という分子標的薬剤は、副作用として高血圧や頻度は低いものの脳梗塞を引き起こすものもあります。
さらに、治療は期待される効果と副作用のバランスを考慮して行なわれますので、治療前に主治医の先生と十分相談する必要があります。"

現在使用可能な分子標的薬剤治療が出来るがんの種類と、今後の見通しを主なものだけでも教えてほしい。

血液がん(白血病、リンパ腫、骨髄腫)、脳腫瘍、頭頚部がん、肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がん、肝臓がん、腎がん、卵巣がん、甲状腺がん、悪性黒色腫(皮膚がんの一種)、軟部肉腫など、数多くの悪性腫瘍ですでに分子標的薬剤は使用されています。
ただ、例えば同じ肺がんの診断でも、組織型や遺伝子の異常の有無により使える薬剤、使えない薬剤があることをご理解ください。講演でもお話ししましたが、1997年に初めて分子標的薬剤が登場してから今まで(2014年8月現在)に全世界で使えるようになった分子標的薬剤は55種類に登り、現在も新しい標的分子に対する薬剤の開発も進められています。"

分子標的薬剤には副作用が無いのに、他の抗がん剤で副作用がでてしまったので、母は治療を中断してしまいました。分子標的薬剤は、他の抗がん剤と併用した方がよいのでしょうか。

まず分子標的薬剤の中にも副作用が強く表れるものがあるものもあることにご注意ください。一般的には分子標的薬剤でも、内服薬では副作用が強く、単剤で使うケースが多いです。一方、分子標的薬剤でも、注射薬の場合は、その多くが抗体薬と呼ばれる薬剤であり、内服の分子標的薬と比べると特異性が高いこと(他の分子にあまり影響しないため、副作用が少ない事も期待される)から、他の抗がん剤との併用でも使えるケースが多いです。
また、分子標的薬剤の中でもほかの抗がん剤と併用でなければ有効でないものと(例えば大腸がんにおけるベバシズマブ

一般に腎臓が悪いと、強い薬を服用できないことがありますが、分子標的薬についても、腎臓への負担、影響はありますか。やはり、腎臓機能の数値で投与できない場合もあるのでしょうか。

薬は体に入ってがん細胞を叩いた後、そのままの形あるいは体内で代謝(分解など)されて体の外に排泄されます。ですから尿を作り出す腎臓の機能が悪いと、薬剤の排泄がうまくいかず、副作用の観点からもあまりよくない薬もあります。問題はお使いになる薬がどのように代謝される薬剤なのか、また尿から排泄される薬剤なのか、肝臓を経由して便となって排出される薬剤なのかに関わってきます。またある種の血管新生阻害剤は、尿に蛋白が混ざる副作用もあります。このように使う薬剤によっては腎機能が悪いと使いにくい薬剤もありますので、治療前に主治医の先生と十分相談しましょう。

家族が抗がん剤を、複数組み合わせて10年程、治療を続けているのですが、最近抗がん剤に対して耐性化してきて効きにくくなっているとの話が先生からあったようです。本人は大変なショックを受けています。組み合わせを変えれば解決するのでしょうか。

抗がん剤に対する抵抗性(耐性)が生じた時、今まで使ってきた薬剤を一部残し他の抗がん剤との組み合わせを変えるやり方はあまり一般的ではありません。しかし、組み合わせを変えて引き続き使用しても有効な薬剤も一部報告されています(乳がんに対するトラスツズマブ

  3.がんの種類別の質問

肺がん治療でゲフィチニブ(商品名イレッサ)を使用する前に遺伝子検査で効果の程を調べるそうですが、その確率は高いのでしょうか。

ゲフィチニブ(商品名)イレッサはEGFR遺伝子に特定の異常があるか調べ、異常がある場合は高い確率で効果が期待されますが、異常がなければ効果はほとんど期待できません。

非小細胞肺腺がんでEGFR異常の場合とALK異常の場合に使う、分子標的薬剤の名称を教えて下さい。(遺伝子検査は陽性と言われている。)
肺がん(腺がん)への分子標的薬剤はどれくらいありますか。また薬剤の費用はどの範囲ですか。

EGFR遺伝子異常の際に使用する薬剤はゲフィチニブ(商品名イレッサ)、エルロチニブ(商品名タルセバ)、アファチニブ(商品名ジオトリフ)、ALK異常の場合に使用する薬剤はクリゾチニブ(商品名ザーコリ)、アレクチニブ(商品名アレセンサ)などがあります。非小細胞肺腺がんでEGFR遺伝子やALK遺伝子に異常がない場合に使う分子標的薬剤にはベバシズマブ(商品名アバスチン)が挙げられます。費用はいずれも高額であり、高額療養費制度の条件を満たす金額になる事が予想されます。高額療養費制度の申請窓口は加入の保険者(健康保険組合、協会けんぽ(全国健康保険協会)、共済組合、国民健康保険など)によって異なりますので、保険証に記載されている保険者にお問い合わせください。

EGFR変異の肺がんです。昨年7月からゲフィチニブ(商品名イレッサ)の治療を受けていますが、効きが悪くなってきました。これからどのような治療をすれば良いのでしょうか。
ゲフィチニブ(商品名イレッサ)の治療中ですが、効き目が少し弱くなってきました。ゲフィチニブと他の薬との併用はどういう効果が期待できますか。

ゲフィチニブ(商品名イレッサ)の効果が落ちるメカニズムについていくつかの原因が報告されていますが、それに対する有効な手立てについてはいまだ検証中のものが多いです。ゲフィチニブの効果が落ちた時は、同じEGFR遺伝子異常を標的としていますが、ゲフィチニブより効果的にEGFRの機能を抑えるエルロチニブ(商品名タルセバ)やアファチニブ(商品名ジオトリフ)に変更する、あるいは一般的な抗がん剤に切り替える方法が現在取られているやり方になります。また、一般的な抗がん剤に切り替える際に、ゲフィチニブを中止するとフレアと呼ばれる一時的に腫瘍が増大する事が見られるという報告もあるので、抗がん剤とゲフィチニブを併用して使う施設もありますが、耐性のメカニズムが完全に明らかになっていない現状、その是非についても意見が分かれています。

昨年5月末に食道がん(腺がん)がみつかり、摘出手術のほか、放射線と抗がん剤治療を受けています。しかし、腎機能が悪化した為、追加的な抗がん剤は難しいとのことです。まだ微小ながん細胞が残っているということですが、そういった場合は分子標的薬剤による治療が受けられますか。

残念ながら食道がんでは有効な分子標的薬剤はまだ見つかっておりません。現在腎機能があまりよくないとのことですので、食道がん患者に使用することが保険適応上認められている薬剤でかつ腎機能にあまり影響を受けない抗がん剤であるタキサン系薬剤が選択肢になるかもしれません。主治医の先生ともその使用の是非についてご相談してみてください。

今年膵臓がんで、80歳の男性友人と70歳後半の義妹が亡くなりました。病気が判明してから、1年以内でした。診断が難しいのでしょうが、余りに早い進行で、残念でなりません。現在の膵臓がんの診断と治療の状況を教えてください。

ご友人と義理の妹さんを亡くされたこと心よりお悔やみ申し上げます。
膵臓は胃の裏側にあるため観察しづらく病気の早期発見は難しい癌の一つです。症状が見られたときには進行しているケースが多いため、日ごろの定期検診はとても重要です。
膵がんの治療は手術が基本ですが、転移や浸潤をしていると抗がん剤が選択肢となります。しかし、実は抗がん剤が効きにくい代表的ながんでもあります。
ただ最近、大腸がんでも使用している一般的な抗がん剤を組み合わせたFOLFIRINOX療法や、がん組織に薬剤が届きやすくなるような工夫が施されたnab-パクリタキセル(商品名アブラキサン)とゲムシタビンを組み合わせた治療法が有効であることが報告され、日本でも使えるようになりました。"

膵臓がんに対しての分子標的薬剤は、現在あるのでしょうか。

これまで膵がんでも多くの分子標的薬剤の開発が試みられてきましたが、残念ながらほとんどがあまりよい成績を上げる事ができず、現在は唯一エルロチニブ(商品名タルセバ)という薬剤だけが使用できる状況です。しかし有効というデータは確かにあるのですが、副作用や費用の面も考慮すると、あまり一般的には用いられていないのが現状であり、むしろ上記に挙げた抗がん剤治療(FOLFIRINOX療法やnab-パクリタキセルとゲムシタビン併用療法)のほうが期待されています。今後の開発にも期待したいところです。

現在乳がんでHer2 (3+)のため、FEC療法後、トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)を投与中です。今現在自分に効いているかどうかは判らないのでしょうか。

もし質問されている方が術前化学療法として治療を受けておられるのであれば触診でもわかるかもしれません。またその他の手段としては、講演でも少し触れましたが、腫瘍マーカーの推移が目安になるときもあります。

その他

処方された抗がん剤が適切であるか、患者が判断する方法はありますか。

一つにはセカンドオピニオン(他の医師の意見を聞くこと)を求める方法があります。またいくつかのがん種では患者さん用のガイドラインも出版されていますので確認することができます。

1度調べたバイオマーカーの結果は、他院に入院した場合でも、その病院の医師はわかりますか。

他院で遺伝子検査や免疫染色検査などがまだ行なわれていない、あるいは検査結果に疑義がある場合、他院から手術検体を取り寄せて、再度検査をすることもあるかもしれませんが、基本的には検査結果がきちんと伝達されていれば再検する必要はないと思います。

新しい抗がん剤は保険適用がありますか。

どの抗がん剤を指すかわかりませんので一概にはお答えできませんが、すでに保険適応となっている分子標的薬剤は数多くあります。ただ、海外の報告で他のがん種でも有効であるとする報告があっても、日本ではそのがん種に対しては保険適応が通っていないものもあります。詳細は主治医にも確認してみてください。

がんになった時、どんな病院を選ぶと良いでしょうか。
分子標的薬剤は、どれくらいの規模の医療機関で施行されていますか。
希望すれば、どこの病院でも分子標的薬剤の治療は受けられるのでしょうか。

全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるよう、現在、全国にがん診療連携拠点病院407箇所、特定領域がん診療連携拠点病院1箇所、地域がん診療病院1箇所が指定されています。お住まいに近いがん診療連携拠点病院の情報は下記ホームページも参照してください(がん情報サービスホームページより)
http://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/xpKyotenSearchTop.xsp
新規の一部の分子標的薬剤はがん薬物療法専門医がいるところでしか受けられないものもありますが、通常の分子標的薬剤はがん診療連携拠点病院規模の病院で受けることは可能と思います(順天堂医院は東京都の地域がん診療連携拠点病院に指定されていますし、がん薬物療法専門医も在籍しております)。"

分子標的薬剤は、幹細胞にも効きますか。

がん幹細胞とはがん細胞のおおもとのような存在で、がんの根治が難しいのは、がん幹細胞を完全に排除できないため、という考え方が最近出てきています。がん幹細胞は普通のがん細胞と性質が少し異なっており、通常の抗がん剤などに対して抵抗性であると考えられています。現在ある分子標的薬ががん幹細胞に対して効果があるのか否か、臨床的に確かめられてはいませんが、逆にがん幹細胞で活発化しているシグナル(ヘッジホッグシグナルを標的とした薬剤など)を標的とした分子標的薬剤の開発も期待されています。