第15回市民公開講座 質疑応答:講演2

講演2:がん患者さんの栄養と食事

なまもの(刺身、生野菜、果物)は食べても構わないのでしょうか。

抗がん剤治療等で免疫力が低下している場合は、担当医から「生物を避けるように」という指示が出る場合があります。その場合は、食べないようにしましょう。

入院中、外来時に栄養士さんに相談したい場合、どのようにしたら良いのでしょうか。

入院中は、病棟スタッフへご相談下さい。ベッドサイドでの相談、または栄養相談室での個別相談(予約制)で対応いたします。
外来時は、担当医へご相談ください。栄養相談室での個別相談(予約制)で対応いたします。

がんと糖尿病のある人の栄養と食事について詳しく教えてください。

消化吸収に問題がなければ、基本的には糖尿病の食事療法を行ってください。
ただし、治療中などで極端に食欲が低下し、食事摂取できない場合は、低栄養にならないよう食べられる物優先で食べましょう。

栄養補助食品は、どこで購入できますか。

通信販売や薬局などで購入可能です。

自分は栄養吸収が悪いのですが、少量頻回食の回数上限はありますか。胃が休まらないと良くないという話も聞きますがいかがでしょうか。

回数については、何回がよいとは言えませんが、胃切除後などで頻回食をされる場合は、5~6回食にすることが多いです。
ダラダラと一日中食べ続けるのではなく、ある程度時間を決めて、食べるようにしましょう。

がん治療中ですが、体重が増えて、中性脂肪、コレステロールが高くなり困っています。食事療法でこれらを下げる良い方法はありますか。

体重は、標準体重に近づけるようにしましょう。
摂取エネルギーは活動量にもよりますが、標準体重あたり25~30kcal程度を目安にし、適度な運動も取り入れましょう。
肥満が改善すると、中性脂肪やコレステロールの値は改善する場合が多いです。
また、糖質(主食、果物、菓子類など)の過剰摂取で中性脂肪が上がることがありますので、摂取量には注意しましょう。
コレステロールについては、食事のみでは改善が難しい場合もありますが、たんぱく源を肉類よりも魚や大豆製品中心にし、動物性脂肪よりも植物油を使用するようにしましょう。

乳製品は、乳がんの発がん性と関係がありますか。

乳製品(特に脂肪を多く含むもの)を多く摂取する人は、乳がんのリスクを高めるという報告はありますが、具体的な量などは不明です。

以前は青汁ジュースを作って毎日飲んでいましたが、血栓が出来、ワーファリンを服用することになりました。納豆、クロレラ、ブロッコリー等の制約がありますが、青汁は飲んでも大丈夫でしょうか。

ワーファリンは、ビタミンKによって効果が減弱します。
ワーファリンを内服している方は、ビタミンKが多く含まれている納豆、クロレラ、青汁は摂取しないようにしましょう。

抗がん剤使用時の副作用である嘔吐感は、二日酔いの何倍もの辛さと聞いた。そのような状態が続く中、どのようなものを食べさせてあげれば良いのか。具体的な料理名を教えてほしい。

患者さんによって食べられる物は異なりますが、口当たりがよいもの、冷たくてさっぱりしたもの(冷麺、冷奴、卵豆腐、サラダ、酢の物、シャーベット、ゼリー、プリン、ジュース、果物など)を好まれる方が多いです。
温かい料理は臭いを感じやすく、吐気を誘発する場合があります。
肉料理・魚料理も臭いが鼻について食べられないという方が多いです。
揚げ物など、油の多い料理は、消化に時間がかかるため、胃部不快感が続く場合がありますので、吐気が強い場合は、控える方がよいでしょう。

境界型糖尿病、高脂血症があり、簡易栄養評価法で得点10点の栄養不良でした。自分としては栄養不良とは感じていませんが、今後どのような食事、栄養を心がければよいのでしょうか。

日常生活を送っていて、疲れやすい、力が出ない、などがなく、食事がきちんと食べられていれば、それほど心配する必要はありません。
栄養評価では、体重が1つの目安になりますので、定期的に体重減少がないかどうか確認してみましょう。

体重を増やしたいと思い、魚主体、野菜多めの食事をしており、快食、快便です。3回食事すると3回お通じがあり、体重がなかなか増えません。栄養は取れているのでしょうか。

1日3回の排便は問題ありません。下痢ではなければ、問題ないと思います。

上部消化器を摘出手術したので、5回食にしている。血糖値が高い(ヘモグロビンA1c 6.5)のですが、中間食(15時と17時)には何を食べたら良いでしょうか。

菓子類やジュースなど糖分の多い飲料のみという間食は控えましょう。
脂質制限がなければ、乳製品(牛乳や無糖ヨーグルト)などと一緒にビスケットやカステラなどを食べることをお勧めします。
また、朝昼夕の食事も主食中心の食事ではなく、たんぱく質や脂質を適度に含んだ食事にして、血糖値が上がり過ぎないようにしましょう。

がん悪液質という言葉を初めて聞いた。これは、がん細胞から分泌されるものなのでしょうか。

がん悪液質とは、病状の進行に伴い、栄養療法では改善することが難しい筋肉量の減少が見られる進行性の栄養不良症候群のことです。筋肉量の減量の他、脂肪量の減少、食欲不振、体重減少などが見られ、活動量やQOL(生活の質)を低下させる状態です。

栄養補助食品の味が気に入らない(甘すぎる、味が強く感じる等)場合の対処法はありますか。

製品にもよりますが、牛乳で割ったり、凍らせて食べるのも1つの方法です。
最近は、甘くないタイプのものもありますので、試してみてください。

今後暑くなってくるので、腎疾患、糖尿病のない患者の水分の取り方を教えてほしい。

一度にまとめて飲むのではなく、1日の中でこまめに摂るようにしましょう。
のどが渇いたと感じる前に水分を摂ることが大切です。
就寝の前後、スポーツの前後・途中、入浴の前後に水分を摂ることが重要とされています。
アルコールやカフェインを多く含む飲料は、利尿作用があるため、水分補給としては適しませんので、注意しましょう。

食道がんで手術をして3年経過した。胃にもリンパ節転移していて手術で食道の一部を取り、胃半分で胃管を作成して噴門部を除去したため寝るときに胃液が出る時がある。これは一生続くのでしょうか。

逆流を防ぐためには、寝る前に食べない、油っぽいものは控える、上半身を20°程度高くして寝る、などの対処法があります。
あまりにも症状がひどい場合は、担当医にご相談ください。

肝臓がんで2回開腹手術をした。C型肝炎からの肝がんで、鉄が悪さをするということで瀉血術をした。食事を作るのに、鉄を少なくするとの兼ね合いがわかりません。どのような食品をさけ、どのようなメニューにすれば良いでしょうか。

鉄制限食では1日の鉄摂取量を6mg以下にします。
主に控えた方がよい食品は、下記の通りです。

*肉類、レバー
*青魚、赤身の魚、貝類
*卵黄
*ほうれん草や小松菜など色の濃い野菜
*大豆製品(豆腐・高野豆腐など)・豆類
*ひじきなどの海藻類
この中でも、吸収率のよいヘム鉄を含む動物性食品(肉や魚など)は特に過剰摂取にならないよう注意しましょう。
一方、吸収率の悪い非ヘム鉄を含む植物性食品(野菜・大豆製品・海藻類)は極端に制限しなくても構いません。
また、鉄の吸収率を上げるものはビタミンC、吸収率を下げるものは緑茶・紅茶・コーヒーです。ビタミンCを多く含む果物などは食事の時は避け、逆に緑茶や紅茶などは積極的に摂取しましょう。