第16回市民公開講座 質疑応答:講演2

講演2:「がんのリハビリテーション」~がん治療と生活を支援するリハビリの現状とこれから~

手術で神経を切ってしまうことに対するリハビリテーションの必要性を術前に詳しく説明していただくことは可能でしょうか。

当院の現状では、手術前にリハビリテーションを実施しているのは呼吸器疾患など術後合併症発症のリスクが高い患者さんに限定されていますので、リハビリテーション医や療法士からご説明することは難しい状況です。手術による神経への影響やリハビリテーションの必要性については、手術を行う診療科の医師に聞いていただければと思います。

乳がん術後のリハビリに関して、順天堂のホームページ内で情報提供してもらうことは可能でしょうか。

乳腺科とリハビリテーション科・室で相談して、検討いたします。

リハビリを維持させて、やる気にさせる良い方法がありましたら教えてください。

ご本人のリハビリに対するやる気のなさを招いている要因を考えなければならないと思います。リハビリの対象となっている障害によって患者さんの心理も様々ですので、一概によい方法ということは言えませんが、生活における目標を立てられるとリハビリを行う動機付けになるのではと思います。

リハビリや介護の場において、機材(重さを軽減させる)やロボットを導入される予定はありますか。

現在、当院には体重免荷トレッドミル(歩行練習器具)と介護用リフト移乗器具があります。ロボット導入については、毎年福祉機器展や業者によるデモンストレーションを実施し、当院で活用できる機材であるかどうか検証しております。今のところ導入にはいたっておりませんが、検証と導入検討は継続していきます。

順天堂のリハビリテーション室には、何名の理学療法士がいますか。また、それぞれ専門分野(がん専門・呼吸器専門・心臓専門等々)をお持ちですか。

理学療法士は29名です。がんのリハビリテーション研修会を受講し、がん患者リハビリテーション料を算定できる理学療法士は8名おります。3学会合同呼吸療法認定士は1名。日本理学療法士協会認定内部疾患専門理学療法士は1名です。

リンパ浮腫予防のリハビリに関してですが、入院中にDVDを見せるのみではイメージがわかず加減もわかりません。入院中にセラピストの方から個々にあわせた指導をしていただけると助かります。

リンパ浮腫予防に対する指導をセラピストが実施することは、現在はできておりません。予防的リハビリテーションを実施できる人員体制にないことが原因であるため、体制整備を検討しております。

抗がん剤治療は、通院とお聞きしました。リハビリはどのように受けたら良いのでしょうか。

通院中にリハビリの対象となる障害があれば、担当医からリハビリテーション科に依頼があり、リハビリを実施するかどうかの検討がなされます。まずは主治医の先生に相談ください。

乳がんで全適したあとの腕のリハビリは、何か特別に行ったら良い運動はありますか。

手術の影響でわきの皮膚や筋肉が縮みがちとなり肩関節の可動性が不良となることがあるので、胸を拡げたり、腕を上げる運動が推奨されます。またリンパ浮腫の予防運動として、腕を挙上して手を握ったり開いたりの運動もよいでしょう。

胸に筋肉をつけるにはどうしたら良いですか。骨がゴツゴツ目立つので、脂肪と筋肉をつけるにはどうしたら良いですか。

500mlペットボトルを持っての筋力トレーニングやゴムチューブを使った筋力トレーニングが有効です。両肘を伸ばした"前にならえ"の姿勢から、胸を広げるように両腕を開いていき、またゆっくりと"前にならえ"の姿勢に腕を閉じる運動を5回1セットとして、1日に朝晩3セットずつ行うと効果的でしょう。重いものを持ち続けるとリンパ浮腫の原因となりますので、休息を入れながら行うことが大切です。休息するときは、ペットボトルを置いてください。

左乳房全摘出の手術後、左腕のリンパ浮腫になり、肩甲骨など肩の動きが悪い状態です。ジムに通いストレッチなどしておりますが、一般の人と比べて特に注意することはありますか。

重いものを持つことがリンパ浮腫を増悪させやすいので、左腕への負荷量に留意する必要があります。現在、リンパ浮腫の症状がある場合、リンパ浮腫ケアの専門看護師や理学療法士の指導を受けるべきかどうかを主治医の先生に相談してください。

抗がん剤開始後、どのタイミングにリハビリに励むことが良いのか、相談することは可能でしょうか。

抗がん剤治療中にリハビリが必要な症状や障害があるかどうか、主治医の先生にご相談ください。

病院あるいは医師によって、乳がん術後のリンパ浮腫に対する対応が違うのでしょうか。友人で厳しく指導及び注意を受けた方と、どんどん動かして好きなことをやって良いと言われ、スポーツ選手のような激しい運動をした結果、リンパ浮腫を招いてしまった方がいます。どう解釈すれば良いでしょうか。

乳がん術後のリンパ浮腫の予防として運動が推奨されていますが、患側の血流量が増えすぎるとリンパ液も増えるので、スポーツや家事動作での手術側上腕運動の負荷量や反復回数には留意が必要です。"運動推奨"と"負荷量留意"についての説明の比重が病院によって異なり、患者さんの受け取り方にも差異が生じたのではないかと思います。

同じ疾患で手術日も同じ2人(若年者と高齢者)がいました。若年者の方は、理学療法士指導のもとリハビリを行っていましたが、高齢者の方は一度もリハビリをすることはありませんでした。理学療法士指導のもとのリハビリテーション対象者を決定するうえで、年齢や疾患以外に決め手となるものはあるのでしょうか。

腋窩リンパ節郭清による合併症、術後放射線療法の副作用症状により、リハビリテーションの対象となる運動障害があれば、理学療法士によるリハビリテーションが検討されます。

乳がんにて乳房全切除後、神経の影響により、軽くふれるだけで片手の二の腕に痛みやしびれがあります。医師からは、神経を触っているため、神経が回復するまではしびれが残ると言われています。それを回復するための有効なリハビリ方法や運動はありますか。

残念ながら、しびれの改善に有効なリハビリ方法や運動は報告されていません。しかししびれがあるために運動することが減り、肩の可動性が低下することは報告されていますので、しびれがある間も可動性が低下しないように腕の運動を継続されることをお勧めします。

がん治療前の病気などが、治療中に悪化した場合、その病気の副作用で治療に取り組むことが難しくなることがあると思います。具体的には肺切除術後がん治療が始まり、化学療法をしたら呼吸が苦しくなってしまいました。リハビリを自分から希望することはできないのでしょうか。

リハビリテーションが効果的であるかどうかについて、主治医の先生に相談してみてください。