第18回市民公開講座 質疑応答:講演2

質問内容は、皆様にわかりやすいよう一部内容修正しています

講演2:がん療養生活を支える様々な仕組みを知ろう

症状が進むにつれ障害年金を申請するのが大変となります。急に状態が悪くなることもあるので事前に対応準備のアドバイスは受けられないのでしょうか。

障害年金は、原則として障害の原因となった傷病の初診日から1年6ヶ月が経過していることが条件となります。障害の状態によっては1年6ヶ月以内でも支給される場合もあります。障害年金の請求は、病気の経過や年金加入の状況などにより異なりますので、個別の状況でご相談いただくことが重要です。詳しくはお近くの年金事務所で確認すると良いでしょう。

仕事と治療の両立といっても給料は徐々にダウンしていくが、医療費はアップしていく。それに対応する助成案はないのでしょうか。

傷病手当金や高額療養費制度・障害年金などを組み合わせるという方法が現状の対応となっています。がん対策基本法の改正案では、企業に対してがん患者の雇用継続に配慮する努力義務を課すなどの内容が盛り込まれ、仕事を継続するサポート体制が少しずつできていくと思います。一方で新規抗がん剤など医療費への負担が高い現状は続いており、今後の課題と考えます。

身体の心配はもちろんですが、経済的問題が心配です。治療費は抗がん剤(内服など)などがあると毎月いくら位かかるのでしょうか(毎月限度額位は負担になるのか)。

抗がん剤の種類によって費用は異なります。しかし、抗がん剤治療を継続すると薬剤だけではなく検査なども含め、毎月の限度額までの支払いになる場合が多くあります。高額療養費の負担を軽減する仕組み「多数回該当」という制度もあります。
*「多数回該当」:直近の12ヶ月間に、既に3回以上高額療養費の支給を受けている場合(多数回該当の場合)には、その月の負担の上限額がさらに引き下がります。

先般入院時に介護保険の申請を強く勧められました。特に介護を必要とする状態ではなかったのに年齢・病気で勧められるものなのでしょうか。

がんの病状が進行すると、急速に日常生活に介助が必要になる場合があります。また、症状によっては福祉用具の使用が症状の予防となったり、自立した生活を維持することにも繋がりますので、あらかじめお勧めすることもあります。介助が必要になった段階から介護保険申請を行うと、認定が下りて介護保険のサービスを利用するまでに時間を要するため、医療者側は病状などから今後の予測をたて介護保険の申請を進める場合があります。ただし、介護保険認定が下りる前でも「介護認定が下りる見込み」で介護保険のサービスを使用できる場合もありますので、疑問に思われた際には個別に医師や看護師等にご相談ください。

地域のサポートを受けるために必要なことは何ですか。

介護保険申請可能な場合には介護保険の申請をしておくと、地域のサポートの導入がスムーズとなります。介護保険申請前でもお住まいの近くの「地域包括支援センター」での相談が可能です。

要介護認定の件ですが、64歳以下の方の場合「がん末期」の病名が必要になりますが、「余命」と言われなくても骨転移による痛みがあるような場合は「がん末期」に該当するのでしょうか(地域包括支援センターの職員で、余命を言われているようなケースはすぐ代行してさしあげられるのですが、「余命は聞かされていない」と言われると、とても迷ってしまいます)。

多くの患者さんは「余命」をはっきりと伝えられていないと思います。骨転移による痛みがある場合には「がん末期」として医師が主治医意見書を記載する場合が多くあります。お困りの事例があるようでしたら、順天堂医院通院中であればがん治療センターまで連絡をいただければお力になれるかもしれません。

介護保険の申請時期について質問です。今はなんとか自立しているが、必要な時にすぐ介護保険を使える状態にするためには、早期に手続きをした方が良いのでしょうか。それとも本当に困難な状況になってからの方が良いのでしょうか。

困難な状況になってからだと介護認定が下りてサービスを利用するまでに時間を要する場合があります。65歳以上でしたら、早めに介護申請しても良いと思います。早い段階の申請だと「要支援」になるかもしれませんが、一度介護申請をしていればその後状態が悪化したときに「区分変更」申請を行い介護度の変更が可能です。がんの場合は病状との兼ね合いが大きいので、介護保険申請するかどうか迷った際には看護師など医療者に是非ご談ください。

訪問看護では、どこまで医療的なサポートを受けられますか(例:人工呼吸器や医療機器が必要な場合など)。

訪問看護ステーションで人工呼吸器の対応も可能です。点滴など多くの医療処置にも対応できます。しかし、すべての訪問看護ステーションで対応可能なわけではありません。訪問看護ステーションにもそれぞれの得意分野がありますので、訪問看護ステーションを探す場合には医療者にご相談ください。

かかりつけ医がいるとどんな良いことがありますか。事例があったら教えてください。

かかりつけ医がいるメリットとしては、通院負担や待ち時間の負担を減らせるという点があります。また、総合的に診察し詳細を理解している医師が身近にいるのはがん治療をしていく上で力強い味方となり、ちょっとした体の症状や異変を相談しやすい存在となります。例えば、抗がん剤治療に外来通院中の患者さんが、吐き気があり食事摂取ができない時に、かかりつけ医で点滴を受けて体調が回復した、というようなケースがあります。

がん茶論の参加者は何名ですか。

月によっても差がありますが、8~15名前後です。

患者会には、家族だけで参加するケースはありますか。

家族だけの参加も可能です。

アピアランスケア講習会は順天堂に通院していなくても参加することはできますか。

順天堂医院に通院していない方でも参加可能です。

ソシオエステシャンとは何ですか。

ソシオエステティックとは、人道的・福祉的観点から精神的・肉体的・社会的な困難を抱えている人に対し、医療や 福祉の知識に基づいて行う総合的なエステティックです*。このエステティックの施術を行う専門職をソシオエステティシャンといいます。順天堂医院でアピアランスケア講習会を行っているソシオエステティシャンは、医療や福祉の知識を学んだ「CODES JAPON認定ソシオエステティシャン」です。具体的なケア内容としては、ハンドマッサージやメイクなどの実施や患者さん自身で行うケア方法のアドバイス等を行っています。
*日本ソシオエステティック協会HP (https://ajesthe.jp/socio/introduction.html)より引用

がん検診の種類の中に卵巣がんがないのはなぜでしょうか(特殊性があるからですか)。婦人科を受診し「卵巣がん」の検査をして欲しいと伝えれば良いのでしょうか。

卵巣がんは、早期発見に有効な検診方法が確立されておらず、一般的ながん検診の対象となっていません。卵巣がんは、自覚症状に乏しく「サイレントキラー」と称されており、自覚症状が出現して受診した際にはがんが進行している場合もあります。おなかが張り食事が入っていかない、下腹部の圧迫感がある、下腹部にしこりを触れる、膀胱が圧迫されて尿が近くなるなどの症状が持続する場合には婦人科受診をお勧めします。

食事療法で体重が減少してきたのですが、①減塩②砂糖不使用③四つ足動物は食べない(乳製品も禁止)。このような食事療法を勧めた方がよいのでしょうか(肺腺がんステージⅣの場合)。

食事とがん進行の関連は、はっきりとは明らかになっていません。無理な制限のある食事療法を行うよりも、食べられるものを食べられるときにとるようにするのが良いと思います。脂肪や塩分も、過度にとりすぎなければ食べても問題はないと思います。
*乳がん診断後に肥満になった患者さんでは、乳がん再発・死亡のリスクが高まると言われており、乳がん診断後の患者さんは肥満を避けるために適切なカロリーコントロールが必要となる場合があります。

がん相談支援センターの相談内容は、主治医と情報共有するのでしょうか(主治医に聞きづらい事は知られたくない。また反対に主治医に知って欲しいなど両方あると思います)。

原則として面談時に相談内容を主治医に伝えても良いか否かを相談者に確認します。相談内容に応じて主治医に伝えたほうがいいと医療者が判断した際には、医療者側から主治医に伝えても良いかどうかの確認を相談者に行います。

臨床心理士は何人いますか。予約の仕方はどのように行うのですか。

がん治療センター所属の臨床心理士は常勤男性心理士1名、非常勤女性心理士1名です。面談希望の場合は、がん治療センター(03-5802-8196)まで連絡をお願いします。

順天堂医院の相談支援センターの相談できる日時、一人当たりの相談時間を教えてください。

順天堂医院のがん相談支援センターは、平日は9時~17時、第2を除く土曜日は9時~13時、日曜祝日は休みです。1人当たりの相談時間は原則60分以内としています。がん治療センターHP(http://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/cancer/)もご参照ください。