第19回市民公開講座 質疑応答:講演2

質問内容は、皆様にわかりやすいよう一部内容修正しています

講演2:「実は身近な薬剤師!」~がん治療における薬剤師の役割~

調剤薬局や病院で薬剤師として働く上で、どのような時にやりがいを感じますか。薬剤師になってからも勉強する機会は多いのでしょうか

専門家として責任がありますので、毎日が勉強です。論文・書籍からの情報以外にも、例えば病院薬剤師会主催の勉強会や各種学会のセミナーなど、勉強の機会には恵まれています。どういうときにやりがいを感じるかはそれぞれの薬剤師によるかと思いますが、日々の研鑽が治療に役立った時は感慨深いです。

抗がん剤を使う回数を重ねると、治療のことを想像しただけで吐き気に襲われるなど、治療と直接関係しない不都合に悩まされる場合があります。克服する良い方法はありますか。

ご質問のような吐き気には抗不安薬が効果的である、との報告があります。また薬ではありませんが、患者さんによってはアロマテラピーで軽減する方もいらっしゃいます。個人差が大きいところですので、医療スタッフにご相談ください。

抗がん剤使用後、むくみ、体重増加が激しく一年経っても戻りません。時々心臓が苦しいのですが、検診時に医師に相談してもアドバイスがありません。どのように相談すれば良いのでしょうか。

浮腫(むくみ)や体重増加の原因は、がん、薬剤、心臓・腎臓・肝臓の機能など、多くが考えられます。原因によっては利尿剤など投与する場合もありますし、治療上避けられない場合もあります。アドバイスできることもあるので、がん治療センターでご相談なさるのも一つの手段だと思います。

薬剤師に相談できる方法を教えてください。

がん化学療法に関する内容でしたら、がん治療センターのメディカルスタッフ相談をご利用ください。予約が必要ですが、原則ご本人からの相談をお受けしております。
http://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/cancer/patient/method/comedical.html

副作用を決定するのはどのような状況で判断するのでしょうか。患者さんの自己申告または、医師からの指示なのでしょうか。

抗がん剤に限らず、副作用か否かを決定するのは大変難しいことです。まず「副作用疑い」ととらえ、薬効発現の機序や症状発現のタイミングから副作用ととらえても矛盾しないことや、被疑薬の使用を中止したのちに症状の改善がみられたことなどから副作用であると判断します。血液検査のように数値で現れる場合は、自覚症状として現れなくても基準値からの乖離の程度により判断されますが、患者さんからの訴えが重要な判断基準となる副作用もあります。気になる症状があればまずは医療スタッフにご相談ください。

無菌調製など医薬品の取り扱いについては、製薬会社からの情報提供で学ばれるのでしょうか。薬剤師同士の勉強会などもあるのでしょうか。

抗がん剤の無菌調製の手技そのものは薬剤師の職能として大学や、各病院で教育を受けます。時には研修を受け、より高度な知識の共有を図ることもあります。

免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体)は高額と聞いていますが取り扱いは大変ですか。どのような副作用がありますか。また、その対策についてどのような薬を患者さんに案内していますか。

薬剤師もコスト意識をもって仕事をしていますが、医薬品の取り扱い方法は価格よりも薬剤の性質(安定性・配合変化・保管に適した温度、暗所での保管が必要か否かなど)に依るところが大きいです。副作用は下痢や皮膚症状、急性の糖尿病の発症などが報告されています。免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体)は副作用が少ない一方、重篤な副作用の報告もありますので使用中に異常に気付いた場合は医療機関にご連絡ください。

かかりつけ薬剤師の制度があると伺いましたが、具体的にはどのような制度なのか教えてください。

かかりつけ薬剤師の制度は病院の薬剤師ではなく薬局の薬剤師を対象としています。かかりつけの薬局を決めておけば、複数の医療機関から処方された薬剤を一元管理することが可能になり、併用に問題のある薬剤が別々の病院から処方された場合に服用を回避できるなどの利点があります。かかりつけ薬剤師制度をわかりやすく説明する動画が日本薬剤師会ホームページで、公開されていますので(2017年7月現在)。ぜひご覧ください。
http://www.nichiyaku.or.jp/kokumin.php

調剤薬局の薬剤師と病院の薬剤師の違いを教えてください。

薬局勤務の薬剤師と病院勤務の薬剤師では勤めている場所が異なるばかりでなく、業務の内容も保険点数も異なります。薬局であれば複数の医療機関の院外処方せんを応需しますが、病院薬剤師は院内の処方を専門に扱います。病院薬剤師の重要な業務に入院患者さんの薬の管理や、注射剤の調剤・無菌調製がありますが、薬局は通院中の患者さんを対象とし、また一部を除き注射剤の扱いはありません。しかし、医薬品とそれに付随する情報を扱うという根幹は共通です。

インターネットや雑誌などを見ると多くの情報があふれています。健康食品等の情報も多いかと思いますが、どのように正しい情報を集めたら良いでしょうか。

基本的には金銭的な利益を生みだす契機となるような情報は、鵜呑みにしないことだと思います。また副作用の現れ方には個人差があるので、ブログなどに記載されている個人的な感想は参考程度にとどめた方がよろしいでしょう。真偽の判断に迷うような情報がありましたらご相談ください。

院内処方と院外処方の違いを教えてください。

院内処方は医師が院内処方せんを発行し、それをもとに院内の薬剤師が調剤します。一方、院外処方は医師が院外処方せんを発行し、患者さんはそれを保険薬局にもっていき、保険薬局で調剤します。院内と院外では調剤する薬剤が同一であっても薬剤料が異なる場合があります。また、一つの医療機関から同一の日に院内処方せんと院外処方せんの両方を発行してもらうことは原則出来ません。当院で院外処方を望まれる場合は主治医にご相談ください。

院内処方せんを持ち帰って、近隣の調剤薬局に依頼しても良いのでしょうか。

院内の処方せんを保険薬局にお持ちいただくことは出来ません。近隣の薬局のご利用を希望の方は、診察時に医師にご相談ください。

医、薬分離の意義はどう理解すれば良いのでしょうか。

医薬分業とは、薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師、薬剤師が分担して行うことを意味します。それにより医師は診療に専念し、薬剤師は複数の薬剤の併用の可否や患者さんのアレルギー情報など、薬剤の適正使用に不可欠な情報に注意しながら調剤に専念します。それにより薬の使用がより安全になります。

「お薬手帳」について、処方された薬は記載されていても市販薬を記載しないのは意味がないように思いますがいかがでしょうか。

「お薬手帳」は薬剤師だけが記載するものではなく、患者さんも自由に記載していただけます。ぜひ市販薬を使用した場合の記入、または医療機関受診に及んだ理由など書き添えて、ご自分の健康管理に活用ください。

今日の講演はドラッグストアの薬剤師にも当てはまることでしょうか。

講演会でもお断りしましたが、今回は病院薬剤師の業務で、がん薬物療法に関する業務に特化してお話ししました。そのため多岐に亘る薬剤師業務の中でもごく限られた範囲になっていることをご了承ください。そして、病院とドラッグストアでは取り扱う薬剤が異なるので自ずと共通の部分と異なる部分があります。例えば、ドラッグストアの薬剤師の重要な業務の一つに受診勧告があり、一般薬を購入しにきた方の症状によっては販売をお断りし、医療機関への受診をお勧めすることがあります。しかし、医療機関である病院の薬剤師は通常いたしません。