第20回市民公開講座 質疑応答:講演1
質問内容は、皆様にわかりやすいよう一部内容修正しています
講演1:「乳がん検診~自分にあった検診方法を見つけよう~」
- 健診で見つかった所見(良性)が、がん化する可能性・確率はどのくらいでしょうか。
超音波検診でよく指摘される良性のしこりの代表として、線維腺腫が挙げられます。線維腺腫内に乳がんが併存する報告はありますが、その頻度はとても低く、0.12-0.29%との報告があります。
- 増殖のタイミングで発見できない理由を教えてください。
画像検査を用いた検診では、ある程度がん細胞が増殖しないと画像で捉えきれません。急速な増殖スピードで増大する腫瘍では、検診のタイミングがずれると発見できないこともあります。
- 授乳期の乳がん検診は、何か症状があれば受けるべきでしょうか。
授乳期乳腺は、視触診や画像検査でも所見がわかりにくい傾向にあります。症状がなければ、授乳が終了し、乳腺の張りが落ち着いたタイミングでの検診受診をお勧めします。授乳期に限らず、しこりが触れるなどの自覚症状を認めるときは、検診の機会を待つことなく、速やかに乳腺疾患を専門とする診療科(乳腺外科等)を受診することが重要です。
- マンモグラフィーは、痛みが強いのでつらいです。今後何か別の方法に変わる可能性はありますか。
乳房専用PET検査(PEM)など新たな検査技術がありますが、まだ検診での検証データはありません。
- 検診受診率に任意型検診(会社の集団検診等)も含まれるのでしょうか。また、任意型検診のデータはあるのでしょうか。
厚生労働省の国民生活基礎調査に基づく検診受診率のデータでは、任意型検診受診数も含まれています。
- 乳がん検診は、何歳まで受けたほうが良いですか。また、毎年受けたほうが良いですか。
がん対策基本計画では、受診率対象の算定が 40~69 歳と設定されましたが、現状では市区町村により年齢の上限が異なります。今後高齢化社会に向け、検討が必要と考えます。また検診の頻度は、対策型検診では2年に1度の検診間隔が推奨されておりますが、以前の検診結果の内容によってはこの限りではありません。
- 質の高い検診の具体例を教えてください。
科学的根拠に基づいた検査法と精度管理が根底にありますが、画一的な検診でなく、年齢や家族歴など個々に応じた検査方法の選択が重要です(例えば、乳腺の濃度が高い(高濃度乳房)方に対するUS併用検診など)。
- 検診を行う医師によって、検診結果の違いはあるのでしょうか。
画像検査結果判定は通常精度管理委員会の認定を得られた医師により行われています。客観的に検診結果を評価できるよう、カテゴリー分類を用いて判定しています。
- 早期発見の定義を教えてください。受診してからどのくらい(期間)で見つかれば、早期と言えるのでしょうか。
乳がんの場合はステージ0期(非浸潤がん)とⅠ期を早期がんと定義します。0期は100%、Ⅰ期なら約90%の5-10年生存率が期待でき、早期発見が極めて重要とされます。
- 現在、対策型検診では、マンモグラフィーのみが原則となっていますが、超音波(US)を導入すべきだと思いますか。
日本における超音波併用乳がん検診の研究結果(JSTART)を考慮すると、年齢や背景乳腺濃度等によっては必要になるのではと考えています。