第24回市民公開講座 質疑応答:講演1

質問内容は、皆様にわかりやすいよう一部内容修正しています

講演1:「進化する膵臓がん治療 ~内視鏡治療から化学療法まで~」

膵臓がんが増えているとのお話でしたが、なぜ増加しているのでしょうか。最大の要因は何でしょうか。食生活が関係しているのでしょうか。食生活で気を付けることはありますか。食事療法や予防法も教えてください。

食事と膵臓がんの直接の関係を示す証拠はありませんが、膵臓がんが増えている原因としては食文化の欧米化と医療の進歩が考えられています。そのため食生活としてはファストフードなどの脂肪分の多い食事は避け、なるべく添加物の少ない食事を心がけるのが良いと思います。

赤みの肉をあまり食べないようにと繰り返しお話ししていましたが、「肉類を避けるように」ということでしょうか。「脂身を避けるように」とはよく言われていることだと思いますが、どのように理解したらよろしいでしょうか。

赤身肉と関係あるのは大腸がんであり膵臓がんでははっきりしていません。 今のところはなるべくバランスの良い食事をとるのが重要だと思います。

「赤身肉類を避けるように」とありますが、脂肪分の取りすぎが欧米化では問題視されていて、むしろ肉であれば、脂身より赤身肉は安全で、管理栄養士としては勧めていますが、これは膵臓がんにおいては危険という理解でよろしいでしょうか。また、なぜ赤身肉は危険なのでしょうか。

赤身肉と関係あるのは大腸がんであり膵臓がんでははっきりしていません。 今のところはなるべくバランスの良い食事をとるのが重要だと思います。

長く生存する程再発、転移率が下がると聞いたことがありますが、本当ですか。

膵臓がん自体高齢の方に多いため、年齢が高くなるほど再発率が低くなるということはないと思います。転移率が下がるという話しも聞いたことがありません。

膵臓がんにならないためには、日常どのようなことに気を付けたら良いでしょうか。

その答えは難しいです。確実なことは肥満を避け、適度な運動をすることが大事です。過度な飲酒、喫煙は絶対に避けなければなりません。

お酒やコーヒー(ブラック)は膵炎に良くないというのは本当でしょうか。

お酒は膵臓によくありません。コーヒーはいろいろな意見がありますがはっきりしません。

膵臓がんにフコイダンが有効だという話を耳にしたことがありますが、実際有効なのでしょうか。

しっかりとした実験結果がないのでわかりません。明らかに良いデータがあれば薬になっていると思います。

腸活とか免疫とか、今注目が集まっており、とても大切と感じています。日頃の食事、食品、食べ物(農薬との関連、甘味料、色素等)で気を付けた方が良いものを教えてください。

脂肪分の多い食事は減らして、添加物を避けるようにした方が良いかもしれません。 糖尿病は膵臓がんの危険性を増しますので血糖値にも注意しましょう。

糖尿病、運動療法、栄養療法中です。72歳だと2倍の罹患率とのことですが、人間ドッグで受けた方が良い検査項目を教えてください。

採血、腹部エコーが一般的です。できれば造影CT、膵臓MRI、PET-CTを選択すると膵臓がんの診断率が高くなります。

早期発見に優る治療法はないと思いますが、早期発見につながる自覚症状はないものでしょうか。

他のがんと同じく膵臓がんでも早期では自覚症状はありません。膵頭部がんの場合は比較的早期に黄疸(皮膚が黄色くなる症状)が出るので気が付きやすいです。

早期発見、早期診断のために、地域医療機関と連携していることはありますか(例:尾道方式等)

色々な案はありますが膵臓がんの早期発見は難しいです。人間ドックなどで膵臓検診を設ける案もありますが、膵臓がん自体の早期発見が技術的にまだ難しいため実施されていません。極早期に膵臓がんを発見するためには超音波内視鏡が大切ですが、検査を行える施設が少なく対応できていません。

早期発見のために、内視鏡等を行う頻度を教えてください。

現在のところは腹部エコーを半年ごと、MRIやCTを1年ごとというのが現実的と思われます。

早期発見のためには、どのような検査を受ける必要がありますか。MRCPは有効でしょうか。

MRCPは有効ですが検診でMRCPを行う施設は少ないと思います。医療保険を使ってMRCPをとることになりますが、その場合は何かの病気がないとMRCPをとることができません。

膵臓がんの早期発見には血液検査、腹部エコーのみなのでしょうか。

MRCP、CT、超音波内視鏡等も有効ですが検診で行えるところは少ないと思います。

早期発見には年1回の健康診断だけで大丈夫でしょうか。年1回では、見落とす点があるように感じますが如何でしょうか。

CTやMRCPを用いても1cm未満の膵臓がんを見つけるのは困難です。そのため年1回でも早期で見つけるのは難しい場合があります。現実的には腹部エコーを短い期間で繰り返すのが現実的と思います。

胃カメラ、大腸検査と別に膵臓についての検査を受ける必要があるのでしょうか。その場合、どのような検査を受けることが一番有用なのでしょうか。

膵臓がんを見つけるためには胃カメラ、大腸検査のみでは不十分です。腹部エコーやMRCPなどの検査を行う必要があります。

線虫利用の検査の位置付けはどのようになっていますか。

まだ研究段階で一般的ではないのでどれだけ有効なのかはわかりません。我々も今後どのように発展していくのかを見守っています。

PET検査は有効でしょうか。

有効です。PETを用いたがん検診を行っているところがあるので定期的に受けるのも良いかと思います。

夫が3年前にすい臓がんで亡くなりました。手遅れで、3年くらい前に診ていればと言われました。健康診断では毎回胃と大腸の検査を受けていましたが、膵臓の検査は受けていませんでした。何歳くらいから膵臓の検査をしていれば良かったのでしょうか。

60歳~70歳台の発症が最も多いので60歳を超えると注意した方が良いかもしれません。今後高齢化が進むと80歳台の発症が多くなるかもしれません。

膵臓がんは発見された時には手遅れが多いと言われますが、早期発見の為には膵臓がんを考えての検査をするしかないのでしょうか。また、一般検査では難しいのでしょうか。

積極的に膵臓がんを見つけに行かないと難しいかもしれません。今のところは腹部エコーをこまめに受けるのが現実的です。

十二指腸から膵管・胆管に出るところにポリープがあるときは、内視鏡治療法は使用できるのでしょうか。内視鏡が膵管に入らないのではないでしょうか。

ポリープがどのようなものか、またポリープがある場所によっても変わってきます。主治医と相談してみてください。

超音波内視鏡は、膵臓がん専用の内視鏡ですか。また、超音波内視鏡の今後に期待されていることを教えてください。

超音波内視鏡は腸管に接している臓器であれば観察可能です。今は観察だけでなくEUS-FNAなどの治療にも応用されていますので、今後超音波内視鏡検査を用いた治療は増えていくと思います。

数年前アメリカの少年が安価で正確性の高い検査を発見したとのことでしたが、それは実用化されたのでしょうか。

その時大きなニュースになっていましたが、少なくとも日本では実用化されていません。

母が膵臓がんで亡くなりました。血液検査ではアミラーゼも少なく、PET-CTの集積も低かったけれど、症状が出たときにはステージ4でした。早期発見するには、どうすれば良かったのでしょうか。

現在できることは、採血と腹部エコーをなるべく多くとることだと思います。可能であればドック等の検診で造影CT、膵臓MRI、PET-CTを行うと診断率が上がります。

アミノインデックスやマイクロRNAでの判定結果の信頼度は、どのくらいのパーセンテージでしょうか。

その結果によって変わってきます。結果は膵臓がんの可能性がパーセンテージで示されます。その可能性が高い場合は病院で精査を受けた方が良いと思います。

IPMNの場合、EUS-FNA検査をすることは可能でしょうか。

現在のところ日本では一般的ではありません。内用液が腹腔内に漏れ出ることが心配されています。適応に関しては主治医と相談してください。

6mmくらいの膵のう胞があると言われました。がんになる可能性はありますか。
膵のう胞5mmが真ん中にあるのですが、がんになる可能性はどのくらいでしょうか。

大きくなるとがんが出てくる可能性があります。

膵のう胞が2.8cm乳頭部にあり、IPMNと言われました。今後、手術の可能性はありますか。

今後3cmを超えてきて内部に結節ができてきた場合には、手術を行う可能性はあります。

IPMNで約3年経過観察し、今のところ変化は見られませんが、今年はマーカー値がまだ低いものの基準値はオーバーしています。また、HbA1cも高く、糖尿病内科で薬を飲んでいますが、下がらないので薬が増えてしまいました。HbA1c との関係性はありますか。

IPMN自体はHbA1cとあまり関係ないと思います。

転移した時の治療法や緩和方法を教えてください(食べ物等)。

抗がん剤による治療が一般的です。症状の緩和も内服薬が一般的ですが、個々の症状によって内視鏡の治療や放射線療法等も適応になります。

膵臓全摘手術前後に抗がん剤治療をする、しないを選択した場合の転移する確率の違いを教えてください。

日本で行われた臨床試験の結果(JSAP-02, 2009)手術のみでは5ヵ月で再発が見られたところジェムシタビンを投与した場合は、11.4ヶ月と再発までの期間が明らかに延長されました。その後に行われた臨床試験の結果(JASPAC-01, 2013)でジェムシタビンに比べTS-1という薬の方が22.9ヶ月とさらに再発までの期間を延長することが分かったため、現在はTS-1という抗がん剤が一般的な薬となっています。

膵臓を全摘して、骨や肝臓に転移した場合の今後の治療法を教えてください。

抗がん剤の治療が一般的です。

抗がん剤治療はいつまで続けられるのでしょうか。がん細胞が増殖しなければ、問題なく続けられるのでしょうか。

大きな副作用がなく効果が続いている間は継続できます。中には5年近く治療されている方もいます。

抗がん剤治療はなるべく続けたほうが良いのでしょうか。

治療ができる間は続けた方が良いと思います。

膵がんの分子標的薬はないのでしょうか。

今のところ保険が通っているものはありません。講演でも紹介したキートルーダとロズリートレクが遺伝子異常に対して通っているだけです。

副作用の軽い抗がん剤はありますか。

ゲムシタビンやTS-1の単剤であれば比較的副作用が少なく治療しやすいと思います。

転移とはどういうことでしょうか。

膵臓から血流やリンパの流れに乗って他の臓器にがん細胞が定着することをいいます。

がん治療に抗がん剤が有効なことはわかりました。抗がん剤は副作用もあるので、使用できる年齢制限(上限)はありますか。

ありません。今ある病気や、体力的なことを考慮してどの治療を行うか選択します。

2017年3月に膵臓がんに罹患し、2度手術しました。現在は膵臓全摘出で、一型糖尿病になりました。約2ヶ月前にFOLFIRINOX療法を使用しておりましたが副作用が強く、アレルギーも出たため中止となりました。その後、抗がん剤(ゲムシタビン)を投与しています。今後の抗がん剤治療で、標準治療はまだありますでしょうか。

ジェムシタビン+アブラキサンやTS-1といった標準療法があります。講演でも説明したキートルーダやロズリートレクも適応となる可能性があります。

免疫チェックポイント阻害剤は、これからさらに使われる可能性があるのでしょうか。

免疫チェックポイント阻害薬は現在注目されている分野であり、今後もさらに使用が拡大する可能性は高いです。しかし本剤だけでがんの克服は難しいので、今後はほかの薬と組み合わせて使用してくことになると思います。

MSI-highかどうかはどのようにしてわかるのでしょうか。

腫瘍検体を用いてMSI-highの検査をしなければわかりません。主治医と相談してみてください。

キイトルーダとオプジーボの違いを教えてください。

ほとんど同じです。保険適応が違っていますので適応に沿って治療薬を選択します。

抗がん剤治療終了後、外科手術でがんを切除。その後の予後、再発防止のために遺伝子パネル検査を用いて、治療薬を探ることは出来ないのでしょうか。

遺伝子パネル検査を医療保険で行うのは、標準治療が終了した場合という制約があります。また治療を行う時も保険が通っている治療法は限られているため、いずれかの臨床試験に参加しなければなりません。

膵臓がんが転移した場合の治療について、ゲノム医療はどこまで進歩しているのでしょうか。

ゲノム医療はまだまだ発展途上であり、検査はできても治療に結びつくことはまだ1割程度です。今後10年から20年で変わってくると思います。

免疫治療での説明の中で「固形がん」という言葉がありましたが、具体的にどのようなものなのでしょうか。

字の通り塊を作っているがんのことです。血液のがんである白血病などを除きます。

順天堂医院で免疫治療は受けられますか。また、免疫治療を受ける良いタイミングはありますか(現在抗がん剤治療中)。

保険が通っている免疫療法であれば治療可能です。保険が通っていない免疫療法(樹状細胞療法など)は施行できません。

NCCオンコパネルとファンデーションとでは、どちらを選択したら良いのでしょうか。

今のところ結果はどちらも同じだと思います。その病院が推薦している方を受けられると良いと思います。

パネル検査の結果が出た後、どこで治療をしてもらえれば良いのでしょうか。

パネル検査の結果を主治医と相談してどの臨床研究、治験に参加できるかを決めていくことになります。

EUS-FNI療法は、いつの時点で開始するのがベストでしょうか。

EUS-FNIは、まだ保険が通っておらず臨床試験で行っています。そのため現在のところ治療を受けられる方の条件はかなり絞られています。治療を希望の方は、下記アドレスのサイトをお読みいただき、メールでお問い合わせください。 https://www.gcprec.juntendo.ac.jp/chiken/detail/996

EUS-FNI療法は、膵臓がんから転移した場合でも可能でしょうか。

可能です。転移した場所にも効果を期待しています。

EUS-FNI療法は、貴病院だけで実施されているのでしょうか。

慶応大学病院が主体となっておりますが、現在のところ治療が可能な病院としては当院、東京医科大学病院、埼玉国際医療センター、東京都健康長寿医療センターの4施設で実施可能です。安全性が確認できた後はもう少し施行できる病院が増える予定です。

EUS-FNIの治験は、どのようにして参加できるのでしょうか(標準治療は終了しました)。

現在のところEUS-FNIは1次治療が終了して2次治療に入るタイミングでのみ参加できますので、標準治療が終了した段階では残念ながら参加できません。

EUS-FNI療法にて注入する薬剤は、効かなくなった薬剤を使用するのでしょうか。
(例)GEM-アブラキサンが効かなくなった⇒EUS-FNIでもGEM-アブラキサンを使用

STNM01といった新規の核酸医薬を用いています。

胃が放射線の為ただれています。どのように対処したらよろしいでしょうか。

胃薬や食事療法になると思います。主治医とよく相談してください。

膵臓がんで重粒子線治療は、一般の放射線治療と比べて治療効果は良いのでしょうか。効果と副作用について教えてください。

重粒子線治療は、一般の放射線治療と比べて治療効果は高いと思います。放射線治療に関しては放射線科の先生が専門なので、詳しい話は放射線科の先生に相談すると良いと思います。

ステント留置した場合、食事で注意することはありますか(酸性、アルカリ性、油料理等)。

腸の中に出ている場合は、海藻類や葉物野菜は引っ掛かりやすいのでなるべく避けた方が良いです。

妻(82歳)が4ヵ月前に膵頭十二指腸切除手術を受けました。10月からTS-1の服用(2週間服用、1週間休み)をしています。3回目が終わりましたが、胆管炎(高熱38℃以上)がたびたび起こり、抗生剤で治め、TS-1を中断しながら続けています。これからも度々炎症が起こりそうで心配です。予防する方法と抗生剤の耐性について教えてください。

よく起こりえることで対処法が難しいです。だんだん熱が出なくなる場合と、追加の治療が必要になる場合があります。やはり抗生剤で様子を見ながら治療を続けていくことが多いです。

治療方法がない状態の具体例を教えてください(例:ステージ、大きさ、経過など)。

抗がん剤の治療が終了したら緩和ケア療法に移行することが多いです。緩和ケアを専門に扱っている部署があります。

膵臓がんの最新情報はどこでわかるのでしょうか。

インターネットにいろいろな情報がありますが、不確定の情報が多いので取捨選択する必要があります。各病院やがんセンターなどで作っているインターネットサイトは、信頼性が高いと思います。膵臓がんの患者団体であるパンキャンジャパンでもいろいろな情報を紹介しています。参考にしてみるとよいかもしれません。https://pancan.jp/