第27回市民公開講座 質疑応答:講演2

質問内容は、皆様にわかりやすいよう一部内容修正しています

講演2:「がん治療薬の心臓・血管に対する影響」

家庭血圧以外に、患者が自宅で毎日行うべき、健康観察としては何がありますか。

短期間で体重が増える場合、心不全による体液貯留の可能性があります。毎日の必要はありませんが、体重測定もしてみてください。

腫瘍循環器内科に受診したい場合にはどうすればよいのでしょうか。他院で治療していても受診できるのでしょうか。

順天堂に通院している場合は主治医の先生を通じて受診していただくとスムーズです。他院に通院している場合は、治療内容を正確に把握するため、できれば診療情報提供書をお持ちになって受診してください。

ホルモン薬については特にご説明がなかったのですが、あまり心毒性はないということでしょうか。

ホルモン剤の心臓への毒性はまれです。女性ホルモン薬は血栓症に注意が必要です。

動脈硬化の既往ない場合、抗がん薬治療中に予防的に高脂血症薬を開始することはありますか。循環器の高脂血症と一般的な高脂血症の判断基準は違うのでしょうか。

動脈硬化の既往のない場合を一次予防といい、冠動脈疾患などの既往がある場合二次予防にいいます。それぞれコレステロールの目標値が異なり、目標値に合わせて高脂血症薬を内服します。

抗がん剤治療にともなう心臓への影響は、どんなタイミングでどんな症状が出てくるのでしょうか。日常生活で注意すべきことはありますか。

薬物によって心臓への影響が出るタイミングはことなります。トラスツズマブ投与中はどのタイミングでも起こりえるので3ヶ月ごとの心エコー検査が推奨されています。 息切れ、動悸などの症状があればご相談ください。

がん治療の血圧値の目安はありますか。

がん治療中の目標値は設定されていませんが、収縮期血圧(上の血圧)140以上、拡張期血圧(下の血圧)90以上で治療開始を考慮します。年齢や糖尿病の有無、脳梗塞の有無などでも目標値は異なってきます。

抗がん剤の後、足の爪が無くなった方がいます。だんだん回復してきましたが、これも血管への影響でしょうか。

どのような抗がん剤を使用しているかわかりませんが、爪も髪の毛と同様に化学療法の影響を受ける場合がありますし、血流障害で爪に影響がでることもあります。