治療部門

放射線治療とは

放射線治療は外科治療・化学療法(抗癌剤治療)と合わせがん治療に対する三本柱の一つです。二人に一人が癌になると言われている現在、様々ながん腫、進行状態に応じて幅広く放射線治療は用いられています。
放射線治療には痛みが少ない、臓器の形態や機能が温存できる、副作用が少なく手術ができない方も治療できる、手術や化学療法と合わせることでより良い治療効果が得られるなどの特徴があります。
日本放射線治療学会による放射線治療の説明動画もご覧ください。
https://m.youtube.com/watch?v=PMDbXujffTA

当院の特徴

当院は1000床を超える病床を持ち、多くの診療科を有する総合病院です。放射線治療を行う患者さんは併存症を抱えていることも多いため診療科の垣根を越えた横断的な診療が必要であり、当科でも様々な診療科と協力し治療を行っております。高精度治療をはじめとした治療には医師のみならず看護師・治療を専門とした診療放射線技師・医学物理士を含めたチーム医療が重要となっております。当院では様々な診療科とのカンファレンスを行い治療方針の検討を行い、看護師・診療放射線技師・物理士とも親密な連携をとり治療を行っています。
また、様々な最新の放射線治療装置を備え、高精度治療を始めとし疾患に応じた放射線治療が可能となっております。高精度治療が可能になったことにより、従来他院へ紹介しガンマナイフで治療を行っていた転移性脳腫瘍等にも当院で病変へのピンポイント照射を積極的に行っています。
患者さんの負担低減のため、乳癌・前立腺癌等に対し科学的にその有効性と安全性が確認されている少分割照射(通常の放射線治療に比べ通院回数を大幅に減らすことの出来る治療)を積極的に行っています。

治療の流れ

放射線治療の流れとしては下記のようになります。詳細な治療の流れについては治療説明時に行わせて頂きます。

  1. 医師による診察
  2. 放射線治療計画CT
  3. 専用の装置を用いた放射線治療計画
  4. 医学物理士による精度管理
  5. 放射線治療の開始

当院での取り組み

当院はより良い治療を提供すること、放射線治療を受ける方へ詳細な情報を提供することを目指しております。疾患別の取り組みについてもまた、詳細な取り組みについては疾患別の取り組みについてもご参照ください。

疾患別の取り組み

●中枢神経腫瘍(頭蓋内発生の悪性腫瘍及び転移性脳腫瘍)

脳腫瘍は脳またはその周囲に出来る腫瘍です。脳から発生した原発性脳腫瘍と肺癌や乳癌など他の部位の癌が脳に転移した転移性脳腫瘍があります。治療方針は国内外の臨床ガイドラインを踏まえたうえで、脳神経外科や各診療科の医師と常に連携をとり、病気のタイプや病状、治療の目的に合わせて最適な治療を提供します。病気のサイズが大きい時はIMRT(強度変調放射線治療)という高精度治療により患者さんに負担の少ない治療を提供しています。また、少数かつ小さな病変の時にはSRT(定位放射線治療)が非常に有効な治療であり、当科では最新の治療機器(Varian社製TrueBeam,および島津製作所製SyncTrac FX4による骨照合システム)を用いより高精度な治療を行っています。また当院ではSRTの際にはダブルシェルという特殊な固定具(お面)を使用することで、ガンマナイフ治療で用いられる事の多い頭部へのピン固定を用いることなく、患者さんに負担の少ないかつ高精度な治療を提供しています。

●頭頸部悪性腫瘍(上・中・下咽頭癌、耳下腺癌等)

頭頸部がんは頭を除く肩から上方に出来るがんを指し、顔面から首にかけてのがんになります。腫瘍が大きくなると、呼吸がしにくくなる、食事ができなくなる、声が出なくなるなどの症状が起こり、生命に関わる状態に直結する部位になります。
治療に関しては、耳鼻咽喉・頭頸科の医師と常に連携をとり、病気のタイプや病状、治療の目的に合わせて最適な治療を提供します。手術不能または手術を希望されない場合の標準治療は化学放射線療法です。当院では放射線治療による副作用を減らすため、専用の治療機器(Accuray社製Tomotherapy)を用いてIMRT(強度変調放射線治療)という高精度治療を行っております。またIMRTに関して、有害事象低減目的の臨床試験にも参加しており患者さんに安全で負担の少ない治療を開発し提供することを目指しています。

●肺・縦隔悪性腫瘍

日本において肺癌の患者さんは非常に多く、かつ増加傾向にあります。手術が行えない患者さんの標準治療(もっとも良い治療効果が見込まれる治療)は化学放射線治療です。当院では呼吸器内科及び呼吸器外科の医師と共に化学放射線療法を行っております。最新の治療及び知見をもとに迅速で確実な治療が出来るよう努めております。そして肺癌のみならず胸腺癌や中皮腫等の縦隔悪性腫瘍も多くご紹介頂いており、多くの治療を行っております。
近年、小さい肺癌・転移性肺腫瘍に対してはSBRT(体幹部定位放射線治療)が注目されており、当科では最新の治療機器(島津製作所製SyncTrac FX4)を用いて体への負担が少ない治療を行っております。

●乳癌

日本において女性のがん罹患率1位は乳癌です。乳癌において放射線治療は手術を行った後の治療として非常に多く用いられています。当科では、国内外で推奨されている少分割照射(通常分割照射と比較し短い期間で治療が完了する)を用いて、患者さんの生活とがん治療の両立を目指した治療を行っております。左乳房への照射の際には心臓の線量を下げるため深吸気時照射(DIBH)を用いた照射技術を確立し日々の診療で実施しています。

●消化器悪性腫瘍(食道癌、大腸癌、肝癌、膵癌等)

消化器内科/消化器外科の先生と緊密に連携を取って診療を行っております。 手術が行えない食道癌に対しては根治を目指した化学放射線療法もしくは放射線治療を行っております。
また、直腸癌に対しては骨盤内再発を減らすために術前化学放射線療法を行っております。
肝細胞癌、転移性肝腫瘍に対しては積極的に体幹部定位放射線治療を行っています。当科では最新の治療機器(島津製作所製SyncTrac FX4)を用い、副作用がより少なく、より高精度な放射線治療を目指しています。
その他、腫瘍による疼痛、出血や通過障害に対しても緩和的放射線治療を行っております。

●婦人科悪性腫瘍(子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌等)

婦人科の医師と緊密に連携を取って診療を行っております。
子宮頸癌に対して根治を目指した化学放射線療法もしくは放射線治療に加えて密封小線源治療を行っております。当科では3次元画像誘導密封小線源治療により子宮頸癌に対して治療効果がより高く、副作用のより少ない放射線治療を目指しています。
子宮体癌や卵巣癌に対しては、再発後の治療や腫瘍による疼痛や出血に対して緩和的放射線治療を行っております。転移の個数が少ない場合(オリゴ転移)にも積極的に病巣の背コントロールを目指した放射線治療を行っています。

●泌尿器悪性腫瘍(前立腺癌、膀胱癌、尿管癌、腎癌等)

前立腺癌に対して根治を目指した外部放射線治療や密封小線源治療を行っています。当科では強度変調放射線治療により前立腺癌に対して治療効果がより高く、副作用のより少ない放射線治療を目指しています。
膀胱癌に対して膀胱温存を目指した化学放射線療法もしくは放射線治療を行っております。
尿管癌や腎癌に対して放射線治療を行うことは多くありませんが、再発後の治療や腫瘍による疼痛や出血に対して緩和的放射線治療を行っております。
いずれの治療もホルモン療法や抗がん剤等を併用する場合が多く泌尿器科の先生と緊密な連携の元治療を行ってゆきます。

●血液疾患(悪性リンパ腫、造血幹細胞移植前全身照射等)

血液悪性疾患に対し、放射線治療は根治を目指す治療から症状緩和治療どの段階においても重要な役割を担っています。
悪性リンパ腫に対しては最新のPET-CTを用いた診断及びそれに基づき病巣部に絞った照射(ISRT)を行っています。
また、骨髄移植の前処置としての全身照射も行っています。いずれの治療も血液内科との連携が重要な病気であるため緊密な連携の上で治療を行ってゆきます。

●甲状腺眼症、ケロイド等良性疾患に対する放射線治療

一般に放射線治療は悪性腫瘍に対し多く用いられる治療法ですが、一部の良性疾患(甲状腺眼症やケロイド等)の症状改善目的にも用いられています。当科では糖尿病内分泌内科や形成外科等院内の他診療科およびご紹介頂いている病院・医院の先生の協力の上治療に取り組んでいます。ケロイドの放射線治療に関しては手術後早期の治療が必要であり、他診療科や紹介頂いた病院・医院とも緊密な連携を取り治療を行っています。治療に必要な通院回数等は病気の種類等により変わりますのでご相談ください。

●緩和的放射線治療

近年癌の治療の進歩により癌の治療を行いながらもお仕事等を行っている患者さんも増えてきています。その中でしびれ・疼痛などの病気による症状をいかに低減してゆくかが重要となっています。当院では放射線治療で転移性骨腫瘍の疼痛軽減や転移性脳腫瘍に対する治療、腫瘍による出血への治療等症状を緩和するための治療を行っております。国内外の診療ガイドラインを踏まえ、患者さんの通院負担をなるべく減らすべく短期間での照射も積極的に行っております。特に骨転移による痛みに対しては、WHOや国際的な診療ガイドラインが推奨している積極的に単回照射(8グレイ)を行っています。
またキャンサーボード(腫瘍の治療に係わる医師による治療方針検討会)やSREカンファレンス(転移性骨腫瘍による症状の予防・改善を目指した他職種検討会)も定期的に行っており、複数の診療科、他職種で最適な治療を提供できる体制を整えております。 転移性脳腫瘍に対しては最新の機器による高精度照射(定位照射)等の最新の治療を行っており、正常な脳組織に負担が少ない治療を提供できる体制を整えております。
他の医療機関におかかりの肩でも医療連携を通じで、少ない外来通院回数で初診~照射までを完了することを目指した取り組みも行っています。