平成22年入局 柘植大輔 「大学院での研究」

大学院での研究

私は、2006年に順天堂大学を卒業し、市中病院で前期研修医と内科後期研修医2年間を経て、2010年に放射線医学教室に入局しました。卒業した当初、私は内科医になる予定でしたが、内科を勉強していくうちに特に診断学に興味が出て、色々な病院で当直を数多く経験した後、一つの専門分野を極めるより、幅広い分野の診断を行える医師になりたいと考えるようになりました。近年、診断や術前精査等で画像の重要性は増してきており、頭部から下肢に至るまであらゆる分野を読影する放射線科に魅力を感じ、内科から放射線科に転科しました。そして、入局翌年にCTやMRIを用いた研究を行い、画像についての勉強を深めていきたいと思い大学院に進学しました。当放射線診断学講座では、院生に対して臨床業務を行いながら、研究日や17時以降で臨床実験や基礎実験を行うカリキュラムが組まれているため、臨床から離れすぎず、臨床経験を積みながら研究に打ち込むことができます。従って学位と放射線科専門医を同時に取得することが可能です。私は、現在大学院3年目ですが臨床実験、基礎実験ともに行っています。簡単にご紹介致します。

臨床実験

非造影MRA (time-SLIP法)により肝動脈の描出能に関する研究を行っています。造影剤を用いずに肝動脈を描出することが出来、実際の血管造影の所見と比較しても血管の分岐の描出が良好で、TACEや手術前に動脈の解剖を把握するのに今後有用な手法ではないかと考えます。

非造影MRA (time-SLIP法)
非造影MRA (time-SLIP法)
非造影MRAで腹腔動脈とその分枝が、腹腔動脈造影同様に明瞭に描出されています。
腹腔動脈造影
腹腔動脈造影

基礎実験

脂肪幹細胞(ASCs; adiposed-derived stem cells, adipose stromal cell)を用いた基礎研究を行っています。ASCsは血管新生能を有していますが、直接血管内皮細胞へ分化するだけでなく、PDGF, VEGF, bFGF等の各種成長因子を放出することが血管新生の作用機序として考えられていいます。しかし、その詳細はまだ不明で、虚血部位にASCsを移植した場合、どのように血管新生が生じるかも明らかにされていません。そこで、私たち放射線科ではASCsの研究を精力的に行っている形成外科と共同で血管新生の生起を明らかにすることを目的に、ラットによる実験を行っています。動物用のμCTを用いて、下肢虚血モデルラットにおけるASCsによる新生血管の形態評価を行います。

実際の実験風景
実際の実験風景:形成外科の先生方と共同で実験しています。μCTの操作を行っています。
μCTを用いてた3DCTA
μCTを用いてた3DCTA: 造影剤投与によりラットの下肢の血管を描出させています。写真は健常ラットの画像です。