平成21年入局 堀田昭博 「胸部画像診断」

胸部画像診断について

胸部画像診断で扱う検査として、単純X線写真、CT、MRIや核医学があります。ここではその中心となる単純X線写真とCTについて述べたいと思います。
単純X線写真は最も簡便であり、一般診療で最初に行われる検査です。学校、企業や住民検診でも行われています。しかし、単純X線写真の読影は難しく、知識や経験が必要となります。さらに、近年はCTやMRIなどの読影に追われ、単純X線写真を読影する機会が減ってきています。そこで、MS chest神田塾やChest imaging forumといった単純X線写真をテーマにした勉強会に参加し、知識の習得に励んでいます。

単純X線写真で異常があるが、それのみで判断が難しいときやより詳しい情報が必要なとき施行されるのがCTです。CT機器の進歩により短時間でより詳細な画像を撮影できるようになりました。細かい画像(thin-section CT)や様々な断面(MPR; multi planer reconstruction)を用い、病変の形態や分布などを元に診断を進めていきます。また、造影剤を使用した検査ではコンピューターによる解析により3次元画像(3DCT)を作成することができ、血管の形態や位置を立体的に見ることができます。当院は呼吸器症例が豊富であり、沢山の症例から勉強することができます。稀な疾患や貴重な症例も経験でき、胸部放射線研究会などの学会で症例報告を行っています。

胸部画像診断分野は他科の医師、国内外の研究者との連携・交流を積極的に行なっています。たとえば、気胸・肺のう胞スタディグループ(www.lungcare.jp)の会員として日本各地の内科医・外科医・病理医・放射線科医と連携して研究を行い、その成果を国内外での学会で発表しています。また、アジアじん肺読影医養成コース(AIR Pneumo; www.airp.umin.jp)の日本コースを2年続けて順天堂大学で行うなど、じん肺の画像診断でも国内外の研究者と連携しており、今後も様々な分野での共同研究の予定があります。