平成22年入局 道正理恵 「乳腺画像診断の魅力」
私は放射線科入局4年目で、日常は体幹部中心に画像診断を担当しています。今回はその一つ、乳腺画像診断について述べたいと思います。
乳がんは現在、日本女性において一番多いがんで、年々増加傾向にあります。40歳台で罹患率、50歳台で死亡率はピークとなり、まさに仕事や子育てなどで重要な時期、あるいは子育てなどが一段落した時期の女性を蝕む病気です。一方で、Ⅰ期で見つかれば90%の生存率が得られ、早期発見が良好な予後につながるがんでもあります。しかし、日本人女性における乳がん検診の受診率は36%程度と低く(OECD, OECD Health Data 2013, June 2013.)、日本は乳がん検診の後進国と言われている現状にあります。このような事実を目の当たりにしたとき、自分も乳がんの早期発見に関心を抱くようになり、乳腺画像に興味を持ったきっかけにもなりました。
乳腺の画像診断にはマンモグラフィ、超音波、MRが挙げられます。我々順天堂の放射線科ではこれら全てを勉強することができます。検査数は豊富で、典型例から非常に珍しい症例まで経験することができます。乳腺画像に精通した指導医もおり、安心して勉強できる環境が整っています。現在は週に1~2回、指導医とともに術後症例の画像、病理所見を振り返る勉強会を行っています。また、病理・放射線・臨床科が合同で行うカンファレンスもあり、ここでは問題となった乳腺症例を検討しています。乳腺の組織生検には針生検 (core needle biopsy) とマンモトーム生検 (vacuum-assisted core needle biopsy) があります。当科ではステレオガイド下のマンモトーム生検を行っており、組織生検という手技を通して、病理診断につなげることができる点も魅力の一つです。現在まで1000例以上の豊富な症例数があり、私はマンモトームについての学会発表や論文作成も経験することもできました。
また、乳がん検診ではマンモグラフィ読影認定医師による読影が推奨されており、資格を持つ医師のみに限定される場合も多くなっています。この資格試験がマンモグラフィ検診精度管理中央委員会の検診マンモグラフィ読影認定試験となりますが、症例が豊富で指導医がきちんとフォローしてくれる当科では、試験対策もしっかりできます。私もこの試験に合格し、マンモグラフィの読影に励み、現在は新たなステップアップの目標を掲げて日々勤しんでいるところです。
乳腺疾患に興味がおありの方は、放射線科という選択肢もぜひ考慮して下さい。また、他の臓器に興味があるけれど乳腺の勉強も少ししてみたい、検診マンモグラフィ読影の資格をとりたい、そんな方にも当科はぴったりだと思います。まずは見学にきてください。そして一緒に勉強できる日を楽しみにしています。