睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome: SAS)とは、睡眠中に呼吸が止まる状態(無呼吸)が繰り返される病気です。当外来で主に専門としているのは、空気の通り道である気道が閉塞してしまう事により無呼吸が発生する、閉塞性無呼吸症です。肥満体の人、首が短くて太い人、顎が小さい人、扁桃が大きい人等に起こりやすい事が知られています。寝ている間の無呼吸に気付くことは難しいために、検査・治療を受けていない多くの潜在患者がいると推測されています。

この病気が深刻なのは、寝ている間に生じる無呼吸が、起床時の頭重感や居眠りなどの日中の活動に様々な影響を及ぼすことや、高血圧などの生活習慣病のリスクとなるからです。

診断の流れ

まず、鼻・咽頭の観察を行います。肉眼やレントゲン・CT撮影、鼻腔通気度検査、アレルギー採血検査などで、鼻・咽頭腔に狭い部分がないか確認します。
SASの正確な診断には、脳波、眼の動き、心電図、鼻口気流、胸腹運動、下肢運動などを記録する、である終夜睡眠ポリグラフ検査(polysomnography: PSG)が必要です(図1)。PSGは1泊2日の入院が必要ですが、当院では土日の検査体制も整えております。また、当院では小児から成人まで幅広い年齢層の方への対応も可能で、当科では年間200例、当院全体では年間500例程度のPSGを施行しています。
PSGによる検査が困難な場合は、ご自宅で測定する簡易睡眠検査機器にて評価します。

治療方法

症状やPSGによる重症度に応じた治療方法を選択します。鼻づまりが原因の場合は点鼻薬などの投薬治療や手術(鼻中隔弯曲矯正術、下甲介粘膜切除術等)、軽症から中等症の場合はマウスピース(口腔内装具)、中等症から重症の場合はCPAP(シーパップ、持続陽圧呼吸療法)などが挙げられます。CPAPとは、機械で圧力をかけた空気を鼻から気道に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を軽減する対症療法で、世界的にもっとも標準的な治療法です(図2)。
その他、生活習慣に関する指導などそれぞれの患者さんに適した治療法を選択していきます。

小児の睡眠時無呼吸症候群

1.はじめに

小児の1~6%がSASを発症しているといわれています。「寝る子は育つ」と言われますが、睡眠中に大きないびきや息が止まりそうな場合は注意が必要です。小児のいびきや無呼吸は、正常な睡眠や成長に悪影響を及ぼすことがあります。

2.原因

原因は肥大した口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)やアデノイドにより発症することが殆どです。高度肥満や小さな顎も原因となります。

3.症状

夜間の口呼吸・鼻閉、いびきや無呼吸が主症状です。また、小児では胸壁が柔らかいため、上気道が狭窄することによって胸が異常に陥没する状態がみられます(漏斗胸)。おねしょをする、寝相が悪い(座って寝ている)、朝寝起きが悪い、などの睡眠時の状態もSASの存在の可能性があります。大人に比べて、日中に症状を訴えることが少ないです。小児の場合は眠気の代わりに、集中力低下、居眠り、落着きがない、多動、イライラなどの原因となることがあります。扁桃肥大のために食事の呑み込みが悪くなり摂食量が低下するだけでなく、睡眠中の成長ホルモンの分泌低下による成長障害などがあります。

4.診断・検査

上述の「診断の流れ」をご参照ください。

5.治療

扁桃摘出術やアデノイド切除術により気道を広げる手術的加療が第一選択となります。

図1
図1:終夜睡眠ポリグラフ検査
図2
図2:CPAP療法時の気道の様子