アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎とは

アレルギー性鼻炎は鼻粘膜のI型アレルギー性疾患で,原則的には発作性反復性のくしゃみ,水性鼻漏,鼻閉を3主徴とします.通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に分けられます.

発症の頻度は若年化しています

幅広い年齢層で発症します.発症は若年化し,10~30歳代がピークとなり,自然治癒も少ないため患者は蓄積し,全数が増加しつつあります.通年性アレルギー性鼻炎が約10~20%,花粉症は10~15%の有病率です.

発症の機序は遺伝性素因が重要です

遺伝性素因が重要ですが,その素因は様々で解明はまだ不十分です.肥満細胞に固着したIgE抗体に特異的な抗原の曝露により,細胞表面の免疫反応が起こり,細胞内のケミカルメディエーターが鼻粘膜の標的細胞を刺激して3主徴が生じます.

くしゃみ,鼻水,鼻づまりが主症状

臨床的には3大主徴であるくしゃみ, 鼻汁過多(鼻漏,鼻水),鼻閉(鼻づまり)は抗原の曝露後に生じる早い症状(即時相反応)です.この即時相反応に続いて数時間後に起こる遅発性反応は主に鼻閉からなります.アレルギー性鼻炎では寒冷,化学的・物理的刺激などの刺激によっても鼻症状を誘発します.

確定診断は症状とアレルギー検査

鼻汁中の好酸球の証明はアレルギー性鼻炎の診断には欠かすことのできない検査法です.鼻汁をスライドグラス上に伸展させ,アレルギー性鼻炎に特徴的に現れる好酸球を染色します.原因抗原の検索としては皮内テスト,スクラッチ(プリック)テスト,血清特異的IgE抗体の定量があります.抗原の選択には問診による好発時期の確認が重要です.原因となる抗原を鼻の粘膜に付着させて鼻症状の出現をみる誘発テストは,抗原の確定,治療の効果判定などに有用です.確定診断は鼻症状と上述した検査によってなされます.

重症度に応じた段階的な治療計画が必要です

治療法は患者とのコミュニケーション,抗原の除去と回避,薬物療法,特異的免疫療法,手術療法に分けられます.症状の程度によって,治療法をうまく使い分けることが肝要です.
機序,治療法,合併症,予後,薬の使用法,検査結果を十分説明し,解説書を与え,日記の記入,規則的通院,日常生活の改善,抗原の発見と除去などに患者さんが積極的に協力してくれるよう指導します.
ハウスダスト,ダニのアレルギーに対しては,清掃とともに除湿器により室内の湿度を下げます.

鼻粘膜償却術、後鼻神経切断術

重症度,症状,年齢などによって各種の薬剤を選択して使用します.通年性では,くしゃみ・鼻汁型には第2世代の抗ヒスタミン薬,鼻閉型にはロイコトリエン拮抗薬やトロンボキサンA2括抗薬,局所用ステロイド薬が有効です.過度の鼻閉には交感神経刺激薬の点鼻が一時的に有効です.血管運動性鼻炎やアレルギー性鼻炎での鼻汁過多には,点鼻用抗コリン薬が有効です.小児では局所用ケミカルメディエーター遊離抑制薬が第一選択で,適宜第2世代の抗ヒスタミン薬を併用します.
下鼻甲介を標的とした各種の手術が試みられています.適応は保存的治療に抵抗を示す症例です.鼻漏・くしゃみの軽症~中等症では,CO2・半導体・KTP/532レーザー,アルゴンプラズマ凝回装置による下鼻甲介粘膜表面焼灼術が外来手術で可能です.鼻漏とくしゃみの重症例は,後鼻神経切断術が短期入院で適応となります.鼻閉には粘膜下下鼻甲介骨切除術,下鼻甲介粘膜切除術などが有効です.

目で見る耳鼻咽喉科疾患
出典:「目で見る耳鼻咽喉科疾患」
章・項/論文:25 アレルギー性鼻炎
編集者:池田 勝久
著者:中村 真浩
転載図表/文章:P110~111
発行所・発行年:株式会社文光堂 2017年5月発行