内視鏡下鼻副鼻腔手術

適応は慢性副鼻腔炎・副鼻腔真菌症など、鼻腔やその周囲にある副鼻腔という空間に膿やポリープ、カビが溜まって鼻詰まりや鼻水、頭重感などの症状を引き起こす疾患です。
副鼻腔はいくつかの空洞があり、鼻腔とつながっていますが、副鼻腔の病的な粘膜を手術で取り除き、各副鼻腔をひと続きの空洞として、鼻腔へ大きく開放します。 そうすることで、病変部位の洗浄や摘出ができます。
手術後は、翌日から食事摂取が可能となります。創部保護や出血予防のため、鼻内に詰め物を留置します。その後出血が収まれば退院可能です。傷の癒着や鼻腔の閉鎖を予防するため、退院後も外来通院いただき鼻内の清掃を行い傷の治りを確認していきます。
内視鏡を鼻腔内に挿入して操作するため、良好な視野で安全に手術ができ、術後は顔に傷は残りません。一般的に1週間前後の入院です。患者様によっては多少入院期間が長くなることがあります。費用は手術の内容によって異なりますが、約25~30万円で、個室をご希望なさると、さらに1日当たり3~4万円程度のご負担になります。

手術の基本的概念

前部副鼻腔、つまり前篩骨洞、上顎洞、前頭洞の開口部と交通路をostiomeatal complexと呼称し、これらの解剖学的構造物を機能的、概念的に一つとしてとらえます。前部副鼻腔の炎症の原因は各固有副鼻腔の炎症ではなく、ostiomeatal complexの病変によって引き起こされます。また副鼻腔の粘膜病変は可逆的変化であります。従って、ostiomeatal complexの病変の除去は前部副鼻腔と鼻腔の交通路を確立でき、換気と排泄が可能となります。術後の保存的治療により副鼻腔粘膜の機能の正常化を促します。蝶篩陥凹に開口する後篩骨洞や蝶形骨洞の病変も可逆的であり、それらの開放により治癒を促せます。内視鏡的副鼻腔手術では各副鼻腔のポリープ、嚢胞、高度の粘膜肥厚に対して処置を加えるが、基本的には副鼻腔の限界壁の粘膜は温存します。Ostiomeatal complexの病変だけを除去する術式をfunctional endoscopic sinus surgeryと呼び、軽症例に適応となります。

治療成績

従来の報告では、今までに手術を受けていない初回手術例に対しての自覚的な症状の改善率は75~98%と満足な結果が得られます。術後成績は短期間の内服ステロイド剤や長期間のマクロライド剤とステロイド噴霧剤、外来処置によってさらに向上できます。一方、再手術例、喘息合併例、高度病変例は治癒率の低下が指摘されています。これらの症例には手術操作、術後管理のさらなる留意が必要です。

合併症

合併症に関して副損傷を高度障害と軽度障害に分類すると、前者は脳脊髄液漏、頭蓋内損傷、視力障害、外眼筋損傷、鼻涙管損傷、死亡、輸血を要する大出血があり、後者としては眼窩内出血、眼窩周囲気腫、眼窩内侵入、鼻内癒着、小出血などが含まれます。発生頻度では高度副損傷は0~2.7%で、軽度副損傷は5.0~15.1%で、そのうち眼窩損傷が占める割合はどちらも約半数程度と高い頻度を示されています。しかしながら、近年の報告では重篤な合併症の報告が明らかに減少してきています。各国で行われるようになった講習会や質の高い教科書が普及してきたためと考えられます。副損傷の予防には1)高度ポリープ症例、再発症例、術中の出血の予想される症例、全身麻酔症例などの危険因子の把握、2)CT画像の術前検討、適切な手術器機、器具の準備、術野での眼球露出など副損傷回避のための準備、3)手術操作を的確に理解することが必要です。副損傷の対応及び損傷の拡大の回避には早期発見と適切かつ迅速な処置が必要です。