対象疾患

主な対象疾患

  • 冠動脈疾患・閉塞性動脈硬化症(狭心症、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症など)
  • 心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症など)
  • 不整脈(洞不全症候群、房室ブロック、WPW症候群、房室結節リエントリー性頻拍、心房頻拍、心房粗動、心房細動、心室性不整脈、心室頻拍、期外収縮など)
  • 心不全・心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症、心臓サルコイドーシス、心アミロイドーシス、ファブリー病、不整脈原性右室心筋症、産褥心筋症など)
  • 肺高血圧症(肺動脈性肺高血圧症、慢性血栓塞栓性肺高血圧症)
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 大動脈疾患(大動脈瘤、大動脈解離、大動脈炎症候群(高安病)など)
  • 脂質異常症(家族性高コレステロール血症など)
  • 腫瘍循環器疾患(化学療法関連心機能障害、がんに伴う血栓塞栓症)
  • 成人先天性心疾患(心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、動脈管開存症、ファロー四徴症・Fontan術後など)
  • 遺伝性疾患(大動脈瘤/解離、マルファン症候群、遺伝性不整脈、家族性高コレステロール血症、心筋症など)

主な症状(または治療方法)

冠動脈疾患、閉塞性動脈硬化症

当科では狭心症や心筋梗塞などの冠動脈病変に対して、最新のステントや薬剤溶出バルーンなどを用い、年間約500例のカテーテル治療(PCI)を施行しています。高度石灰化病変や複雑病変に必要とされる特殊な治療、慢性完全閉塞病変の治療、プラークを切除する治療器具にも熟練しており、他施設からも多くの紹介を受けています。治療戦略に関しては、カテーテル専門医と心臓血管外科専門医による慎重な協議をしています。緊急治療を要する急性冠症候群の患者様にも、24時間対応可能な体制です。閉塞性動脈硬化症に対する治療はカテーテル治療(PTA)に加え、他科と連携した特殊治療やリハビリテーションなども取り入れ、患者様の下肢救済を行っています。



心臓弁膜症

近年、心臓弁膜症が増えてきており、特に75歳以上の8人に1人の割合で治療を検討する必要がある進行した弁膜症患者がいることがいわれております。このような患者さんを、聴診することで病気を疑い、超音波検査で重症度を含めて治療の適応について正確に判断します。重症の場合、手術を検討しますが、高齢や併存疾患が原因で手術困難な患者様には、胸を開いて心停止・人工心肺導入を要する外科的修復ではなく、カテーテル治療 (TAVI, MitraClip®等) で年間100例以上の方々を治療しています。心臓血管外科や他部門で構成するハートチームで、全ての患者様を詳細に協議し、万全の体制で治療を行っています。



不整脈

不整脈は徐脈性不整脈と頻脈性不整脈の2種類に分けられます。徐脈性不整脈は、洞不全症候群や房室ブロックが主であり、重症になるとめまいや失神を自覚し、ペースメーカ治療が必要になります。頻脈性不整脈は、心室頻拍や心室細動のような致死性不整脈から、心房細動や心房粗動などの脳梗塞のリスクがある不整脈まで様々です。多くは動悸や息切れなど胸部症状を訴えますが、無症状の場合もあります。治療法は、薬物療法と非薬物治療がありますが、非薬物治療では疾患に応じて、不整脈専門医のもとで植込み型除細動器やカテーテルアブレーションによる治療を行います。



心不全・心筋症

心不全は現在日本で年々その患者さんの数が増えている病気であり、主な症状としては労作(階段や坂道を上る等)時の息切れや、足のむくみ等があります。特に高齢者に多い病気ですが、背景に心筋症など病気がある場合は若年者にも発症する可能性があり、その治療は「心不全の原因が何か」によって多岐にわたります。当院では様々な画像検査、カテーテル検査等を用いた特殊な心筋症(心サルコイドーシス・アミロイドーシス等)の診断と、個々の心不全患者さんの原因に基づいた最適な治療を最新の薬物治療や特殊なペースメーカー、心臓リハビリテーションなどを組み合わせて行います。



肺高血圧症

肺高血圧症は、心臓から肺へ血液を送る肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなる病気です。肺高血圧症は様々な原因によって引き起こされるため、大きく5群に分類されており、検査を行うことで原因を特定し治療内容を決定します。肺高血圧症の初期症状は、息切れ、胸痛や動悸などがあり、症状が進行すると失神、呼吸困難、足の浮腫みなどが認められるようになります。肺高血圧症の治療は、肺動脈性肺高血圧症に対しては肺動脈を拡張させる薬や酸素療法で、肺動脈圧を下げて右心室への負荷を軽減し、症状を改善させることです。また、慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対して、肺動脈形成術(BPA)と薬物療法を用い治療します。



睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、いびき・肥満・日中の眠気による生活の質の低下というイメージを持たれている方は多いと思いますが、実は高血圧、冠動脈疾患、不整脈、心不全といった循環器疾患と相互関係が非常に深い疾患です。そのため、このような循環器疾患の診断・治療を行ううえで睡眠時無呼吸症候群の合併があるかどうかをしっかり把握し、必要に応じて治療介入(マウスピース装着・CPAP療法など)していくことは循環器疾患の発症・治療・予防をしていく上でとても重要です。当院では睡眠・呼吸障害センターにおいて循環器内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉・頭頸科が連携し睡眠時無呼吸症候群の診断・治療に積極的に取り組んでおります。



大動脈疾患

大動脈疾患は、身体の中で最大の血管である大動脈が傷害されることで引き起こされる病気です。大動脈瘤は動脈硬化などで大動脈の直径が拡大する病気で、直径が大きくなると破裂の危険性が高まるため、胸部大動脈では直径6cm、腹部大動脈では直径5cmを超えると手術適応になります。大動脈解離は血管壁に亀裂(解離)が生じる病気で、亀裂部から血液が血管壁に流れ込むことで胸や背中の激痛を伴います。上行大動脈に病変がある場合は重症になることが多く、緊急手術の対象となります。大動脈が細くなったり、閉塞する病気としては大動脈炎症候群(高安病)などがあります。血流が少なくなるため、動かした時に手足の痛みの原因となることがあります。



脂質異常症

脂質異常症とは悪玉と呼ばれるLDLコレステロールや中性脂肪が増えたり、いわゆる善玉のHDLコレステロールが減った状態のことをいいます。放置すると動脈硬化が進み、狭心症・心筋梗塞や脳梗塞といった怖い疾患が起こる恐れがあります。自覚症状がないので定期的な血液検査で発見するしかありません。発見された場合には、医師の指導に基づき、食生活の改善、運動療法、内服治療などにより管理することが大切です。また、家族性高コレステロール血症など、生活習慣とは関係なく遺伝的にLDLコレステロールが高い場合があり、こうした方は若いうちから動脈硬化が進みます。脂質異常症を指摘された際は、年齢に関係なくご相談ください。



腫瘍循環器外来

「腫瘍循環器」とは、悪性腫瘍と循環器疾患(心臓や血管の病気)の両方を扱う、新しい診療分野です。超高齢化社会を迎え、がんと循環器疾患を合併する患者さんが増えています。さらに、近年相次いで開発されている新しいがん治療薬のいくつかは、高い治療効果を示す一方で、心不全や血栓症をはじめとする様々な心血管合併症を引き起こす可能性があり、その後の治療方針にも影響を与えます。このように「腫瘍循環器」の重要性が認識されるようになり、順天堂医院ではハートセンター内に「腫瘍循環器外来」を開設しました。がんの診断時から治療中、治療完了後まで、がん診療科と連携し、がん患者さんの心血管合併症に対応しております。



成人先天性心疾患

これまで先天性心疾患患者さんは成人しても小児科医が継続して診療するケースが少なくありませんでした。しかし、成人患者さんは就職、結婚、妊娠・出産、再手術、生活習慣病や悪性腫瘍の発症など、ライフステージによって様々な問題に直面します。そこで順天堂医院では「成人先天性心疾患外来」を開設し、循環器内科医がまとめ役となって成人先天性心疾患患者さんの専門的診療を開始致しました。循環器内科、小児科、心臓血管外科合同のカンファレンスも定期的に行っています。また、2019年4月から日本成人先天性心疾患学会認定専門医連携修練施設として認定を受け、成人先天性心疾患学会専門医の教育についても取り組んでおります。



遺伝疾患

遺伝外来は、循環器領域の遺伝性疾患が疑われる患者さんの、診断や遺伝カウンセリングなどを行う専門外来です。保険収載されている臨床検査や、研究の進歩に伴い実施されている利用可能な遺伝学的検査について、循環器内科専門医・臨床遺伝専門医が情報を提供する体制を整えています。正確な診断を疾病管理や治療選択に役立てる臨床的有用性を確認し、個々人のリスクや疾病への適応も支援しています。主な疾病は、大動脈瘤/解離、マルファン症候群、遺伝性不整脈、家族性高コレステロール血症、心筋症で、その他の指定難病等の各領域との連携にも対応しています。