心エコー・グループ

大学病院では比類の検査件数をこなし、血管エコーも積極的に実施しています。最新の技術だけでなく、負荷エコーや介入試験など臨床研究にも取り組んでいます。

スタッフ紹介

画像:大村准教授
  • 准教授: 大村 寛敏
  • 助 教: 宮崎 彩記子
  • 助 教: 森本 良子
  • 助 教: 圓山 雅己
  • 専攻生: 高橋 由佳里

グループ紹介

心エコー図は患者さんへの負担も少なく迅速に行うことができる画像検査であり、診断治療に必要な情報を得られることができます。順天堂大学心エコー図グループでは、経胸壁心エコー図検査、経食道心エコー図検査や、運動・薬物負荷エコー図検査を行っており、現在の診断治療に欠かせない検査の一つです。
心エコーの役割は主に①診断 ②負荷試験 ③形態の把握、治療のガイドです。

【① 診断】

当院では年間約14000件の心エコー図検査を行っており、その読影はすべて心エコー図グループの医師が行っています。弁膜症の手術適応や、血行動態の把握も含め常に迅速な判断が必要とされるので、熟練した臨床検査技師の方々と協力して検査を行っています。循環器内科の後期研修では、最低3か月間心エコー図室スタッフとして従事し、検査の技術的な基礎から弁膜症の重症度診断に至るまで、上級医師のサポートを受けながら習得することができます。
ハートセンターでは心臓血管外科と共に心臓病の診断・治療にあたっていますが、全国から多くの患者さんがハートセンターに紹介され、特に弁膜症の症例における診断および治療方針の決定には経胸壁心エコー図検査が重要で、心エコー図グループがその大役を果たしています。心エコーを専門とするスタッフは全国的にみてもまだ少なく、当院のようにそれに専従した医師がいる場所で学ぶことで知識もより深いものとなります。

【② 心エコー図負荷検査】

心エコー図負荷検査は運動・薬物の2種類があります。安静時には認められなかった異常を、当院では臥位エルゴメーターで運動しながら評価しています。運動負荷心エコー図検査は、肺高血圧症の早期診断や虚血性心疾患の有無、また弁膜症や心筋症の重症度判断に役立っています。固定されたベッドの上で行う検査なので患者さんの負担もすくなく安全に負荷をかけられる検査の一つです。薬物不可心エコー図検査としては、ドブタミンやアデノシン(ATP)負荷を行っています。近年のガイドラインでも、診断基準の一つとして負荷心エコー図検査がその他の画像診断と同様に重要な位置を担っており、心エコー医としてより専門性が問われるようになってきています。

画像:心エコー図負荷検査

【③ 形態の把握、治療のガイド】

<治療のガイド>
近年、弁膜症や先天性心疾患(Structural Heart Disease)において、開胸術による心臓手術だけなく、より低侵襲である経皮的カテーテル法による治療もおこなわれるようになってきました。当院では昨年から心房中隔欠損症に対して、心房中隔欠損閉鎖栓(Amplatzer Septal Occluder: ASO)をもちいたカテーテル治療を行っていますが、経食道心エコーによるリアルタイム3Dエコーは診断・治療のガイドとして必須で、心エコー図グループが心臓カテーテルグループと共同して治療に参加しています。ASO治療時には、小児循環器科-心臓血管外科-麻酔科と連携し、ハートチームとして治療にあたっています。

画像:リアルタイム3Dエコーを用いたASO治療。(左)欠損孔(心房中隔)、(右)Amplatzerによる閉鎖

<心筋ストレインによる心機能評価>
心エコー図検査における一般的な心機能の評価方法は、左室内腔容積の変化率でみる駆出率(EF)や左室内腔径の短縮率をみる方法がありますが、心臓病の中には、このような評価法では病態評価が困難なことがあります。近年、心筋そのものの機能に焦点をあて、局所心筋の"伸び縮み"を数値化した心筋ストレイン法が注目されています。2次元ならびに3次元スペックルトラッキング法を利用した手法により解析し、様々な心臓病の病態に心筋ストレイン解析を用いて臨床に応用しています。その他、心臓再同期療法におけるDyssynchrony(心室の非同期性)評価を行い、重症心不全治療への重要な役割を担っています。

画像:2次元ならびに3次元スペックルトラッキング法を利用した解析

【女性医師の活躍】

当グループでは以前より女性医師が多く在籍しています。他の循環器系検査では放射線被爆の問題があり、結婚・出産を考える女性医師にとって非侵襲的な心エコー図検査は、サブスペシャリティーとして選択する重要なポイントになります。実際、出産や子育てと両立して仕事を再開している女性医師が多数います。心エコー図検査の知識と技術があれば、自信をもってさまざまな心疾患の診断と治療方針が立てられます。また、多くの臨床研究も実施しているため、子育てをしながら学会活動や学位論文を作成する環境も整っています。

【専門性・特殊性】

当院の心臓血管外科には全国から多数の患者さんが紹介され、心臓手術症例は年間600件以上と豊富で、様々な症例のデータベース構築も行っています。それらを用いた予後の把握や、糖尿病患者、弁膜症患者における薬剤介入臨床研究なども行い、各学会での発表も積極的に行っています。
心エコ-図検査は循環器診療において必須な検査ではありますが、それを専門として研修できる施設は限られており、当院はその少ない施設のうちの一つです。当院では3か月間の心エコー図グループとしての研修は必須であり、カテーテルインターベンションや心不全治療、動脈硬化などの基礎研究に加え、さらに心エコー図学という専門分野に触れることでバランスのとれた循環器内科医をめざすことができるものと考えています。

研究実績

  1. Maruyama M, Daimon M, Kawata T, Kasai T, Ichikawa R, Miyazaki S, Ohmura H,Yamamoto T, Amano A, Daida H. Early hemodynamic performance of the trifecta bioprosthetic valve in patients with aortic valve disease. Circ J.2014;78(6):1372-8.
  2. Chiang SJ, Daimon M, Ishii K, Kawata T, Miyazaki S, Hirose K, Ichikawa R, Miyauchi K, Yeh MH, Chang NC, Daida H. Assessment of elevation of and rapid change in left ventricular filling pressure using a novel global strain imaging diastolic index. Circ J. 2014;78(2):419-27.
  3. Ichikawa R, Daimon M, Miyazaki T, Kawata T, Miyazaki S, Maruyama M, Chiang SJ, Suzuki H, Ito C, Sato F, Watada H, Daida H. Influencing factors on cardiac structure and function beyond glycemic control in patients with type 2 diabetes mellitus. Cardiovasc Diabetol. 2013 Feb 27;12:38.
  4. Kawata T, Daimon M, Hasegawa R, Toyoda T, Sekine S, Himi T, Uchida D, Miyazaki S, Hirose K, Ichikawa R, Maruyama M, Suzuki H and Daida H. Prognostic value of coronary flow reserve assessed by transthoracic Doppler echocardiography on long-term outcome in asymptomatic patients with type 2 diabetes without overt coronary artery disease. Cardiovasc Diabetol 2013:12(1):121
  5. Nishizaki Y, Daimon M, Miyazaki S, Suzuki H, Kawata T, Miyauchi K, Chiang SJ, Makinae H, Shinozaki T, and Daida H. Clinical Factors Associated with Classical Symptoms of Aortic Valve Stenosis. J Heart Valve Dis 2013 ;22(3):287-94. Makinae H, Numata N, Kitaoka H, Daimon M, Yamamoto T, Amano A. Use of pacemaker programmers for disaster victim identification. Forensic Sci Med Pathol 2013; 9(4):551-3
  6. Yang B, Daimon M, Ishii K, Kawata T, Miyazaki S, Hirose K, Ichikawa R, Chiang SJ, Suzuki H, Miyauchi K, Daida H. Prediction of Coronary Artery Stenosis at Rest in Patients with Normal Left Ventricular Wall Motion: Segmental Analyses Using Strain Imaging Diastolic Index. Int Heart J 2013; 54 (5); 266-272
  7. Miyazaki S, Daimon M, Miyazaki T, Onishi Y, Koiso Y, Nishizaki Y, Ichikawa R, Chiang SJ, Makinae H, Suzuki H, Daida H. Global longitudinal strain in relation to the severity of aortic stenosis: a two-dimensional speckle-tracking study. Echocardiography. 2011 Aug;28(7):703-8.
  8. Miyazaki S, Kasai T, Miyauchi K, Miyazaki T, Akimoto Y, Takagi A, Aihara K, Kawamura M, Suwa S, Kojima S, Sumiyoshi M, Daida H. Changes of matrix metalloproteinase-9 level is associated with left ventricular remodeling following acute myocardial infarction among patients treated with trandolapril, valsartan or both. Circ J. 2010 Jun;74(6):1158-64.