経皮的冠動脈インターベンション(PCI)

冠動脈疾患 (狭心症、心筋梗塞など)

順天堂医院では年間約2000件の冠動脈造影および約550件の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行しており、全国でも有数の症例数となっています。それぞれの症例に対してディスカッションを行い、長期予後までを考慮して個々の症例で適切な治療法を検討しています。重症冠動脈疾患例や付随する弁膜疾患の修復など外科適応症例に関しては、最高の技術を持った当院心臓血管外科とカンファレンスを行い、症例に応じて外科治療を選択することもあります。急性心筋梗塞など緊急症例は年間約120例で、心肺停止など重篤な症例に対しても24時間体制で対応し、大動脈内バルーンパンピング(IABP)、 経皮的心肺補助装置(PCPS)などの循環補助下でのPCIも施行しています。

カテーテル治療 (冠動脈内ステント留置)

当院でのPCIは、通常左橈骨動脈アプローチを主体として施行するため、負担が少なく術2時間後には歩行することが出来ます。(複雑病変や動脈の高度蛇行などで、下肢動脈アプローチを行う事も小数例ながらあります。)治療に際しては、個々の症例で適切なステントの種類を選択し、全身疾患を合併している患者さんには、他科との密接な連携によって、ステント留置の可否を含め最良の治療法を検討します。下記のとおり、様々なデバイスを適切に併用する事によりカテーテル治療の弱点とされていた再狭窄率も年々低下し、2016年は再狭窄率5%未満を達成しました。更に、当科では全国的な治験にも数多く参加しており、新型の薬剤溶出型ステントの留置や、生体吸収型ステントの留置などの最新治療も行っています。

ステント留置模式図

図:ステントの原理模式図
出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス(トーアエイヨー)

薬剤コーティングバルーン(DCB)

2014年より、再狭窄抑制のための薬剤(パクリタキセル)をコーテングしたバルーン(DCB)の使用が可能となりました。この治療法は、ステント内再狭窄症例や金属アレルギー、ステントの留置不能な小血管へのPCIに積極的に使用しています。

画像:薬剤(パクリタキセル)をコーテングしたバルーン(DCB)

ロータブレーター

透析患者さんや糖尿病患者さんに多く認められる高度石灰化病変では、留置後のステントの拡張が不十分になりやすく、再狭窄率が高いとされているばかりか、ステントそのものの通過が困難な症例もあります。当院ではこのような症例に対し、先端にダイヤモンドチップを有し、高速(15-20万回転/分)で回転して石灰化プラークを削りとるロータブレーターを積極的に使用しています。

写真:治療前、ロータブレータ(矢印)、ステント留置後

DCA (冠動脈粥腫切除術)

冠動脈のプラークを鉋のように削り取るデバイスで、特に偏心性に多量のプラークを有する病変に対して、病変部のプラーク量を減らす目的で使用します。また、分岐部病変においてステント留置による側枝の狭窄や閉塞窄を防ぐのにも有効であると考えられています。

画像:DCA (冠動脈粥腫切除術)

慢性完全閉塞病変(CTO)の治療

長期に渡り閉塞した血管は、硬くなり、通り道もわからないため、ワイヤー自体の通過も非常に困難なため、通常の狭窄部位の治療に比べて、成功率が低いとされています。当院では、優れた治療成功率と豊富な症例数を持つ術者のみが全国から選抜されるCTOレジストリーの登録医師がいるため、このような治療困難症例も他院よりご紹介いただき、多数施行しています。順行性のワイヤー通過が困難である場合は、積極的に逆行性アプローチを行うなどし、9割以上の高いCTO治療成功率に達しています。

画像:順行性および逆行性アプローチにより地領に成功した例