瘢痕、ケロイド、肥厚性瘢痕の治療

肥厚性瘢痕とケロイド

傷の治り方:

皮膚に傷ができると血液中の成分(フィブリン)がたまり、皮膚がくっつき始めます。
皮膚の表面である表皮は24時間以内に細胞がくっつきます。深いところは3日から4日間かけて毛細血管ができ、皮下組織の線維が形成され1週間ほどでくっつきが強くなり傷口が補強されます。1週間ほどで傷口の抜糸を行うのはこのような現象があるからです。
正常の傷は、一時的に赤くなっても徐々に赤みが引き、その後一時的に色素沈着(茶色く色がつく)が起きても徐々に色が引き、目立たない白い傷となります。
しかし、このような経過を取らず、いったん治った傷が1~2か月後から赤く盛り上がり、みみず腫れのようになることがあります。そのような場合には、肥厚性瘢痕やケロイド瘢痕の可能性があります。
肥厚性瘢痕とケロイドは見た目では区別は困難です。しかし、治療の効きやすさや再発の程度には大きな違いがあります。

それぞれの特徴を下記に示します。

肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)とは

何らかの異常で傷の治りが遅くなると、皮膚を作る線維細胞が過剰に産生され、その線維の増生で傷が赤くなり盛り上がります。肥厚性瘢痕の場合は傷を越えて病変が広がることはありません。時にきのこ状に増大することはあります。肥厚性瘢痕はケロイドと違い経過とともに色調は退色し、盛り上がりも徐々に平らになり、柔らかい傷となります。治療も効果が期待され、適切な治療を行うことで治る可能性があります。

肥厚性瘢痕の写真:

肥厚性瘢痕1 術前
肥厚性瘢痕1 術前
肥厚性瘢痕1 術後
肥厚性瘢痕1 術後
肥厚性瘢痕2 術前
肥厚性瘢痕2 術前
肥厚性瘢痕2 術後
肥厚性瘢痕2 術後

ケロイドとは

ケロイドの発生は遺伝的な素因があることもあり、アレルギー疾患をもつ人に多いようです。ケロイドの見た目は肥厚性瘢痕に似ているのですが、大きな違いは、傷を越えて正常皮膚まで病変が広がることです。また、痛みやかゆみを伴うことが多いです。ケロイドは治療効果が期待できない場合が多く、再発、増悪が多いです。しかし、治療により症状の軽減が期待できます。

<治療方法>

繰り返し述べたように肥厚性瘢痕とケロイドをはっきりと区別することは困難です。又その原因や治療もほぼ共通です。

・内服薬

リザベン(トラニラスト)という内服薬が、現在唯一国内で保険適応があり処方されている肥厚性瘢痕、ケロイドに対する治療薬です。リザベンは抗アレルギー薬でもあり、反応性に増える皮膚線維細胞の増殖を抑える効果があるとともに、傷の赤みやかゆみなどを軽減させる効果があります。

・ステロイド軟膏、テープ

ステロイドには抗炎症効果がありますので、皮膚線維細胞の増殖を抑え、赤みやかゆみに効果が認められます。ステロイドテープであるドレニゾンテープは瘢痕を超えて貼ると正常部分の皮膚に赤みを生じ、赤みがなかなか取れないことがありますのでテープは瘢痕内に張るようにしていただいています。

・圧迫療法

傷をシリコンシートなどで圧迫することでケロイドの血流を低下させ、皮膚線維細胞の増殖を抑えると言われています。また圧迫することで服や体の動きで傷がすれないため傷に対する刺激を軽減することができます。

・ステロイド注射

副腎皮質ホルモン、いわゆるステロイドをケロイドの中へ注射します。塗り薬やテープのステロイド治療に比べて直接注射するため効果が高いです。しかし、注射の痛みが伴うことと、月に一度の治療を継続する必要があります。また、薬が効きすぎると皮膚がへこんでしまうことがあります。

・手術療法

手術は病変を切りとって、回りの正常皮膚を内側からこまかく縫って再発を予防します。単純な手術方法だけでは高い確率で再発するので、併せて上記に書きました保存的治療方法を併用して再発予防を行います。手術をして再発すると、傷がより拡大することが考えられますので、手術の後も予防のために内服や外用治療をしっかり行うことが重要です。再発を予防するために放射線療法を併用する場合があります。放射線治療を併用するほうが再発を大幅に少なくすることができます。いわゆる電子線を、数回から十数回に分けて照射します。傷口の皮膚線維細胞の増殖を放射線で抑える効果があります。ケロイドのでき始めのときには比較的効果がありますが、古くなったケロイドにはあまりききません。後遺症としては皮膚障害や色素沈着などが起こる場合があります。

ケロイド手術療法
ケロイド1 術前
ケロイド1 術前
ケロイド1 術後
ケロイド1 術後
ケロイド2 術前
ケロイド2 術前
ケロイド2 術後
ケロイド2 術後

当院では患者さんの症状、状態を拝見させていただき、患者さんに適した治療を選択いたします。