関節リウマチrheumatoid arthritis, RA

疾患概念・病態

関節リウマチ(RA)は、関節滑膜を病変の主座とする全身性の慢性炎症性疾患で、発症には自己免疫異常が関与すると考えられている。関節の炎症のみならず、骨・軟骨の破壊を伴い、関節破壊は発病後数年以内に進行する。
RAでは、多関節炎と関節破壊による関節機能障害、抑うつ、間質性肺炎などの臓器障害、感染症に代表される治療薬の副作用などがみられ、患者QOL(Quality of Life)は低下し、早期死亡や平均余命短縮もみられる。遺伝的要因としてHLA-DR4遺伝子(日本人ではHLA-DRB1*0405)がRAの発症および重症化の因子として知られている。環境要因としては喫煙がRA発症のリスクを高めるのみならず、関節破壊の進行にも関連することが示されている。
遺伝的背景を有し、喫煙や他の環境要因により自然免疫系が繰り返し活性化されることにより自己免疫性が徐々に高まり発病に至ると考えられるが、なかでも蛋白翻訳後にアルギニンをシトルリンに変換する酵素であるpeptidyl arginine deiminase (PAD) によってシトルリン化された蛋白に対する抗体(anti- cyclic citrullinated peptide antibody; anti-CCP, ACPA)が産生されることがRAに特徴的である。喫煙により肺胞マクロファージなどでシトルリン化が促進されること、PAD酵素群のうちPAD4遺伝子の多型がRAと相関することなどが示されている。ACPAやリウマトイド因子(rheumatoid factor, RF)はRA発症の数年前に遡って検出され、ACPAのepitope spreadingや親和性の増強を経て発病に至ると考えられている。病態に関与するサイトカインも発症前から経時的な上昇がみられる。
RAの病態形成には多くの細胞やサイトカイン、ケモカインなどが関わっている。T細胞は滑膜に集簇し自己反応性クローンはB細胞を介して自己抗体産生を誘導するが、Th1細胞、Th17細胞はIFNγ、TNF、IL-17、IL-21、IL-22などのサイトカインを産生し病態に強く関与する。B細胞も胚中心形成やT細胞との相互作用などで慢性炎症の病態に関わる。マクロファージ、滑膜線維芽細胞からは炎症性サイトカインのみならず、蛋白分解酵素が産生され軟骨破壊をきたす。滑膜組織は増殖し、血管新生を伴いパンヌスを形成する。滑膜に浸潤した破骨細胞前駆細胞は炎症性サイトカインやRANKL(receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand)存在下で破骨細胞に分化して骨破壊に直接的に関与する。

疫学

国内のRA患者は約80万人で、有病率調査では人口1,000に対して女性5.2、男性1.1で男女比は1:4.7、有病率は0.33%とされている。自己抗体に関して、一般人が5年以内にRAを発症する予測率はRF陽性で1.5%、ACPA陽性で5.3%で両者陽性で100%との海外の報告がある。

診断・鑑別診断

診断

典型的には血清学的所見を伴う慢性多関節炎であるが、早期では非典型例も多い。滑膜炎は関節の触診で軟部組織の腫脹として軟らかく触知され、圧痛や熱感を伴う。関節炎をきたす疾患は多岐にわたるため、後述する鑑別診断が重要である。X線では骨びらんが特徴的であるが発症後すぐにはみられない。関節超音波は滑膜肥厚や炎症を表す血流増加がとらえられ、診断の助けとなる。MRI(magnetic resonance imaging)の特異的な所見として骨髄浮腫があり早期診断の参考となる。
RAの新分類基準が2010年に米国・欧州リウマチ学会(American College of Rheumatology, ACR/ European League against Rheumatism, EULAR)より発表され(表1)、臨床試験、臨床研究をはじめとして用いられている。診断がつかない関節炎は診断未確定関節炎と呼ばれるが、25~50%は1年以内に症状が消失し、30~50%がRAに移行するとされる。

鑑別診断

変形性関節症は罹患率も高く、DIP、PIP関節が侵されるが、触診では骨棘が固く触れる。その他、ウイルス・細菌感染症、特に伝染性紅斑流行時のパルボB19ウイルス感染症、他の全身性結合組織疾患、脊椎関節炎などの鑑別を行う(表2)。

表1 ACR/EULAR2010関節リウマチ分類基準(文献2)

  1. 1関節以上に臨床的滑膜炎を認める。
  2. 滑膜炎の原因が他疾患で説明がつかない。
    罹患関節スコア
    大関節1カ所*1>0
    大関節2~10カ所1
    小関節1~3カ所*22
    小関節4~10カ所3
    11カ所以上(1カ所以上の小関節)5
    血清学的検査
    リウマトイド因子陰性かつ抗CCP抗体陰性0
    いずれかが低力価2
    いずれかが高力価*33
    急性期反応物質
    CRP正常かつ赤沈正常0
    CRP、赤沈のいずれかが異常1
    症状の持続
    6週間未満0
    6週間以上1
    • *1:大関節:肩、肘、股、膝、足関節
    • *2:小関節:PIP、MCP、2~5MTP、手関節
    • *3:正常上限が3倍を超えるもの

表2 関節リウマチと鑑別すべき疾患(難易度別)

鑑別
難易度
疾 患 名
  1. ウイルス感染に伴う関節炎(パルボウイルス、風疹ウイルスなど)
  2. 全身性結合組織病(シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、皮膚筋炎、多発性筋炎、強皮症)
  3. リウマチ性多発筋痛症
  4. 乾癬性関節炎
  1. 変形性関節症
  2. 関節周囲の疾患(腱鞘炎、腱付着部炎、肩関節周囲炎、滑液包炎など)
  3. 結晶誘発性関節炎(痛風、偽通風など)
  4. 血清反応陰性脊椎関節炎(反応性関節炎、掌蹠膿疱症性骨関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患関連関節炎)
  5. ベーチェット病、血管炎症候群、成人スチル病、結節性紅斑
  6. その他のリウマチ性疾患(回帰性リウマチ、サルコイドーシス、RS3PEなど)
  7. その他の疾患(更年期障害、繊維筋痛症)
  1. 感染に伴う関節炎(細菌性関節炎、結核性関節炎など)
  2. リウマチ熱、再発性多発軟骨炎など
  3. 悪性腫瘍(腫瘍随伴症候群)
  4. その他の疾患(アミロイドーシス、感染性心内膜炎、複合性局所疼痛症候群など)

鑑別難易度 高:頻度もスコア偽陽性になる可能性も比較的高い、中:頻度は中等または高いが、スコア偽陽性の可能性は比較的低い、低:頻度もスコア偽陽性になる可能性も低い(日本リウマチ学会新基準検証委員会報告書)

臨床症状

関節症状

滑膜が炎症の主座であり、滑膜が存在する関節包、腱鞘、滑液包における炎症による症状を呈する。関節の痛み、腫れ、熱感、こわばり、バネ指などがみられ、大関節よりも、手指、手関節、足趾などの小関節が侵されることが多い。頚椎を除き脊椎が侵されることはまれである。1時間以上続く朝のこわばりはRA以外の疾患ではまれであり、高度な関節炎を反映している。
手指では、DIPには非常に少なくMCPやPIPへの罹患が高頻度であることが特徴である。足趾の所見も重要である。起床後の歩行時に出現する母趾球から小趾球にかけての熱感、しびれ、痛み、さらには、靴がきつくなる、小趾外側が当たって痛む、等も関節炎を示唆する。足趾の開大はMTP関節間の滑液包炎を示唆するため問診・診察を丹念に行う。
病勢が十分にコントロールされなければ、骨・軟骨の破壊をきたし関節変形へと伸展する。疼痛と関節変形は日常生活能力とQOLの著しい低下を招く。

関節以外の症状

38度を超えない発熱、筋痛、倦怠感、体重減少、うつ症状などの全身症状もみられる。他に、表3に示すように種々の症状を呈しうる。

表3 関節リウマチの関節外症状

強膜炎、穿孔性強膜軟化症
血液貧血、Felty 症候群
間質性肺炎、肺線維症、胸膜炎、細気管支炎、気管支拡張症
心・血管虚血性心疾患、皮膚潰瘍
神経脊髄圧迫症状、多発性単神経炎
皮膚リウマトイド結節
消化管胃潰瘍

後述する治療薬の副作用で、腎機能障害、間質性肺炎、感染症、消化管障害などを合併することがあるため注意を要する。

検査所見

関節リウマチの診断補助

RF(感度69%、特異度85%)、抗CCP抗体(感度67%、特異度95%)の検査が有用である(文献1)。2010年関節リウマチ分類基準(表1)の配点からも診断への高い貢献度がわかる。

疾患活動性判断の補助

CRP、赤沈、マトリックスメタロプロテアーゼ3(matrix metalloproteinase-3, MMP-3)が有用であるが、小関節の炎症のみではそれらの検査異常がみられないことが多いので注意が必要である。炎症を反映し、貧血、血小板増加、補体増加、ガンマグロブリン増加、アルブミン低下などもみられる。

疾患活動性指標:DAS28, CDAI, SDAI

臨床的評価項目を組み合わせて算出されたスコアを疾患活動性判断の指標として用いる。ここでの評価関節部位はMCP、PIP、IP、手、肘、肩、膝関節の計28関節。以下に代表的スコアを示す。

  1. Disease activity score 28 (DAS28)
    = 0.56×√(圧痛関節数:TJC)+ 0.28×√(腫脹関節数:SJC)
    + 0.70×Ln(ESR)+0.014 × 患者による全般評価(100mmVAS)
    (寛解≤2.6, 2.6<低疾患活動性≤3.2, 3.2<中疾患活動性≤5.1, 5.1<高疾患活動性)
  2. Clinical disease activity index (CDAI)
    TJC + SJC +患者による全般的評価(10cmVAS)+医師による全般的評価(10cmVAS) (寛解≤2.8, 2.8<低疾患活動性≤10, 10<中疾患活動性≤22, 22<高疾患活動性)
  3. Simple disease activity index (SDAI)
    CDAI+CRP(mg/dl)
    (寛解≤3.3, 3.3<低疾患活動性≤11, 11<中疾患活動性≤26, 26<高疾患活動性)

治療

治療指針(文献3)

予後改善のために早期からの積極的冶療とタイトコントロールが重要である。 2010年に、早期診断から治療ゴールまでの治療アプローチの指針、Treat to Target リコメンデーション(図1、表4)が策定され、2014年にアップデートされた。

図1 Treat to Target リコメンデーション

図1 Treat to Target リコメンデーション

表4

基本的な考え方

  1. 関節リウマチの治療は、患者とリウマチ医の合意に基づいて行われるべきである。
  2. 関節リウマチの主要な治療ゴールは、症状のコントロール、関節破壊などの構造的変化の抑制、身体機能の正常化、社会活動への参加を通じて、患者の長期的 QOLを最大限まで改善することである。
  3. 炎症を取り除くことが、治療ゴールを達成するために最も重要である。
  4. 疾患活動性の評価とそれに基づく治療の適正化による「目標達成に向けた治療(Treat to Target, T2T)」は、関節リウマチのアウトカム改善に最も効果的である。

ステートメント

  1. 関節リウマチ治療の目標は、まず臨床的寛解を達成することである。
  2. 臨床的寛解とは、疾患活動性による臨床症状・徴候が消失した状態と定義する。
  3. 寛解を明確な治療目標とすべきであるが、現時点では、進行した患者や長期罹患患者は、低疾患活動性が当面の目標となりうる。
  4. 日常診療における治療方針の決定には、関節所見を含む総合的疾患活動性指標を用いて評価する必要がある。
  5. 疾患活動性指標の選択や治療目標値の設定には、合併症、患者要因、薬剤関連リスクなどを考慮する。
  6. 疾患活動性の評価は、中~高疾患活動性の患者では毎月、低疾患活動性または寛解が維持されている患者では6ヵ月ごとに、定期的に実施し記録しなければならない。
  7. 治療方針の決定には、総合的疾患活動性の評価に加えて関節破壊などの構造的変化及び身体機能障害もあわせて考慮すべきである。
  8. 治療目標が達成されるまで、薬物治療は少なくとも3ヵ月ごとに見直すべきである。
  9. 設定した治療目標は、疾病の全経過を通じて維持すべきである。
  10. リウマチ医は、患者の「目標達成に向けた治療(T2T)」の設定に関わるべきである。

薬物療法

治療薬の選択に関するリコメンデーション(図2)では、診断後早期にメトトレキサート(methotrexate, MTX)を第一選択とした抗リウマチ薬(disease modified anti rheumatic drugs, DMARDs)を開始し、3~6ヶ月以内に寛解あるいは低疾患活動性に達することを目指す。目標に達しない場合に、生物学的製剤を含めた他剤への変更あるいは追加を考慮する、としている。

図2 (文献4)

図2 文献4

1)メトトレキサート(methotrexate, MTX)
RA患者の70~80%に用いられ、中心的役割(アンカードラック)を担う葉酸代謝拮抗剤である。一般にDMARDsは遅効性であるが、MTXは2~3週から効果がみられる。MTXは、1週間に1−2日間のみ内服し、それ以外の5~6日間は休薬する。副作用軽減のためにMTX内服日から1日あけ葉酸を内服する。MTXは腎排泄であるため腎機能障害、高齢の患者に投与する際には十分な注意が必要である。透析患者、高度な呼吸器障害、胸腹水のある症例、妊婦・授乳婦、B型肝炎ウイルス保持者への投与は禁忌である。副作用として口内炎、倦怠感、肝機能障害、骨髄抑制、間質性肺炎、感染、リンパ腫などがありうるため、注意深い副作用モニタリングと発現時の迅速な対応が求められる。

2)MTX以外のDMARDs
副作用や禁忌のためにMTXを使用できない場合には、他のDMARDsを考慮する。また、MTXのみで効果不十分な場合に、他のDMARDsを追加併用する。

  1. サラゾスルファピリジン(salazosulfapyridine, SASP)
    世界的に広く使用されており、早期で予後不良因子のない比較的低から中疾患活動性のRAで用いられる。通常、1.0g/日を1日2回に分割し経口投与する。MTXとの併用も有効である。副作用として多いのは、皮疹や掻痒感、胃腸障害、肝障害である。
  2. ブシラミン(Bucillamine, Buc)
    我が国で開発されたSH基製剤で、D-ペニシラミンと類似した構造をとる。比較的低から中疾患活動性のRAに用いられる。50~100mg/日から投与を開始し、100~200mg/日の範囲で多くは使用される。頻度の高い副作用として嘔気、嘔吐、下痢、味覚異常、皮疹、肝障害、黄色爪などがみられる。
    注意すべき副作用として蛋白尿や間質性肺炎があるため、定期的な尿検査とレントゲン検査が必要である。蛋白尿は速やかな薬剤中止により改善することが多いが、ときに副腎皮質ステロイドの投与が必要な場合がある。
  3. タクロリムス(tacrolimus, FK506)
    我が国で開発された薬剤であり、シクロスポリンと同様にカルシニューリンを阻害することで効果を発現する。3mg/日まで使用可能だが、少量の1~2mg/日で用いられる事が多い。主な副作用は腎機能障害、感染症、耐糖能異常、胃腸障害である。まれではあるが血栓性血小板減少性紫斑病を発症し治療に難渋することがあるため、念頭にモニタリングを行う。トラフ値を測定し、10ng/mlを超えないように投与量を調整する。CYP3A4を介して代謝されるため、マクロライド系抗菌剤やアゾール系抗真菌剤、グレープフルーツとの併用で血中濃度が上昇するため注意を要する。
  4. イグラチモド(Iguratimod)
    日本で開発された薬剤である。FκBの活性を阻害することにより炎症性サイトカインや免疫グロブリンの産生を抑制する。副作用としては、肝機能障害や胃腸障害が多いとされている。

3)生物学的製剤

生物学的製剤
  1. TNF-α阻害薬(tumor necrosis factor-α inhibitor)
    代表的な炎症性サイトカインであるTNF-αを中和し、抗炎症作用を発揮する。膜結合型TNFαに結合する事で生じる補体依存性細胞障害作用(complement-dependent cytotoxicity, CDC)や、TNFα産生細胞に結合した抗体製剤のFc部分にFc受容体を持つエフェクター細胞が結合することで生じる抗体依存性細胞障害活性(antibody-dependent-cellular-cytotoxicity, ADCC)などがその作用に関与する。臨床症状改善における高い有効性だけでなく、骨破壊進行の抑制、身体機能の改善も示されている。MTXとの併用により作用の増強効果が得られる。
    TNFαは感染防御に重要な役割を果たしており、TNFα阻害薬の使用による感染症の増加が示されている。結核のリスク増大においては、QFT(QuantiFERON)やTSPOTを用いたスクリーニングと必要時はイソニアジド投与によるリスク回避を行う。B型肝炎の再活性化も問題となるため、HBs抗原、HBc抗体によるスクリーニングも投与前に行う。
  2. IL-6阻害薬 トシリズマブ(tocilizumab, TCZ)
    IL-6受容体に対するヒト化モノクローナル抗体製剤。TNFα阻害薬と同等の臨床症状の改善、骨破壊抑制効果、身体機能改善効果が示されている。TNFα阻害薬と異なり、MTX非併用時においても高い有効性が得られる。IL-6のブロックにより、発熱や倦怠感、CRPの上昇がマスクされるため、感染症の徴候を見逃さないように注意深い診察が必要である。
  3. T細胞活性化阻害薬 アバタセプト(abatacept; CTLA4-Ig, ABA/ABT)
    T細胞の活性化には抗原特異的シグナルおよび共刺激シグナルの少なくとも2種類のシグナルが必要となる。アバタセプトは抗原提示細胞表面のCD80/CD86に結合し、T細胞表面CD28の共刺激シグナルを阻害することでT細胞の活性化を抑制し、TNFα、IL-6などの炎症性サイトカインの産生を抑制する。
    TNF阻害薬に比して効果発現が遅いが、その臨床効果、骨破壊進行の抑制、身体機能の改善効果はTNF阻害薬とほぼ同等である。アバタセプトはTNF阻害薬に比して重篤な感染症のリスクが低いことが示されている。

4)低分子化合物
・トファシチニブ(Tofacitinib)
DMARDsの新しいタイプとなるヤヌスキナーゼ(janus kinase, JAK)を阻害する薬剤として、2013年7月に発売された。前述の生物学的製剤は単一の分子をターゲットにしていたが、トファシチニブが標的とする JAK はIFN γ、IL-2、IL-6 のシグナル伝達に影響し、さらに造血細胞の増殖・分化や免疫応答などに幅広く関与し、生物学的製剤と同等の有効性を示す。
常用量は1回5mgを1日2回であり、中等度または重度の腎機能障害もしくは中等度の肝機能障害を有する患者、マクロライド系抗菌薬やアゾール系抗真菌薬などのCYP3A4 阻害薬との併用時には1日1回に減量する。
日本リウマチ学会が策定した「全例市販後調査のためのトファシチニブ使用ガイドライン」ではMTX 8mg/週を3ヶ月以上継続して治療してもコントロール不良の関節リウマチ患者を対象にすべきとされている。帯状疱疹、重篤な感染症、悪性腫瘍の発現が報告されている。これらの情報を十分説明した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与を行う。

5)副腎皮質ステロイド
長期使用により骨粗鬆症や感染症など様々な副作用のリスクとなり、また、MTXや生物学的製剤などの近代の治療薬の高い有効性から、現在ではその使用頻度は低下している。発症早期に高い疾患活動性のコントロールを目的に短期間のみ使用し、その後に減量中止する、あるいは特に炎症の強い関節部位に対して関節注射を施行するなどにその使用は現在では控えられている。

6)非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs, NSAIDs)
沈痛目的に使用されるが、治療の主軸であるDMARDsによる活動性コントロールに基づいた除痛を心掛け、DMARDsの有効性が得られるまでの期間のみ使用し、漫然と使用せず可能な限り減量中止したい薬剤である。長期使用により胃腸障害、腎機能障害の出現が危惧されるため、特に高齢者においては可能な限り使用を控えたい。

予後

関節のみならず関節以外の症状として、動脈硬化に伴う血管病変、呼吸器障害、腎障害、貧血、消化管潰瘍、ステロイドによる骨粗鬆症、感染の併発などきたすため、生命予後も健常者に比較して一般に不良である。しかし治療薬の進歩に伴い、病状コントロールの改善・合併症の減少・生命予後の改善が期待できるようになった。

  1. Nishimura K et al. Meta-analysis : diagnostic accuracy of anti-cyclic citrullinated peptide antibody and rheumatoid factor for rheumatoid arthritis. Ann Intern Med 146 : 797-808, 2007
  2. Daniel Aletaha, et al. Arthritis Rheum Vol. 62, No. 9, September 2010, p 2569-2581
  3. Smolen JS, et al. Ann Rheum Dis 2015; 0: 1-13.
  4. Smolen JS, et al. Ann Rheum Dis 2014; 73: 492-509.