診療科概要
当科は、昭和44年に我が国で初めて設立された「膠原病内科」です。平成15年4月に診療科名を「膠原病・リウマチ内科」に変更し、膠原病やリウマチ性疾患を専門的な立場から診療しており、約30名の日本リウマチ学会専門医や日本リウマチ財団登録医をはじめとした約55名の医局員が、外来・病棟での診療および研究に従事しております。更に、国内・外、臨床・研究を問わず留学生の受け入れも積極的に行っております。
膠原病とは
膠原病とは、免疫力・抵抗力に異常をきたし全身のあらゆる臓器に慢性的な炎症を引き起こす疾患群の総称です。自分自身の臓器を構成する細胞・蛋白質に異常な免疫反応が起こることから、「自己免疫疾患」とも呼ばれます。
免疫力・抵抗力は、健康な状態であれば外部からの病原菌や異常な細胞に対してのみ働きますが、なんらかの原因でこのシステムに異常を起こし、自身を構成する細胞と外部から侵入した病原菌の識別が不可能となり、病原菌が存在しないにもかかわらず自身の組織を病原菌であると認識してしまいます。その結果、本来は病原菌にのみ反応するリンパ球や抗体が自身の細胞に対して産生され、体のあらゆるところに炎症を引き起こしてしまいます。その代表的な疾患が関節リウマチです。
自身の蛋白質に対して産生された抗体を自己抗体と呼び、全てではありませんが血液検査で測定することが可能となっています。しかし自己抗体もその種類によっては病的な抗体ではない場合もありますので注意が必要です。
膠原病は1942年アメリカの病理学者であるポール・クレンペラー(Klemperer Paul. 1887-1964)によって初めて命名された疾患群で、英語ではcollagen diseaseと呼ばれています。当初、原因不明であったこの病気を病的な免疫反応が起こる部位・臨床症状から
- 関節リウマチ
- 全身性エリテマトーデス
- 強皮症
- 皮膚筋炎、多発性筋炎
- 結節性動脈周囲炎
- リウマチ熱
の6疾患に分類しました。
全ての疾患において人の細胞を結合している膠原線維がフィブリノイド変性を起こしていることを見いだし「膠原病」と名づけられました。しかしこの膠原線維のフィブリノイド変性は他の病気でも呈していることが分かり「びまん性結合組織病」と変更されましたが、歴史的な背景から本国では、いまだ膠原病という名称が一般的に使用されています。
これらの6疾患は古典的膠原病とよばれ現在では、その臨床症状や経過、病理的特長、異常免疫の機序、検査所見などからさらに細分化されており、当科では主に以下の疾患の診療を行っております。
- 関節リウマチ
- 悪性関節リウマチ
- フェルティ症候群
- 成人スティル病
- 若年性関節リウマチ(若年性特発性関節炎)
- 血清反応陰性関節炎(HLA-B27関連関節炎:強直性脊椎炎、Reiter症候群、乾癬性関節炎など)
- 全身性エリテマトーデス
- 抗リン脂質抗体症候群
- 強皮症(全身性硬化症)
- 皮膚筋炎・多発性筋炎
- シェーグレン症候群
- 混合性結合組織病
- 結節性多発動脈炎
- 顕微鏡的多発血管炎
- 多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫症)
- 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧称:アレルギー性肉芽腫性血管炎)
- 高安動脈炎(大動脈炎症候群)
- 巨細胞性動脈炎(旧称:側頭動脈炎)
- ベーチェット病
- リウマチ性多発筋痛症
- リウマチ熱