自然気胸は、20~30歳代のやせた男性に多く、bullaの破裂が原因で肺が縮む病気です。この病気は60%程度の再発があり、外科的治療が必要になってきます。当科では気胸に対する主たる手術は胸腔鏡下手術です。胸腔鏡下手術は側胸部に小さな穴を3ヶ所あけ、内視鏡で胸腔内を観察しながら、bullaを見つけ、このbullaを自動縫合器で切除する方法です。さらに症例によっては再発予防処置も行います。胸腔鏡下手術は開胸手術と異なり、術後の創痛も軽く、患者さんへの手術侵襲も少ない点で有用と考えています。

嚢胞性肺疾患の代表的なものが巨大肺嚢胞症です。鶏卵大の嚢胞が胸腔内に存在し、正常肺組織を圧迫して、呼吸困難、胸痛等の呼吸器症状を引き起こします。この疾患に対しても、当科では胸腔鏡下手術を行っています。手術では嚢胞を開き、嚢胞底部を確認して切除しなければいけません。症例によっては、嚢胞底部を確認するために小開胸を置く場合もあります。この嚢胞を含めた肺組織を切除することにより、呼吸困難、胸痛等の呼吸器症状が軽減、消失します。

当科では、基本的には手術前日に入院し、手術時間は2時間以内で手術翌日から食事を開始し、術後空気漏れがなければ手術翌々日に退院としています。さらに他病院で気胸が治らない難治性肺瘻の患者さんも要請があれば積極的にお引き受けさせていただき、胸腔鏡手術で治しています。遠慮なくご相談ください。