対象疾患

気管支喘息

新型コロナウイルス感染の流行が遷延しており、心配が絶えない状況と思います。気管支喘息(以下、喘息)は、新型コロナに感染しやすいとか重症化しやすいということはありませんが、リスクを軽減するためには、悪化を起こすような症状管理が不十分な状況を避ける必要があります。病院に来院することが困難な患者さんもおられると思いますが、電話再診なども行っておりますので、適切に治療を受けられることをお願いさせていただきます。

当院では、日本アレルギー学会アレルギー専門医(内科)・指導医である原田を中心に、長岡、伊藤、笹野(2022年6月まで)、三道(2022年6月まで)、安部(2022年7月より)の体制で週6回の喘息専門外来を行っています。吸入ステロイドの進歩、普及に伴い喘息は良好な管理が可能となってきました。喘息は、発作時や症状が強く出ている時だけが喘息ではありません。大事なことは、症状のない時も喘息であるという認識と、管理良好な症状のない状況を維持することです。これを達成し得る治療が吸入ステロイドです。悪い状況を放置すると気道のリモデリングといって、不可逆的な気道(空気の通り道)の組織再構築が起きてしまいます。リモデリングを起こさないように吸入ステロイドを中心とした喘息治療の必要性をご理解ください。吸入ステロイド薬の使用には、吸入手技の習得が不可欠です。当科外来では看護師がしっかりと吸入指導を行います。1度より2度以上の指導を受けると習得率が上がりますので、再指導をご希望される方はお申し付けください。また、吸入ステロイドと共に大事なことに環境整備と併存症管理があります。喫煙を続けながら、ペットと添い寝しながら、部屋の掃除を放置したままなど環境が整わない状況下、あるいは、鼻炎、副鼻腔炎、胃食道逆流症、睡眠時無呼吸症候群などの併存症管理が不十分な状況下では、喘息管理状況を良好に保つことが困難となります。適切な環境整備と併存症管理をご一緒に考えて参ります。

また、吸入ステロイドを適切に使用され、環境整備や合併症管理も実現可能な範囲で適切に行われていても喘息管理状況が不良な難治性とされる喘息患者さんは 喘息患者さん全体の5-10%ほどいらっしゃいます。当院では、喘息関連治療薬の処方数は全国でも有数の処方数を誇っていますが、 なかでも、難治性喘息患者さんに有効である生物学的製剤の使用経験に富んでいます。さらに、Alair気管支サーモプラスティシステムを用いた 気管支サーモプラスティ療法も行っています。新規薬剤の治験も積極的に行っていますので、お問合せいただけたらご案内させていただきます。 また、スギ花粉症合併喘息患者さんには、スギ花粉舌下免疫療法の併用も積極的に行っています。

喘息の生物学的製剤治療や気管支サーモプラスティは高額ではありますが、高額療養費制度などをご紹介させていただきながらご案内させていただいています。
以下に気管支サーモプラスティについて簡単にご説明させていただきます。
当院では、最重症喘息に用いられる抗体治療も含めた既存の治療を行っても喘息管理が不良な患者さんを対象に、 気管支サーモプラスティを行うべき患者さんを総合的に判断しています。気管支サーモプラスティとは、 重症喘息を治療するための気管支鏡を用いる手技です。高周波電流により気管支壁を65℃に熱することで、 肥厚した気道平滑筋を減少させ、喘息発作を緩和させることを目的とする治療です。

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治療は、3週間以上の間隔を空けて3か所に分けて3回の入院で行います。治療後に喘息が完治する治療ではありません。治療後も専門医の下で薬物治療による喘息症状の管理を継続します。