診療科概要

手術室部門

順天堂医院麻酔科および手術室は2016年9月よりそれまでの15部屋(日帰り手術室2部屋を除く)から20部屋での運営となります。これまで同様、日本麻酔科学会の認定を受けた16名の常勤指導医・11名の専門医および認定医を中心に、丁寧な説明、綿密な手術前麻酔計画、安全・安心な麻酔、適切な手術後の全身管理、痛みの管理を行い、患者さんの心と身体の安全を守ってまいります。

手術前診察

手術という体に対し大きな侵襲を伴う治療を行うにあたっては、そのストレスから患者さんの心身を守る為、適切な麻酔管理を提供することが必要不可欠です。そして安全な麻酔を行うには手術前から患者さんの状態を詳しく把握し、適切な方針を計画することが重要です。そのため予定・緊急問わず全症例で術前診察や病棟術前訪問を行っております。
患者さんの状態や病気、行う手術に対して起こりうる麻酔中の事象を想定し、さらに手術後の全身状態や痛みの管理まで想定して麻酔計画を行っております。ご不明な点があれば可能な限りお答えいたしますので、お気軽にお尋ねください。

安全な麻酔管理

手術中の麻酔科医の仕事は、麻酔をかけて患者さんを眠らせることだけではなく、患者さんの安全を護ることです。当院は日本麻酔科学会の認定施設であり、指導医、専門医が中心となって、患者さんにとって最適な手術環境を提供しています。麻酔管理にあたっては、安全であることを最優先にし、日本麻酔科学会による「安全な麻酔のためのモニター指針」に基づいた麻酔を実施しています。一人の患者さんに対し、最低二人以上の医師(麻酔科医師・麻酔指導医)が診療にあたることで安全かつ適切な麻酔管理に努めております。

手術後管理

手術が終わった後はすぐに病棟ベッドに帰室するのではなく、手術室フロア内の回復室において、患者さんの呼吸や循環が安定していること、適切な痛みのコントロールができていることを確認してから、麻酔指導医の判断の元で病棟に帰室して頂きます。病棟に帰室していただいた後も担当麻酔科医が手術後訪問を行い、患者さんの状態を把握し必要に応じて適切な治療・痛みの管理を行っております。
手術室併設の集中治療室は、心臓手術などの大きな手術を終えた手術後全身管理が必要な患者さんや、病院内で疾患が重症化した患者さんを対象としており、麻酔科を中心に各診療科や看護師・臨床工学士などのコメディカルと連携を取りながら運営しています。当院では集中治療専属医師として佐藤大三教授・三高知惠子教授が管理運営及び指導を行っており、他診療科や各部門と連携して多職種によるチーム医療を推進し、特定機能病院としての高度医療を提供しています。

以上のように、麻酔科(手術室部門)では術前から術後まで患者さんに安全に手術を受けていただく体制を整えて、麻酔診療を行っております。

臨床研修指定病院

当院は厚生労働省から指定を得た臨床研修指定病院であり、日々の診療はもちろん次世代を担う若手医師の教育・指導の義務のある病院です。そのため患者さんの診療にあたっては臨床研修医が担当させて頂くことも多くございます。診察において患者さんが抱いた疑問点などに十分に答えることができない場合も想定されますが、指導医との連携のもと患者さんが満足のいく説明・診療を心がけておりますので何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

産科麻酔部門

ご挨拶

諸外国では一般的に行われている無痛分娩ですが、日本ではまだ十分に普及していません。その原因として「お腹を痛めて産んだ赤ちゃん」などの表現が用いられるように、日本では陣痛に耐えて産むことを美徳とする風潮があることが指摘されています。しかし海外で出産される日本人の多くが無痛分娩を選択して良好な母子関係を築かれている事実は、日本で出産する女性だけが痛みに耐える必要がないことを如実に物語っています。

日本で無痛分娩が普及しない最大の理由は、一施設当たりの分娩数が少ないために無痛分娩を担当する麻酔科医を常時配置することが困難であるからだと思われます。日本の多くの病院ではこのような状況で無痛分娩を行うための苦肉の策として、無痛分娩を希望する妊婦に対しては計画分娩を勧めたり、麻酔科医ではなく産婦人科医が無痛分娩を担当したりしてきました。しかし安全で質の高い無痛分娩を提供するためには産科麻酔に理解のある麻酔科医の関与は不可欠です。

順天堂医院では2014年より産婦人科と麻酔科が協力して24時間体制で自然陣発後の無痛分娩に対応するサービスを開始いたしました。特に初産婦さんでは、自然の陣痛を待ってから入院していただき妊婦さんが鎮痛処置を希望した時点で無痛分娩を開始することで、より順調な分娩の進行が期待できます。もちろん分娩経過が早い可能性の高い経産婦さんなどには計画分娩での無痛分娩にも対応していますが、24時間体制で無痛分娩に対応できますので、実際に無痛分娩を受けるかどうかは分娩経過中に決めていただくことも可能です。また産科麻酔に理解のある麻酔科医が24時間体制で配置されているので、緊急の帝王切開になった場合でも安心です。

日本で最初の無痛分娩は、1916年に与謝野晶子が五男を順天堂医院で分娩した際に施されたとの記録が残っています。それから1世紀近くが経ちましたが、ようやく24時間体制で無痛分娩に対応することが可能となりました。産婦人科外来内に産科麻酔外来を開設しましたので、順天堂医院で分娩予定の妊婦さんで、無痛分娩に興味のある方の受診をお待ちしています。

診療のご案内

無痛分娩について

当院では24時間体制で自然陣発後の無痛分娩にも対応していますので、無痛分娩のためだけに計画分娩にする必要はありません。麻酔法は硬膜外麻酔単独あるいは脊髄くも膜下麻酔と硬膜外麻酔の併用により行っています。麻酔を導入してから分娩までは自己疼痛管理装置(PCA装置)を用いて痛みをコントロールしてもらいますが、麻酔科医が定期的に訪問し最後まで十分な鎮痛を提供できるようにしています。

帝王切開の麻酔について

当院では予定帝王切開は原則として局所麻酔(脊髄くも膜下麻酔)で管理しています。術後鎮痛のための硬膜外麻酔は行っていませんが、脊髄くも膜下麻酔に少量の麻薬を使用し、経口の鎮痛薬を積極的に用いることにより十分な鎮痛を提供しています。無痛分娩中に緊急帝王切開が必要になった場合には、硬膜外麻酔で管理しています。

当院での分娩を希望される方へ

産科麻酔外来のご紹介

当院で出産を予定されている妊婦さんには妊娠36週までに産科麻酔外来を受診していただきます。帝王切開予定の妊婦さんには、帝王切開の麻酔法についてあらかじめご説明しておきます。経膣分娩予定の妊婦さんには無痛分娩についてご説明しておきますが、無痛分娩を選択するかどうかは分娩経過中に決めていただいて結構です。同時に、緊急の帝王切開が必要となった場合でもあわてることの内容に事前にしっかりと準備しておきます。

ペインクリニック部門

ご挨拶

痛みは、毎日の暮らしに大きな影響を与える症状です。治療に抵抗性の痛みや繰り返す痛みでお悩みのかたもおられることでしょう。まずは、普段の生活に戻れることを目標に、痛みを緩和することが必要です。痛みは長引く事で、気持ちの辛さへとつながりますので、速やかに痛みの治療を開始することが望まれます。当ペインクリニックは、日本ペインクリニック学会認定施設であり、40年以上の豊富な治療経験をベースに、疼痛専門医が最新の治療を提供しています。みなさんの持つ痛みを適切に評価することで、よりよい治療やサポートができるよう心がけています。

ペインクリニックでの治療

われわれは、生活の質の向上と高い満足度を重視して、治療をおこなっております。

  • 主な対象疾患は、頭痛、三叉神経痛、各種の術後痛、帯状疱疹痛・後神経痛、脊椎疾患(頚肩腕痛、腰下肢痛)や糖尿病性神経障害、血流障害による痛み、複合性局所疼痛症候群、がん疼痛、慢性疾患に伴う痛みであり、幅広い疾患の痛みを診察・治療しています。
  • 疼痛専門医(日本麻酔科学会専門医、日本ペインクリニック学会専門医、日本頭痛学会専門医、日本緩和医療学会暫定専門医)が、診察を行い、個々の患者さんに対して適切な方法を、提案します。
  • 先進医療にも積極的に取り組んでおり、低侵襲治療(神経ブロック療法、高周波熱凝固療法、脊髄刺激療法、硬膜外内視鏡:エピドラスコピー)に加え、専門的な薬物療法も併用しております。
  • 三叉神経痛や脊椎疾患、帯状疱疹痛、がん疼痛の一部など低侵襲治療の適応が高い疾患には、レントゲン透視装置や超音波エコー装置を用いて安全かつ確実な方法で、できるだけ速やかな痛みの緩和を心がけております。
  • 慢性の痛みには、多角的な取り組みをしております。理学療法科との連携による運動療法をはじめ、心身両面をサポートするために、臨床心理士の指導やアドバイスを受けることもできます。
  • 入院して治療を受けることも可能です。入院加療の適応の1つとして、三叉神経痛に対するガッセル神経節熱凝固、難治性痛に対する脊髄刺激療法、腰椎術後の腰下肢痛などに対する硬膜外内視鏡:エピドラスコピー、さまざまな疾患の急性痛、運動療法と心理療法の集中2週間コース、などがあります。
  • 整形外科、理学療法科、脳神経内科、脳神経外科、緩和ケアチームとの集学的チーム医療を行っております。

受診に関して

かかりつけ医またはその他の施設より、紹介状を御用意頂いて、予約診察をしております。