ご挨拶

Dr川越いづみs
主任教授 川越 いづみ
順天堂大学の麻酔科学・ペインクリニック講座は1963年に外科から独立した歴史ある麻酔科教室です。私が2022年10月より第7代主任教授に就任しました。

順天堂医院の麻酔科管理手術件数は年間11000件超で有数の実績を誇ります。
当科は手術室麻酔・ペインクリニック・産科麻酔・集中治療を担っており、それぞれの専門家が診療にあたっています。
新生児手術からロボット手術まで多岐にわたる麻酔を、在籍する39名の麻酔科専門医が安全に行い 手術室を支えています。手術中だけではなく 術前診察から術後疼痛管理や集中治療管理まで麻酔科医が行います。

「手術や麻酔」は患者さんの一生の中で一番大きなイベントです。
私たちは患者さんに常に寄り添い、侵襲や痛みから体を守りサポートします。
麻酔や痛みに関してお困りの事がありましたら ペインクリニック外来・術前外来を通してお気軽にご相談ください。

手術室部門(術前外来)

ご挨拶

Dr石川晴士教授 石川 晴士

手術をお受けになることが決まった患者さんは、麻酔についてもたくさん気になることや心配なことがおありだと思います。

当科では日本麻酔科学会の認定を受けた専門医、指導医を中心に、麻酔科医が必ず手術に立ち会い、手術という非日常の空間で、患者さんの心と身体の安全を守っています。

手術前には担当の麻酔科医が麻酔について説明にまいります。わかりにくいことや不明な点は、ご遠慮なくお尋ねください。

部門のご案内

順天堂医院麻酔科および手術室は2016年9月よりそれまでの15部屋(日帰り手術室2部屋を除く)から20部屋での運営となります。これまで同様、日本麻酔科学会の認定を受けた16名の常勤指導医・11名の専門医および認定医を中心に、丁寧な説明、綿密な手術前麻酔計画、安全・安心な麻酔、適切な手術後の全身管理、痛みの管理を行い、患者さんの心と身体の安全を守ってまいります。

手術前診察

手術という体に対し大きな侵襲を伴う治療を行うにあたっては、そのストレスから患者さんの心身を守る為、適切な麻酔管理を提供することが必要不可欠です。そして安全な麻酔を行うには手術前から患者さんの状態を詳しく把握し、適切な方針を計画することが重要です。そのため予定・緊急問わず全症例で術前診察や病棟術前訪問を行っております。
患者さんの状態や病気、行う手術に対して起こりうる麻酔中の事象を想定し、さらに手術後の全身状態や痛みの管理まで想定して麻酔計画を行っております。ご不明な点があれば可能な限りお答えいたしますので、お気軽にお尋ねください。 

安全な麻酔管理

手術中の麻酔科医の仕事は、麻酔をかけて患者さんを眠らせることだけではなく、患者さんの安全を護ることです。当院は日本麻酔科学会の認定施設であり、指導医、専門医が中心となって、患者さんにとって最適な手術環境を提供しています。麻酔管理にあたっては、安全であることを最優先にし、日本麻酔科学会による「安全な麻酔のためのモニター指針」に基づいた麻酔を実施しています。一人の患者さんに対し、最低二人以上の医師(麻酔科医師・麻酔指導医)が診療にあたることで安全かつ適切な麻酔管理に努めております。 

手術後管理

手術が終わった後はすぐに病棟ベッドに帰室するのではなく、手術室フロア内の回復室において、患者さんの呼吸や循環が安定していること、適切な痛みのコントロールができていることを確認してから、麻酔指導医の判断の元で病棟に帰室して頂きます。病棟に帰室していただいた後も担当麻酔科医が手術後訪問を行い、患者さんの状態を把握し必要に応じて適切な治療・痛みの管理を行っております。
手術室併設の集中治療室は、心臓手術などの大きな手術を終えた手術後全身管理が必要な患者さんや、病院内で疾患が重症化した患者さんを対象としており、麻酔科を中心に各診療科や看護師・臨床工学士などのコメディカルと連携を取りながら運営しています。当院では集中治療専属医師として長島道生教授・三高千恵子教授が管理運営及び指導を行っており、他診療科や各部門と連携して多職種によるチーム医療を推進し、特定機能病院としての高度医療を提供しています。
 
以上のように、麻酔科(手術室部門)では術前から術後まで患者さんに安全に手術を受けていただく体制を整えて、麻酔診療を行っております。 

臨床研修指定病院

当院は厚生労働省から指定を得た臨床研修指定病院であり、日々の診療はもちろん次世代を担う若手医師の教育・指導の義務のある病院です。そのため患者さんの診療にあたっては臨床研修医が担当させて頂くことも多くございます。診察において患者さんが抱いた疑問点などに十分に答えることができない場合も想定されますが、指導医との連携のもと患者さんが満足のいく説明・診療を心がけておりますので何卒ご理解のほどお願い申し上げます。
手術室部門01
麻酔科003
麻酔科004

手術室部門(産科麻酔)

ご挨拶

Dr角倉弘行
教授 角倉 弘行

産科麻酔部門
諸外国では一般的に行われている無痛分娩ですが、日本ではまだ十分に普及していません。その原因として「お腹を痛めて産んだ赤ちゃん」などの表現が用いられるように、日本では陣痛に耐えて産むことを美徳とする風潮があることが指摘されています。しかし海外で出産される日本人の多くが無痛分娩を選択して良好な母子関係を築かれている事実は、日本で出産する女性だけが痛みに耐える必要がないことを如実に物語っています。

日本で無痛分娩が普及しない最大の理由は、一施設当たりの分娩数が少ないために無痛分娩を担当する麻酔科医を常時配置することが困難であるからだと思われます。日本の多くの病院ではこのような状況で無痛分娩を行うための苦肉の策として、無痛分娩を希望する妊婦に対しては計画分娩を勧めたり、麻酔科医ではなく産婦人科医が無痛分娩を担当したりしてきました。しかし安全で質の高い無痛分娩を提供するためには産科麻酔に理解のある麻酔科医の関与は不可欠です。

順天堂医院では2014年より産婦人科と麻酔科が協力して24時間体制で自然陣発後の無痛分娩に対応するサービスを開始いたしました。特に初産婦さんでは、自然の陣痛を待ってから入院していただき妊婦さんが鎮痛処置を希望した時点で無痛分娩を開始することで、より順調な分娩の進行が期待できます。もちろん分娩経過が早い可能性の高い経産婦さんなどには計画分娩での無痛分娩にも対応していますが、24時間体制で無痛分娩に対応できますので、実際に無痛分娩を受けるかどうかは分娩経過中に決めていただくことも可能です。また産科麻酔に理解のある麻酔科医が24時間体制で配置されているので、緊急の帝王切開になった場合でも安心です。

日本で最初の無痛分娩は、1916年に与謝野晶子が五男を順天堂医院で分娩した際に施されたとの記録が残っています。それから1世紀近くが経ちましたが、ようやく24時間体制で無痛分娩に対応することが可能となりました。産婦人科外来内に産科麻酔外来を開設しましたので、順天堂医院で分娩予定の妊婦さんで、無痛分娩に興味のある方の受診をお待ちしています。

診療のご案内

無痛分娩について

当院では24時間体制で自然陣発後の無痛分娩にも対応していますので、無痛分娩のためだけに計画分娩にする必要はありません。麻酔法は硬膜外麻酔単独あるいは脊髄くも膜下麻酔と硬膜外麻酔の併用により行っています。麻酔を導入してから分娩までは自己疼痛管理装置(PCA装置)を用いて痛みをコントロールしてもらいますが、麻酔科医が定期的に訪問し最後まで十分な鎮痛を提供できるようにしています。
 

帝王切開の麻酔について

当院では予定帝王切開は原則として局所麻酔(脊髄くも膜下麻酔)で管理しています。術後鎮痛のための硬膜外麻酔は行っていませんが、脊髄くも膜下麻酔に少量の麻薬を使用し、経口の鎮痛薬を積極的に用いることにより十分な鎮痛を提供しています。無痛分娩中に緊急帝王切開が必要になった場合には、硬膜外麻酔で管理しています。

当院での分娩を希望される方へ

産科麻酔外来のご紹介

当院で出産を予定されている妊婦さんには妊娠36週までに産科麻酔外来を受診していただきます。帝王切開予定の妊婦さんには、帝王切開の麻酔法についてあらかじめご説明しておきます。経膣分娩予定の妊婦さんには無痛分娩についてご説明しておきますが、無痛分娩を選択するかどうかは分娩経過中に決めていただいて結構です。同時に、緊急の帝王切開が必要となった場合でもあわてることのないように事前にしっかりと準備しておきます。

順天堂医院産科麻酔部門は米国産科麻酔学会によるCOEに認定されました

米国産科麻酔学会(Society of Obstetric Anesthesia and Perinatology: SOAP)は産科麻酔の発展を介して周産期医療の分野の質を向上させることを目標に設立された学会ですが、2019年度より卓越したレベルの産科麻酔を提供する施設をCenter of Excellence(COE)として認定する制度を開始しました。
 
そして順天堂医院産科麻酔部門は、めでたくこのCOEの認定を受けることができました。初回の認定となる本年度は全体で39施設が認定されましたが、北米以外ではブラジルの施設と順天堂医院のみです。
 
順天堂医院の産科麻酔チームのメンバー一同は、これを励みにさらに快適で安心できる分娩を提供できる施設となるよう努力を続ける所存です。
COEに認定01
COEに認定02

ペインクリニック部門

ご挨拶

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教授 井関 雅子
痛みは、毎日の暮らしに大きな影響を与える症状です。治療に抵抗性の痛みや繰り返す痛みでお悩みのかたもおられることでしょう。まずは、普段の生活に戻れることを目標に、痛みを緩和することが必要です。痛みは長引く事で、気持ちの辛さへとつながりますので、速やかに痛みの治療を開始することが望まれます。

当ペインクリニックは、日本ペインクリニック学会認定施設であり、40年以上の豊富な治療経験をベースに、疼痛専門医が最新の治療を提供しています。みなさんの持つ痛みを適切に評価することで、よりよい治療やサポートができるよう心がけています。

ペインクリニックでの治療

われわれは、生活の質の向上と高い満足度を重視して、治療をおこなっております。
 
  • 主な対象疾患は、頭痛、三叉神経痛、各種の術後痛、帯状疱疹痛・後神経痛、脊椎疾患(頚肩腕痛、腰下肢痛)や糖尿病性神経障害、血流障害による痛み、複合性局所疼痛症候群、がん疼痛、慢性疾患に伴う痛みであり、幅広い疾患の痛みを診察・治療しています。
  • 疼痛専門医(日本麻酔科学会専門医、日本ペインクリニック学会専門医、日本頭痛学会専門医、日本緩和医療学会暫定専門医)が、診察を行い、個々の患者さんに対して適切な方法を、提案します。
  • 先進医療にも積極的に取り組んでおり、低侵襲治療(神経ブロック療法、高周波熱凝固療法、脊髄刺激療法、硬膜外内視鏡:エピドラスコピー)に加え、専門的な薬物療法も併用しております。
  • 三叉神経痛や脊椎疾患、帯状疱疹痛、がん疼痛の一部など低侵襲治療の適応が高い疾患には、レントゲン透視装置や超音波エコー装置を用いて安全かつ確実な方法で、できるだけ速やかな痛みの緩和を心がけております。
  • 慢性の痛みには、多角的な取り組みをしております。理学療法科との連携による運動療法をはじめ、心身両面をサポートするために、臨床心理士の指導やアドバイスを受けることもできます。
  • 入院して治療を受けることも可能です。入院加療の適応の1つとして、三叉神経痛に対するガッセル神経節熱凝固、難治性痛に対する脊髄刺激療法、腰椎術後の腰下肢痛などに対する硬膜外内視鏡:エピドラスコピー、さまざまな疾患の急性痛、運動療法と心理療法の集中2週間コース、などがあります。
  • 整形外科、理学療法科、脳神経内科、脳神経外科、緩和ケアチームとの集学的チーム医療を行っております。
  • ペインクリニック部門01
    ペインクリニック部門04
    ペインクリニック部門02

受診に関して

かかりつけ医またはその他の施設より、紹介状を御用意頂いて、予約診察をしております。

外来診療

ペインクリニック部門03

当院は「特定機能病院」として厚生労働省から承認された病院ですので、原則として他の医療機関からの紹介状(診療情報提供書)が必要となります。
初めて当科外来を受診する場合、診察を円滑に行うためにも紹介状をご持参いただきますようご協力をお願いいたします。
なお、紹介状をお持ちでない場合でも、受診していただくことは可能ですが、初診時選定療養費として別途自費にて8,250円(税込)を申し受けます。
患者さんご自身でご予約いただく場合
先生方にご予約いただく場合

入院診療

当科では、月曜日から土曜日まで毎日外来の診療を行っています。しかし動けなくて外来通院できない方、帰宅できないほどの強い痛みが生じている方、外来治療だけでは満足な効果の得られない方、遠方で外来通院のできない方、ペインクリニックの手術治療の必要な方、検査入院の必要な方などが入院治療を行います。
 
入院中は症状・画像・検査から痛みの原因と治療方針を決定し、神経ブロック・点滴・内服薬により痛みの改善を目指します。脳神経外科・整形外科との合同カンファレンスを通じて綿密な治療方針を構築しています。また、リハビリテーション科や臨床心理へのコンサルトなどを行い連携し、積極的なリハビリ治療や心理カウンセリングも行っております。
 
入院患者さんの治療にあたっては、主治医を中心として井関教授をはじめペインクリニック科の医師全員・看護師・コメディカルスタッフが協力して行います。疑問点や治療に対する質問がございましたら主治医・病棟看護師に何でもご相談ください。

集中治療部門

Dr長島道生
教授 長島 道生
順天堂医院B棟6階A病棟 集中治療室(intensive care unit, ICU)は、重症患者さんを収容し、高度の医療レベルで全身管理を強力かつ集中的に行うことにより、患者さんを回復させる部門で、認可16床で運営されています。

入室される患者さんはあらゆる科にわたります。B棟手術室で手術した術後患者、脳血管内手術後患者、内科・外科重症患者、小児重症患者などです。各科の専門分野に関する知識技術と、集中治療専門医の集中治療に関する知識技術を集約して昼夜を問わず患者さんの回復のために治療にあたっています。人工呼吸管理、持続的血液濾過透析、エンドトキシン吸着療法、血漿交換など、各科主治医、集中治療専門医、呼吸器内科医師、腎・高血圧内科医師、膠原病・リウマチ内科医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士、薬剤師と協力しながらチーム医療による重症患者の治療を実践しています。

当ICUは日本集中治療医学会専門医研修施設であり、24時間体制で、集中治療専門医、内科医、外科医、看護師が集中治療を行っています。オープンICUですので、各科からの最新のエビデンスに基づいた治療を取り入れながら患者の予後改善を目指しています。また、日常の診療だけでなく、臨床研究や学生および研修医の教育にも力を入れており、学会発表や論文発表の指導をおこなっております。
集中治療部門02
集中治療部門01

紹介ビデオ

麻酔科・ペインクリニック -慢性の痛みでお困りの患者さまへ-

音声付ビデオです。