対象疾患

症状1

夜よく眠れない。途中で目がさめてしまい、それからもう眠れない。朝いつもより早く目覚めてしまう。

不眠とは、睡眠障害が1週間3回以上あり、それが1ヶ月以上続くものと一般的にはされています。不眠は、一般成人の10%、大学病院などの総合病院を受診される患者さんの約20%に存在すると言われている非常に頻度の多い障害です。

原因として、

  1. 心臓や消化器、呼吸器をはじめとする身体疾患が原因となるもの
  2. 時差ぼけや、交代勤務などの生理学的不眠
  3. 精神的ストレスや緊張など心理学的不眠
  4. 病院でもらったお薬が原因となる薬理学的不眠
  5. 神経症やうつ病、統合失調症など精神疾患に伴うもの

などさまざまなものがあります。

原因をしっかり見極めて適切な治療が必要とされますし、うつ病などでは、速やかに適切な治療をしなければなりません。コーヒーやたばこ、アルコールなどの嗜好品や一日のリズムを規則正しくするなどの工夫をしても不眠が改善しないような場合には、早めのメンタルクリニックの受診をお勧めします。

症状2

気分がふさぎ込んで、元気が出ない。憂鬱だ。からだのあちこちの具合が悪くだるい。いろいろ検査を受けたがどこも悪くないと言われた。最近食欲がなく体重が減った。頭が締め付けられるような痛みを感じる。いつもなら簡単に出来ていた類いの仕事がはかどらなくなった。ときにひどくイライラすることがある。

気分が憂鬱になる精神疾患の代表的なものはうつ病です。うつ病は一生涯のうちで男性で5~12%、女性で10~25%の割り合いで発生する非常にありふれた病気です。2002年の厚生労働省の患者数調査によると、うつ病などの感情障害は日本で71万人の患者さんがおり、1999年から2002年までの3年間におよそ27万人増加したとされています。

問題なのは、近年増加し、2003年には3万4千人を越えた自殺とうつ病には密接な関連があると言うことです。自殺者のおよそ30%にうつ病がその原因と推定されており、自殺の撲滅にはうつ病対策が大切とされています。うつ病は、時にからだの不調が前面に出ることがあり、後にうつ病と診断された患者さんははじめに内科を受診されることが非常に多いと言われています。

さて、そこで質問です。

質問1

気持ちが沈み込んだり、滅入ったり、憂鬱になったりすることがありますか?悲しくなったり、落ち込んだりすることがありますか?

質問2

仕事や趣味など、普段楽しみにしていることに興味を感じられなくなっていませんか?今まで好きだったことを今でも同じように楽しくできていますか?

以上の2つの質問のどちらも「はい」の場合、かなりの確率でうつ病が疑われます。
是非、躊躇せずにメンタルクリニックの専門医にご御相談ください。
以下に『軽症うつ病』の診断の目安を示します。

  1. 気力が減退して疲れやすい
  2. 憂鬱で気が沈む
  3. 何事にも興味がわかず、喜びが感じられない

以上の3つの症状のうち2つ以上が存在し、

  1. 睡眠障害
  2. 食欲がわかない
  3. 集中出来ず注意力が落ちる
  4. 自分は価値がない人間と思える
  5. 何事も自分が悪いと考えてしまう
  6. 自分にはもう将来はないと考えてしまう
  7. 自殺を考えたり実行しようとしてしまう

以上7つの症状のうち2つ以上、つまり全部で4つ以上の症状が2週間以上続くような状態。

以上について思い当たることがあれば、早めに受診をして詳しい検査と適切な治療が必要です。是非、専門医にご相談ください。

症状3

物忘れがひどくなった

物忘れには、老化による生理的な物忘れから、いわゆる認知症と言われる病的な物忘れまで、さまざまな程度のものが存在します。

現在の65歳以上の高齢者の認知症の発生率を6%とすると認知症性高齢者は400万人いるとの報告があり、高齢者が今後更に増加し、認知症は益々増加する重要な疾患となりそうです。

一番心配になるのは、認知症と呼ばれる疾患ですが、物忘れを起こす原因は他にもいろいろあるのです。たとえば、高齢者になって生じるうつ病では、病状が悪化すると物忘れが一見うつ病のためなのか認知症によるものなのかよく分からなくなります。しかし、うつ病であれば適切な治療によってほぼ完全に改善しますから、いわゆる偽認知症と言うこともあります。その他にも、慢性硬膜下血腫という病気でも物忘れが起き、一見認知症に見えてしまいます。また、脳における腫瘍や脳の感染症、他の体の病気に使用しているお薬が物忘れの原因になることも少なからず存在します。これらの病気による物忘れは、原因を正しく診断し、適切な治療をすれば改善する可能性がありますから、可能な限り早めに診察を受けることをお勧めします。

わたしたちが心配する認知症にもいろいろな種類があります。
代表的なものには、脳血管性認知症、アルツハイマー性認知症、レビー小体型認知症、ピック病などがあります。これらの病気を診断するために、精神医学的な問診や診察、神経学的な検査、頭部MRI検査や脳波検査、脳の血液の流れの状態を調べるSPECTという検査などさまざまな検査を行います。それらの検査の上で、病状や病期に合わせた治療を進めて参ります。

なお、当メンタルクリニックでは、新井平伊主任教授による40代から50代におこる若年性アルツハイマー病専門外来を全国に先駆けてオープンしております。なお、この若年性アルツハイマー病専門外来は、完全予約制になっておりますので、下記、メンタルクリニックまでお問い合わせください。

症状4

突然、激しい動悸がする。死んでしまうのではないかとひどく不安になる。ひどい時には救急車で病院へ駆け込むが、検査では異常がないと言われた。胸がドキドキしたり、不安になったりする理由がわからない。

この様な症状はパニック発作と呼ばれるものが多いのです。
アメリカ精神医学会のパニック発作の診断基準は概ね以下のようなものです。
強い恐怖や不快を感じる期間に以下の症状のうち4つ以上が、突然起こり、10分以内に頂点を迎えます。

  1. 動悸、心悸亢進、または脈拍の増加
  2. 発汗
  3. 身震いまたは振戦
  4. 息切れ感または息苦しさ
  5. 窒息感
  6. 胸痛または胸部不快感
  7. 吐き気または腹部不快感
  8. めまい、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じまたは気が遠くなる感じ
  9. 現実感の消失または離人症状
  10. コントロールを失うことに対する恐怖または気が狂うことに対する恐怖
  11. 死ぬことに対する恐怖感
  12. 異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
  13. 冷感または熱感

このようなパニック発作が何度も起こり、また起こるのではないかと不安がいつも付きまとうような状態をパニック障害と呼びます。

パニック障害の治療はかなり進んできています。抗不安薬や抗うつ薬、最近はSSRIという副作用の比較的少ない新しい薬も使われ始めました。また、薬物治療以外に認知行動療法をはじめとする精神療法も行われています。

これ以外に病的な不安として

  1. 1)しかるべき理由がない
  2. 2)言葉で表現するのが難しい
  3. 3)人に分かってもらえない
  4. 4)我慢しにくい
  5. 5)かなり長く続く。少なくとも簡単に消えない
  6. 6)一旦消えても、また来ないかと不安である

このような不安でご自身が苦しんでいたり、日常生活に支障があるような場合には、治療が必要な不安である可能性が高いですから一度、メンタルクリニックを訪れてみてください。

症状5

ここのところ、あまり元気がなくなった。表情も乏しくなり、何やら独りごとをぶつぶつ言っている。どうやら声が聞こえているらしい。ときに意味なくニヤッと笑うようになった。学校にも行かず日がな一日自宅に引きこもりきりになっている。

対象がないのに知覚されてしまうことを幻覚と言います。訂正が不能で間違った確信を持ってしまうことを妄想と言います。幻覚や妄想を持った状態にはさまざまな障害が原因として考えられます。

まずは、脳に何か病気が起きた場合。例えば脳に腫瘍が出来た時や脳の血管に障害が起きたとき。また、アルコールを長期に亘って飲用した場合や覚醒剤や麻薬を使用した場合。体の病気や治療薬の中にも幻覚や妄想を引き起こしてしまうものもあります。

しかし、10~20代の若者に起きるでもっとも心配な病気は統合失調症です。統合失調症は、0.7%から1%程度の頻度で発症します。およそ100人に1人くらいでしょうか。決して珍しい病気ではありません。

統合失調症には、幻覚や妄想と言った陽性症状と自発性の低下や感情表出が乏しくなる、表情が乏しくなり、感情の動きが鈍くなり、会話が貧困化し、自閉、引きこもり、周囲の人々との人間的交流や共感が失われてしまうなどのさまざまな症状が存在します。

統合失調症の治療はまずは的確に診断し、適切な治療薬を開始しすることです。統合失調症の予後に影響する因子を研究した結果、少しでも早く治療が開始され、少しでも早く薬物を使用した方がそうでなかった場合に比べ予後が明らかに良かったという報告があります。早期の受診と治療の開始が切に望まれる病気です。

統合失調症は、当初の薬物治療だけではなく、初回復帰へ向けてのリハビリテーションを始め多くの手法が有機的に用いられて効果を発揮する面が大きいのです。

何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。