脳血管疾患治療について

くも膜下出血

脳動脈瘤の破裂により生じるものがほとんどです。非常に重症で、緊急の治療を要する疾患です。急激に発症した激しい頭痛や意識障害を伴う頭痛をみたならば、躊躇することなく当院にご連絡をいただくか、救急車を呼び近隣の救急病院を受診してください。

くも膜下出血説明イラスト
くも膜下出血MRI画像

脳動脈瘤

破裂することにより、くも膜下出血が起こります。一度破裂した動脈瘤は再破裂する危険が高く、再破裂を起こせば予後は悪化します。したがって、破裂脳動脈瘤の治療は、まず再破裂を防止することにあります。治療方法には、動脈瘤の根元にクリップを挟む手術(クリッピング)と、カテーテルを使用し血管の中から動脈瘤内に金属のコイルを充填する血管内手術(コイリング)があります。どちらの方法が安全で有効かを判断して治療を行いますが、当院では約7割の脳動脈瘤が血管内手術により治療されており、その症例数は全国でもトップクラスです。ちなみに平成19年の当施設における開頭クリッピング術は15例、血管内手術によるコイリング術は102例でした。

クリッピング術
クリッピング術
コイリング
コイリング

また、最近では、脳ドックの普及により多くの未破裂脳動脈瘤が発見されるようになりました。破裂する前に治療を行うという選択肢もありますが、その適応については、患者さんの年齢や全身状態、動脈瘤の大きさ等考慮して、慎重に決定されるべきであると考えています。充分に安全性を検討させていただいたうえで、患者さんご本人、ご家族と相談して最良の選択をさせていただくようにしています。

脳動静脈奇形

生まれつきの血管の奇形です。出血やてんかん発作で発症します。開頭による摘出術、血管内手術による塞栓術、放射線メス、あるいはそれらの組み合わせにより治療が行われます。個々の症例を充分に検討して、最良の治療法を選択をさせていただくようにしています。

脳内出血

高血圧症が原因である場合の多い脳実質内の出血です。片麻痺や失語症、更に意識障害等で発症します。出血量が多いときには手術治療が必要となります。比較的小さな出血の場合には、止血剤の投与や血圧の管理等による保存的治療が選択されます。急性期が過ぎれば、リハビリテーションが重要です。リハビリテーション科とも協力をして、早期よりリハビリテーションを積極的に行うようにしています。

脳内出血MRI画像

脳梗塞

脳に血液を送る動脈が、閉塞あるいは狭窄することにより発生します。片麻痺や失語症等の症状で発症しますが、脳梗塞が発症する前にこれらの症状が一過性に出現することがあります。これを一過性脳虚血発作と呼び、脳硬塞の予兆として極めて重要な危険信号と考えられています。原因は、脳の動脈の動脈硬化や心房細動等の心疾患が一般的です。
脳硬塞の治療には、発症後間もない時期に血栓を溶解する積極的治療、発症してしまった症状(障害)に対するリハビリテーション、更に再発防止を目的にする治療があります。血栓溶解療法は、平成17年10月に保険適応となりました。当科でも救急科、脳神経内科とともに治療を開始しております。また、再発予防に関しては、薬物療法と手術療法がありますが、個々の症例に応じた最良の治療法を選択するようにしています。

頚動脈狭窄症

脳へ血液を送る内頚動脈が頚部を走行する時点で狭窄することで、脳への血流が低下するか、血栓(血の塊)が脳内に飛んでいってしまうことで脳梗塞を起こす原因となる病態です。治療方法としては、頚動脈内膜切除術と血管内手術が行われています。生活の欧米化に伴い糖尿病や高脂血症の比率が高くなるとともに頚動脈狭窄症も増えている疾患です。当科でも施行可能です。

もやもや病

何らかの原因で内頚動脈末端部に閉塞あるいは狭窄が生じ、これを代償する目的で脳底部を中心に側副血行路(もやもや血管)が生じてくる疾患です。小児では脳硬塞等の脳虚血で、成人では出血で発症するのが一般的です。虚血発症の症例に対しては、バイパス手術を含む血行再建術が再発防止のために有効です。