不妊(リプロ)外来について

不妊(リプロ)外来を受診される方へ

平成29年より1号館4階Eに婦人科外来、5階でリプロダクションセンターの運用が開始します。その移転のため、平成28年12月12日(月)から採卵を、12月19日(月)から胚移植を年始まで中止させていただきます。そのため11月26日(土) より体外受精のための排卵誘発の開始を中止させていただきます。また婦人科外来は12月19日(月)から1号館4Bから『4E』に移動し、一般不妊治療は継続させていただきます。皆様のご理解とご協力のほど、どうぞよろしくお願いします。

不妊症とは

不妊症とは避妊せず夫婦生活を送り、1経過しても妊娠しない場合、と定義されています。ただし、明らかな不妊因子(子宮筋腫、子宮内膜症、乏精子症など)が存在する場合には、不妊期間に関わらず不妊症とされます。一般的な夫婦間で避妊せず性交渉をもったとき、6か月間で約80%、1年間で約80-90%が妊娠します。不妊症の頻度は、約10-15%と考えられていますので、約1年間妊娠しない場合には何か不妊症の原因があることが考えられます。

妊娠が成り立つには

妊娠は、腟内に射精した精子が子宮内に入り卵管を通過します。一方で卵巣から排卵した卵子は卵管采で取り込まれ、卵管内で受精します。受精卵(胚)は2細胞期胚、4細胞期胚...と細胞の分割が進みながら卵管から子宮へと移動し、胚盤胞という状態で子宮内に着床します。妊娠できない方は、そのどこかに問題があるため、妊娠に至りません(図1)。

図1 妊娠の成立

不妊症の原因とその検査

不妊症の原因は様々ですので、当院で不妊治療を行う前には必ず不妊原因の精査が必要となります(図2)。当院の検査項目は以下の通りです。

不妊スクリーニング検査

男性因子:精液検査
女性因子:

  1. 卵巣機能検査:基礎体温、ホルモン基礎値の測定(月経2 - 5日目)
    黄体ホルモンの測定(排卵後5 - 7日後)
  2. 子宮、卵巣の検査:内診、経腟超音波検査
  3. 卵管の検査:子宮卵管造影
  4. 感染症検査:クラミジア検査
  5. その他:AMH(抗ミュラー管ホルモン、後述)、甲状腺機能検査、ビタミンD

(一部の検査は保険が適応できません。AMH、感染症、血液凝固機能検査、ビタミンDが自費で約1万2千円かかります。)

図2 不妊症の原因

女性の年齢と妊娠

妊娠において非常に重要な因子は女性の年齢です。年齢と共に卵子の数は減少し、35歳以降はその減少率は加速し、閉経の数年前から、妊娠に至る良好な卵子は存在しなくなります。一般的に閉経は早い方で45歳です。そのため年齢と共に、妊娠率が低下します。また卵子の'質'も低下するため、卵子の染色体異常の発生率も高く、流産率が上昇します。一方で年齢と関係なく、子宮内膜症の発症などのライフイベントにより、卵巣機能が急激に低下することもあります。一度低下した卵巣機能は回復することはありません。(図3)

図3 女性の年齢と卵巣内卵胞数

AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、その卵巣機能の予備能力を知り得る有力な指標となり、「卵巣年齢」などと呼ばれています。この検査結果は、胞状卵胞数(卵子の在庫)を示唆していると言われています。ただし、卵子の質とは無関係です。不妊治療を行う上で非常に重要な検査のため、当院で不妊治療を行う方は全員測定させていただきます。

妊娠方法

妊娠する方法は原則、以下のタイミング法、配偶者間人工授精(AIH)、体外受精 (IVF)の3通りがあります。

  1. タイミング法:
    排卵のタイミングに合わせて夫婦間で性交渉をとっていただく方法です。
  2. 配偶者間人工授精(AIH):
    排卵のタイミングに合わせて、精子を遠心分離器にかけ、元気な精子を集めて子宮内に注入する方法です。適応は軽度の男性不妊症や性交障害のある方です。当院の基本料金は約1-2万円です。(図4)
  3. 体外受精 (IVF):
    卵子と精子を体腔外で受精した後、受精卵を培養し、子宮内に移植する方法です。卵子や精子が、卵管や腹腔内の環境に触れることなく受精が可能なため、卵管閉塞や子宮内膜症、原因不明不妊のひとつである卵管ピックアップ障害(排卵した卵子を卵管に取り込むことができない)の方などに適応となります。また卵巣機能の低下した方も適応となります。基本料金は方法によって様々ですが、1回20-50万円程度です。(図5)
図4 配偶者間人工授精(AIH)
図5 体外受精(IVF)

体外受精の方法

  1. 排卵誘発:
    卵巣を刺激し、複数個の卵子を採取する方法です。当院では基本的に軽度の排卵誘発を行っておりますが、月経初期に卵巣機能などを評価し、誘発方法を検討しています。
  2. 採卵:
    経腟超音波をガイドに卵巣から排卵前の卵子を採取してくる方法です。当院では基本的に、鎮痛剤のみで外来での採卵を行っております。
  3. 体外受精:
    採取した卵子を体腔外で受精します。方法は卵子に至適濃度の精子と媒精し、自然な受精を行う一般的な体外受精と、顕微鏡下に精子を卵子に注入する顕微授精があります。
  4. 胚移植:
    精子と卵子の受精した後の受精卵(胚)を子宮内に戻す方法です。受精後2-3日後に4-8細胞期胚を移植する初期胚移植と、着床前の胚盤胞を移植する胚盤胞移植があります。当院では多胎のリスクがあるため、原則1個の胚を移植しております。
  5. 凍結保存:
    受精卵や精子を凍結保存する方法があります。

*当院で体外受精を含む生殖補助医療を受けられた場合、学会へ報告し、登録事業を行っております。

当院の不妊治療の基本方針

図6に示すような方針で行っておりますが、検査結果と年齢、卵巣機能、患者さんの妊娠に対する希望をふまえて、話し合ったのちに治療方針を決定しております。

図6 当院の不妊治療の基本方針

治療方法別の妊娠率

図7に治療方法別の一般的な妊娠率を示します。また2012年度、当院で体外受精は461周期行っており、その胚移植あたりの妊娠率を図8に示します。

図7 妊娠方法別の妊娠率のまとめ
図8 当院の生殖補助医療での妊娠率(2013年~2015年)

難治症例に対する不妊治療

①手術が必要な子宮や卵巣疾患を持つ、35歳以上もしくは卵巣機能の低下した妊娠希望の患者さん

前述の通り、加齢と共に卵巣機能が低下します。例えば、子宮筋腫を手術する場合、術前治療と術後子宮創部の治癒期間を考慮すると、子宮筋腫に対する治療を開始して、妊娠が可能になるまでおよそ1年間かかります。卵巣機能がもともと低い方では、その間に卵巣機能が低下し、妊娠ができなくなる可能性があります。AMHによる卵巣年齢の評価と患者さんごとの妊娠の希望の強さによって、手術をそのまま施行すべきかどうか、検討する必要があります。保険的に、手術を行う前に体外受精を行い、受精卵を複数個凍結した後に、手術を行うことも可能です(図9)。必要な方は直接医師にご相談ください。

図9 手術を要する子宮・卵巣疾患を持つ高齢女性の不妊治療

②体外受精において子宮内に複数回良好胚を移植しても妊娠しない患者さん(反復着床不全)

体外受精において子宮内に複数回良好胚を移植しても、妊娠検査が陽性に出ない場合、反復着床不全といい、体外受精を行うことではじめて診断がつきます。着床は受精卵と子宮内膜が相互に作用し、はじめて成立します。受精卵側の問題としては、加齢などに伴う受精卵の質の低下、透明帯の硬化により孵化の障害などがあり、母体や子宮側の問題として、着床部位である子宮内環境の異常や受精卵に対する免疫機構の異常、着床時期の不一致が考えられます。我々は着床不全に対する基礎研究も行い、難治性反復着床不全の方の検査や治療を積極的に行い、妊娠のサポートを行っております。

③不育症(習慣流産)をともなう不妊症の患者さん

妊娠後流産を繰り返す不育症もしくは習慣流産は、精神的にも身体的にも苦痛を伴います。また上記の反復着床不全の方の中にも、不育症の方を多く含んでいることがわかっております。我々は不育症患者や反復着床不全の方にも積極的に検査を行い、治療を行っております。しかし不育症の約半分は現在も原因不明です。一般的に全妊娠の15%が流産となり、加齢と共にその流産率は上昇し、40歳には30-40%は流産となります。そのため高齢女性では偶発的にも流産を繰り返す可能性がありますが、不妊治療だけでなく、その後の流産に対する治療も積極的に行っております。

不妊(リプロ)外来の受診について

不妊外来は月~土曜日の午前中に行っております。当院受診既往のある方は、以下の予約受付窓口で予約を入れていただくことをお勧めいたします。予約無しの方も原則受診可能ですが、受診までの待機時間が長くなる場合がございますのでご了承ください。
また妊娠や不妊、不妊治療は理解が困難なこともたくさんあります。当院では不妊患者さんにパソコンで画像をお見せしながら、ご説明する専門外来を設けております。詳細は当院不妊外来を受診していただき、医師もしくは看護師に直接ご相談ください。

予約受付窓口

ご連絡先: 03-3813-3111(大代表)
産婦人科外来:(内線)5460、5461
受付時間: 平日15時~17時