胃底腺型胃癌の臨床病理学的検討に関する多施設共同研究

研究課題名胃底腺型胃癌の臨床病理学的検討に関する多施設共同研究
研究責任者 上山浩也
研究分担者 北條麻理子 浅岡大介 松本健史 嶋田裕慈 竹田努 松本紘平 中川裕太
研究の意義と目的 近年、Helicobactor pylori(HP)感染のない胃癌が注目されるようになり、その中の一つに胃底腺型胃癌が挙げられます。胃底腺型胃癌は胃炎・萎縮・腸上皮化生のない胃底腺粘膜から発生し、実際にHP感染を伴うものは少ないため、HP感染と無関係な胃癌の一つと考えられています。今後HP感染と関連のない胃癌が増加する場合、その大部分を胃底腺型胃癌が占めると予想されます。また、胃底腺型胃癌の臨床病理学的特徴を多数例で検討した報告は過去に存在しないのが現状です。胃底腺への分化を示す胃癌は2007年にTsukamotoらが最初に報告し、2010年に筆者らが胃底腺への分化を示す低異型度分化型胃癌を胃底腺型胃癌(主細胞優位型)、gastric adenocarcinoma of the fundic gland type (chief cell predominant type)という名称で新しい概念として提唱しました。胃底腺型胃癌は低異型度の胃型腺癌の中でも固有腺・体部腺型胃癌と考えられ、胃底腺に特異的であるpepsinogen-I(主細胞に特異的なマーカー)またはH+/K+-ATPase(壁細胞に特異的なマーカー)が陽性であるものを胃底腺型胃癌と定義しました。また、2014年に筆者らが胃底腺型胃癌の内視鏡的特徴についても報告しました。胃底腺型胃癌は日本全国の施設で発見され、海外からも報告されるようになりました。欧米ではその異型度・悪性度の低さから癌と診断しない報告例もみられますが、日本国内では症例の蓄積により悪性度の高い症例も散見され、一般的には低異型度の分化型胃癌として広く認識されています。胃底腺型胃癌には主細胞優位型、壁細胞優位型、頚部粘液細胞優位型、幽門腺型細胞の混在、胃底腺粘膜型(腺窩上皮型の混在)などの様々なタイプがあると予想され、現在のところ胃底腺型胃癌関連病変として捉えられているが統一された見解はありません。胃底腺型胃癌は稀な腫瘍であり希少価値が高く、今後は名称の統一化を含め、日本から新しいタイプの胃癌として更に発信していくことが重要です。そこで今回我々は多施設共同研究による多数例での胃底腺型胃癌の臨床病理学的特徴を後ろ向きに検討しました。この検討によって胃底腺型胃癌の臨床病理学的特徴を明らかにするだけでなく、同時に胃底腺型胃癌関連病変を含めた胃底腺型胃癌の新しい分類を確立することを目的としました。
観察研究の方法と対象 平成16年1月1日~平成27年10月31日までに当院及び参加施設にて胃底腺型胃癌と診断された全ての症例を対象とし、内視鏡所見を含めた臨床病理学的特徴について統計的な手法を用いて検討、解析を行います。目標症例数は約150症例を予定しています。
参加施設と施設代表者 公立昭和病院 病理診断科 清水誠一郎
国際医療福祉大学熱海病院 消化器内科 川口実
松山赤十字病院 病理診断科 大城由美
岡山大学病院 病理部   田中健太
鳥取赤十字病院 病理部 山根哲実
鳥取生協病院 消化器内科 大廻あゆみ
広島市立広島市民病院 内視鏡内科 中川 昌浩
原三信病院 消化器科 兼城三由紀
九州がんセンター 病理診断科  田口健一
福岡赤十字病院 病理診断科 中島豊
鹿児島厚生連病院 病理診断科 松木田純香
京都桂病院 病理診断科 安原裕美子
独立行政法人国立国際医療研究センター国府台病院中央検査部 石田剛
東京大学医学部附属病院 消化器内科 新美恵子
藤枝市立総合病院 消化器内科 丸山保彦
独立行政法人国立がん研究センター東病院 消化管内視鏡科 大野康寛
日本赤十字社 高知赤十字病院 消化器内科 内多訓久
製鉄記念広畑病院 消化器内科 藤澤貴史
順天堂大学 練馬病院 小沼宏徳
日本鋼管福山病院 楠本智章
北海道大学病院光学医療診療部 加藤元嗣
新潟大学医歯学総合病院 光学医療診療部 佐藤祐一
東京医科大学病院内視鏡センター河合隆
がん研究会 がん研有明病院 消化器内科 藤崎順子
国立がん研究センター中央病院 内視鏡科 小田一郎
神戸大学大学院医学研究科 消化器内科学分野 東健
川崎医科大学・川崎医療福祉大学 消化器センター 食道・胃腸内科 春間賢
広島大学病院 消化器・代謝内科 伊藤公訓
松山赤十字病院 胃腸センター 藏原晃一
大分大学医学部 消化器内科学講座 村上和成
独立行政法人国立国際医療研究センター国府台病院 消化器内科 上村直美 矢田智之
慶應義塾大学医学部 腫瘍センター 低侵襲療法研究開発部門 前畑忠輝
独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 消化器科 加藤元彦
聖マリアンナ医科大学病院 消化器・肝臓内科 松尾康正
静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科 田中雅樹
研究解析期間 平成27年2月1日~平成29年1月31日
被験者の保護 本研究に関係するすべての研究者は、ヘルシンキ宣言(2008年10月 WMAソウル総会[韓国]で修正版)及び人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(2015年12月22日公布)に従って本研究を実施します。
同意の取得について
(観察研究の場合)
臨床研究に関する倫理指針(2008年7月31日全部修正版)第4の1(2)②イの規定により、研究者等は、被験者からインフォームド・コンセント(説明と同意)を受けることを必ずしも要しないと定められています。
個人情報の保護 本研究では患者の医療記録のみを使用します。研究対象者の情報は、医療記録から個人が特定できないように匿名化し、個人や家族の人権の侵害、提供者へ危険や不利益が及ばないようにします。研究結果の公表に際しては、対象者のプライバシーを保護し個人が特定できないようにします。そして本研究の目的以外に、研究で得られた研究対象者のデータを使用しません。

なお、本臨床研究は、平成27年1月27日に開催された病院倫理委員会で承認を受けております。

問い合わせ先
順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器内科
電話:03-3813-3111 (内線)3305   FAX:03-3813-8862
研究担当者:上山浩也、北條麻理子、浅岡大介、松本健史、嶋田裕慈、竹田努、松本紘平、中川裕太