胃疾患

1. 胃がん

胃にできるがんです。現在、胃がんに対して様々な治療法がありますが、当教室では日本胃癌学会による胃がん治療ガイドラインに沿って方針を決定し、治療を行っております。特に胃の入り口にできた噴門部がんや、食道に浸潤する胃がんに対しては積極的に左開胸手術を行い、安全で良好な結果を上げています。

症状症状がなく偶然、胃カメラで見つかることもあります。腹痛(心窩部痛)、食欲低下、吐き気、嘔吐、腹部違和感、腹部膨満感、体重減少などがあります。がんから出血があると黒色便や吐血、貧血の症状が出現します。胃がん
検査内視鏡検査、消化管造影検査を行いますが、リンパ節転移を調べるために、腹部超音波検査、腹部CT検査などを行います。
治療病状によって様々な治療を行います。早期のもので、リンパ節転移の可能性がないものは、内視鏡を使って切除しますが、それよりも進行したものは、厳密なリンパ節郭清を伴う標準的手術を行います。化学療法(抗がん剤の使用)と手術を組み合わせて行う場合もあります。 また、胃切除後症候群の症状が起きないように切除後の再建に様々な工夫を行っています。

2. 胃潰瘍

原因痛み止めやステロイドなどの薬剤、アルコール、精神的・肉体的ストレスなどのより、胃の粘膜などの組織が欠損した状態です。胃潰瘍
症状腹痛(心窩部痛)、食欲低下、吐き気、嘔吐、腹部違和感などがあります。潰瘍から出血があると、黒色便や吐血、貧血の症状が出現します。
検査内視鏡検査
治療まず、原因の除去を行います。原因と考える薬の中止、ストレスの回避、急性期のアルコールの中止、 タバコは胃の粘膜の血流が減少するので禁煙していただきます。薬物療法により、胃酸の分泌を抑え、胃粘膜の防御因子の増強などを行います。ヘリコバクター・ピロリ菌の検査を行い、陽性の場合は、除菌を行います。潰瘍が深くなり、胃壁に穴が開いてしまったときは、緊急で手術が必要になる場合が多いです。

3. 胃ポリープ

原因胃の粘膜の異常な増生により、胃の内腔に突出した状態です。胃ポリープ
症状ポリープで症状が出ることはまずありませんが、胃カメラを行ったところ、偶然、ポリープが見つかることがあります。稀ですが、ポリープから出血することもあります。
検査内視鏡検査、消化管造影検査
治療大きさが1cmを超えるようなときは、内視鏡を使って切除します。

4. 胃粘膜下腫瘍

胃の粘膜の下にできる腫瘍で、GIST(Gastrointestinal Stromal Tumor)などが含まれます。胃の粘膜が腫瘍によって押し上げられ、内腔に突出した病変の総称で、良性と悪性に分けられます。粘膜の下にあるため診断がつきにくいことがあります。一般的に大きさが3cm以上のものが、切除治療の対象となりますが、大きくなってきたもの、形が変わってきたものも治療の対象となることがあります。

症状無症状なことが多く、大きくなると腹部違和感、腹部膨満感、腹痛などが出現します。一部が粘膜の表面から露出して、出血することもあります。そうなると黒色便や吐血、貧血の症状が出現します。胃粘膜下腫瘍
検査内視鏡検査、消化管造影検査、腹部CT検査、超音波内視鏡検査
治療治療の対象とならないこともありますが、胃壁の浅いところにある場合は、内視鏡を使って切除します。深いところにある場合は、手術となります。良性の場合は、鏡視下手術を積極的に行います。

5. 胃悪性リンパ腫

胃の粘膜、または粘膜下の組織のリンパの細胞から発生した悪性腫瘍です。全身のリンパ節に発生することもありますが、リンパ節以外では、胃によく発生します。

症状症状がなく偶然、胃カメラで見つかることもあります。腹痛(心窩部痛)、食欲低下、吐き気、嘔吐、腹部違和感、腹部膨満感、体重減少などがあります。リンパ腫から出血があると黒色便や吐血、貧血の症状が出現します。胃悪性リンパ腫
検査内視鏡検査、消化管造影検査を行いますが、リンパ節転移を調べるために、腹部超音波検査、腹部CT検査などを行います。また、全身のリンパ節も検査します。
治療リンパ節転移があっても、手術で根治性が十分に考えられるときには、手術を行います。 また、血液内科と相談し、化学療法(抗がん剤の使用)や放射線療法を行う場合があります。

6. 胃切除後症候群

胃の手術を行った後に起きる、様々な疾患や後遺症をいいます。

症状消化液の逆流による胸やけ、口の中の苦み、胸痛、吐き気、食欲不振など。胃の内容物の排泄異常による冷汗、動悸、めまい、顔面紅潮・蒼白、腹痛、下痢など。消化吸収障害による貧血の症状、骨粗しょう症、こむら返りなどがあります。
検査血液検査、内視鏡検査、消化管造影検査など
治療胃の手術を行った場合、体重が減少するため食事指導を含めたケアを行います。 消化液の逆流には、薬で消化管の機能を亢進したり、胃酸の分泌を抑えたり、蛋白分解酵素阻害薬を用いることもあります。 胃の内容物の排泄異常で、食べた物が急に流れていくために出る症状には腸の運動を抑える薬を使います。消化吸収障害には、鉄剤やカルシウム剤、ビタミン B12剤を投与します。