診療実績

1.入院総数および手術総数(過去5年間の推移)

2017 2016 2015 2014 2013
入院患者総数 1,280 1,370 1,339 1,276 1,069
総手術件数 1,146 1,065 1,209 1,134 1,072

2.診療実績について

先進的な医療への取り組み

近年積極的に取り組んできた小児内視鏡外科治療において、腹腔鏡手術・胸腔鏡手術症例数が既に1,300例に達しました。

これまでのヒルシュスプルング病・鎖肛・胃食道逆流症・虫垂炎・精巣静脈瘤・漏斗胸を中心に内視鏡外科治療を施行し良好な結果を得てきましたが、近年は先天性嚢胞性肺疾患に対する肺切除、胆道閉鎖症・胆道拡張症などの肝胆道疾患に対する腹腔鏡手術、泌尿生殖器疾患に対する後腹膜鏡手術など、より高度な技術を要する症例、更には様々な新生児症例に対しても積極的に内視鏡下手術/低侵襲外科手術の適応を拡げ、良好な成績を収めています。また、これらの成績を国際・国内学会で発表させて頂き、国内はもとより国外からも当科の内視鏡手術の見学、短期留学の依頼が有りグローバルな対応をしております。

更に、膀胱尿管逆流症・水腎水尿管症(腎盂尿管移行部狭窄・尿管膀胱移行部狭窄)・尿道下裂などの小児泌尿生殖器外科に関する疾患は全て診療対象であり、積極的に治療を行っています。近年は腎摘出や腎盂形成術に対して後腹膜鏡による内視鏡下手術を取り入れ、その適応を更に拡大しています。特に2011年度より、膀胱尿管逆流症に対する膀胱鏡下逆流防止術(Deflux注入療法)を他施設に比べいち早く導入し、良好な治療成績を得るとともに、低侵襲手術であり術後の入院期間が従来法に比し著しく短いため(平均2日)、これまでの手術件数を3倍以上に大きく増加させることができました。今後も更なる増加が予想されます。

しかしながら、内視鏡手術は安全に行われなくてはならず、手術中に内視鏡手術のみでは安全に行えないと判断したときには、患者さんの安全を第一に考えて、速やかに開腹・開胸手術に変更する必要もあります。従って、内視鏡手術を行う際には、開腹・開胸手術の準備も同時に当科では行っております。

体内に異物を残さない

我々は、特殊な手術を除き、殆どの手術に「溶ける糸」を用いることで、抜糸などの処置による患者さんの苦痛を回避すると共に、縫合糸による合併症(膿瘍形成・肉芽形成・感染症)を起こさないように努めております。

3.当科症例経験数(期間:1975~2015: 40年間の治療総数)

(1)消化器系疾患

食道閉鎖症 165
腸閉鎖症 349
腸回転異常症 185
胃食道逆流症 240
肥厚性幽門狭窄症 485
腸重積症 653
急性虫垂炎 1,237
ヒルシュスプルング病 373
鎖肛 640

(2)肝臓・胆嚢・膵臓系疾患

胆道閉鎖症 470
胆道拡張症 246

胆道閉鎖症

胆道閉鎖症に関しては、世界でもトップクラスの治療経験があり、全国と比しても高い減黄率を得ることが出来ています。また生体部分肝移植が必要な患児には、肝・胆・膵外科 川崎誠治教授(肝移植チーム)と常に連携を図り、迅速な対応を行っています。胆道拡張症は200例以上に達し、術中胆道鏡を施行することにより術後合併症の防止を図っています。

(3)泌尿・生殖器系疾患

腎盂尿管移行部狭窄 275
膀胱尿管逆流症 658
膀胱尿管移行部狭窄 37
神経因性膀胱 454
神経因性膀胱(膀胱拡張術) 116
尿道下裂 758
包茎・埋没陰茎 2,979

最新の治療法:本症は、尿路感染を繰り返すことで腎機能障害を来たします。治療法として「粘膜トンネル作成および尿管再移植術」が行われてきましたが、創部痛や術後の膀胱攣縮(spasm)による疼痛が問題でした。このため、欧米では既に導入され、患者さんの術後疼痛軽減、早期退院可能な「膀胱鏡下逆流防止術(STING術)」が2010年12月本邦でも保険診療が認められ、当科でもこの治療法を導入し、本症に対する第一選択の治療法としております。

尿道下裂とは、胎生期における前部尿道の形成不全によって生じ、外尿道口が正常位置より近位に開口する先天性尿道奇形です。

  1. 外尿道口が正常の位置とは違うところに開口している
  2. 勃起時、陰茎が腹側に屈曲するものが少なくない

などの症状がみられます。基本的に手術が必要で、尿道を形成するということは、非常に繊細で愛護的に行わないといけません。慎重に且つ丁寧に、そして熟練した小児外科医が行う必要があります。また、術式が200以上あるということは、かなりの頻度で術後合併症が起こるということで、世界中の外科医が合併症を少なくする方法を考案しています。当科では山高教授が考案した外精筋膜を利用し、尿道形成を行う方法を用いております。また、他施設で手術をし、合併症を生じてしまった症例の再手術もさせて頂いております。この外精筋膜を利用し尿道形成術を行う方法は、尿道下裂の手術書にも採用される程、合併症が少ないという点で国際的に高く評価されている方法です。

(4)良性腫瘍・悪性腫瘍

良性腫瘍  
リンパ管腫 209
血管腫 107
奇形腫 66
悪性腫瘍  
神経芽腫 151
腎芽腫 67
肝芽腫 33
横紋筋肉腫 21

(5)体表系疾患

漏斗胸 248
鼠径ヘルニア 9,932
停留精巣 3,425
臍ヘルニア 940

現在当科で行っている標準的な術式は、Nuss法というものです。金属の細長い板を胸の中に埋め込んで、胸の骨を内側から持ち上げることによって、凹みを治療しようというものです。今までの手術と違い、両脇に2cmほどの痕がそれぞれつくだけで、胸の真ん中には傷跡が残りません。入院期間は金属を入れるときが7~10日程度、抜くときが3~4日程度です。これまで大きな事故はありませんが、慎重を期するため、必ず小児心臓血管外科の医師と一緒に手術を行うようにしています。また、金属挿入後の数日間は強い痛みを訴えることがあります。疼痛管理として麻酔科・ペインクリニックの医師と一緒に痛みのコントロールを行っています。当科では、これまでにも漏斗胸手術を行っていましたが、より綿密に患者さんの手術適応を検討し、術後経過を診ていくために、漏斗胸の専門外来を毎週金曜日午前に行っております。

(6)新生児疾患

食道閉鎖症 143
腸閉鎖症 315
腸回転異常症 174
鎖肛 500
腹壁破裂/臍帯ヘルニア 177
横隔膜ヘルニア 193