科長挨拶

主任教授 山高篤行
主任教授 山高 篤行

順天堂大学小児外科・小児泌尿生殖器外科は、1968年(昭和43年)4月、駿河敬次郎初代教授(現名誉教授)により、日本の医療機関の中で、初めての小児外科講座として誕生いたしました。以来、国内・外で小児外科治療のリーダーシップをとり続け、現在、小児外科学会認定指導医・専門医の7名を含む、合計22名のスタッフのもと、診療・研究・教育に大きく貢献しております。また、当科はお子さまの術後の痛みの軽減・早期回復を配慮した低侵襲手術(腹腔鏡・胸腔鏡)などの小児最先端外科医療の拠点でもあります。
全国から患者さんが紹介され、年間手術総数は1300例以上と本邦最多となっております。赤ちゃんから中学生までのお子さまの、手術をしなければ治らない病気を、私どもの豊富な経験と優れた技術を用い、心を込めて、安全・確実に治療することが私ども小児外科医の使命であります。そのために、学会認定指導医のもと、日々、全ての患者さんについての病状検討を行い、治療方針を決めさせていただいております。

また、わが国でも成人領域で1990年代より急速に普及した鏡視下手術(腹腔鏡・胸腔鏡・膀胱鏡など)は、小児外科領域でも応用され、その適応疾患も広がりつつあります。鏡視下手術は、これまでの開腹・開胸手術に比べて、

  • 手術のあとに残るキズが小さい
  • 術後の痛みが軽い
  • 手術後の回復が早い

など、大きなメリットがあります。

当科では、「その低侵襲性であるというメリットが、幼弱な小児にこそ適応されるべき」との宮野前教授(現名誉教授)の方針のもと、他の施設に先駆けて、鏡視下手術に積極的に取り組んできました。現在、さまざまな疾患に対して鏡視下手術を行っていますが、「患者さんにとって安全かつ侵襲の少ない治療」をモットーに、さらなる低侵襲手術の発展を目指しています。

また、我々が行っている、その他の低侵襲手術の取り組みとしては、鏡視下手術以外に、以下の項目に取り組んでおります。

  • 吸収糸を用いることで、体内に異物を残さない。
  • Ligasureなどのシーリングデバイス(凝固するための機械)を使用し、感染術野で糸を使用しない。
  • 傷をできる限り小さくする。

また、医療は安全で、かつ、確実に行われなければなりません。そのため、教育システムも非常に重要となります。我々は、鏡視下手術(胸腔鏡・腹腔鏡)の手術手技習得を目的として、動物を用いたトレーニングを行っています。すなわち、鏡視下手術の難しさや、その安全性を理解し、次世代の外科医を養成するために、大学院生、研修医、そして医学部学生は毎週木曜日に、動物を用いた手術手技トレーニングを行い、手術手技の向上と、低侵襲手術に対して理解を深めております。

低侵襲手術領域での社会的貢献
国際小児内視鏡学会(IPEG)理事長
内視鏡外科学会ガイドライン委員
日本小児内視鏡外科・手術手技研究会幹事
小児内視鏡外科技術講習会運営委員/講師