ミシガン便り

古賀 寛之

ミシガンに留学させていただいてから早いものでこの夏で2年が経とうとしています。この期間に日本では決して学ぶことの出来なかった多くの事に実際に肌で感じる機会に恵まれ、たくさんのことを学ばせて頂いています。ここではその中の幾つかの事を述べたいと思います。

時間について:まずここに来て驚いたのはなんといっても時間の流れ方です。順天堂の時間と比べ物にならない程にゆっくりしています。この街の時計は止まってしまったのか??と錯覚するほどです。私の住んでいる町がUniversity of Michiganを中心とした学園都市という事も影響していて、ワシントンDCやニューヨークの人達の時計とは違うのかも知れません。ここの街の人達は言葉も大して上手くない外国人に対してとても寛容で親切な人達ばかりでJapanese Englishの私にとってはとてもありがたいのですが、あまりのマイペースぶりに「この人達このままでも本当に大丈夫かな?」と感じることさえあります。なんと病院で働いている人達も例外ではありません。何故、日本とアメリカでこんなに時間の流れが違うのか理由は未だにわかりませんが、彼らは自分の生活をとても大事にしているように思えます。しかしながら順天堂で「仕事はこうやるのだ!」と訓練された私は未だに馴染むことが出来ずに、ストレスを毎日感じています。順天堂のペースで仕事をしている私は同僚からは???といった目で見られています。でもここの生活にどっぷりと完全に浸ってしまったら、帰国後、浦島太郎のようになってしまい、社会復帰は困難になってしまうのだろうなーと注意しながら毎日を過ごしています。

街について:東京で生まれ育った私にとって、この街で生活することはとても新鮮です。この街はいたるところに公園があり、夏になると鮮やかな緑の木々が生茂り、緑の絨毯の芝生、五大湖へ流れていく美しい川、ここにはリスやうさぎや鹿といった動物もいます。冬はとても厳しいのですが、厳しい冬があるからこそ、夏の緑が映えるのでしょう。University of Michiganの高いレベルを保つ秘訣はこのように素晴らしい自然の中で生活することにより浮かんでくるさまざまな研究のアイデアなのかなとすら感じています。(University of Michiganは、医学部はもちろんのこと他学部でも常に全米の上位にランクし、アイビーリーグに匹敵する程の全米で1,2を競い合う州立大学だそうです)ここは勉強するのは最高の環境です。留学先が大都会でなくてよかった!もし、都会に留学していたら、一人身の私はいろんな事に誘惑されて仕事や勉強どころではなかったなと思います。

仕事について:さて肝心な仕事についてですが、University of Michigan, Section of Pediatric SurgeryのTeitelbaum教授の下で腸管免疫について勉強させて頂いています。Teitelbaum教授の専門は外科栄養、腸免疫、短腸症候群で、私は主に短腸症候群について研究しています。Teitelbaum教授の研究室は決して大きいとは言えませんが、その分ボスとの距離がとても近く、とてもよく面倒を見て下さいます。Teitelbaum教授からは臨床での問題点をどのように解決していき、それをScienceとして研究室に落とし込んでどのように考え研究し、最終的にはどうやって得られた結果を臨床にフィードバックしていくかということを学ばせて頂いています。この考え方を学ばせて頂いている事がこの留学の最大の魅力であり、最大の目的であると思っています。この考え方は基礎研究だけの事ではなく、今後、臨床医をやっていく上でも大いに役立つと感じ、この考え方を絶対習得して自分のモノにしてやろうと思っています。また幸いにもここでの仕事で幾つかの結果を得ることができ、APSAやDDWなどの大舞台で発表する機会にも恵まれました。

ここでの生活もだんだんと残りが少なくなってきました。あと、どれくらいの時間がここで残されているかはまだはっきりとは解りませんが、先輩方が築いた順天堂の名前を汚さないように毎日気合を入れて勝負していますので、今後とも何卒宜しくお願い致します。

Jun-2007