アイルランド留学記2010

(平成14年卒)土井 崇
National Children's Research Centre Our Lady's Children's Hospital Dublin, Ireland

アイルランドに来てから約2年半が経過しました。今年の夏は例年に無い穏やかな気候に恵まれ、大変有意義な生活を送らせて頂いております。
現在研究させていただいている2つのプロジェクトは、お陰様でどちらも順調に経過しております。アイルランド国立ダブリン大学にてPhDコースとして研究させて頂いている、カドミウム投与による鶏の臍帯ヘルニアモデルは、その責任遺伝子と蛋白の解明に力を注いで参りましたが、次第にその全容が少しずつ明らかになってきており、今年度末にはこちらでの学位論文を纏められるのではないかと思っています。これまでの大学での研究成果は、昨年の大阪での日本小児外科学会学術集会、グラーツで開かれたヨーロッパ小児外科学会及び英国小児外科学会(EUPSA&BAPS)で発表させて頂き、また基礎系学会としてフランスのアルルで開かれた、ヨーロッパ奇形学会(ETS)に初めて参加し、ここでは様々な分野の研究者との意見交換の中で、大変多くの貴重な刺激を受けて参りました。その後イタリアで開かれた国際小児外科研究会(PSR)に続き、カナダ小児外科学会(CAPS)、米国小児科学会(AAP)と大学での研究成果を発表させて頂き、今年に入ってマレーシアで開かれたアジア小児外科学会(AAPS)でも発表する機会を頂きました。また、ここダブリンのNational Children's Research CentreにてPrem教授とともに取り組ませて頂いている、ナイトロフェン投与によるラットのCDHモデルを用いた研究プロジェクトでは、主にCDHに関連して起こる肺低形成の病態解明と、レチノイン酸投与による肺成熟の促進の有効性に注目し、その研究を引き続き続けており、その成果は昨年のEUPSA&BAPSでPeter Paul Rickham賞の部門で発表する機会を得てから、続いてPSR、AAPSと発表させて頂く事ができ、今年のマレーシアでのAAPSでは幸運にも賞を授くことができました。今年の5月には米国小児外科学会(APSA)で発表する機会を頂き、このことが恐らくこの1年振り返って私にとって一番の収穫だったかもしれません。昨年のAPSAでは私のまだ未熟であった抄録が採択されなかったという苦い経験がありました。今年はそのリベンジ、という意味合いが個人的に強かったので、同じ内容の研究に取り組み、質を上げた抄録で採択された時にはとても嬉しかったのを覚えています。こうした貴重な経験を集中してさせて頂いていることによって、どういった内容の抄録が採択され、またどういった内容(質)では採択されないのかの見極めが少しずつ出来るようになってきたのでは、と思います。
また、私がここアイルランドに来てから一貫して心掛けている「論文を書くこと」に関しては、今年もその数を地道に増やすことができました。現在のところアイルランドに来てから、筆頭著者として12論文が出版され、現在3論文が採択済み出版待ちの状態です。私がここアイルランドで研究する31人目の日本人医師となりますが、これまでの優秀な先輩方に負けないよう、頑張っていきたいと考えております。
最後になりますが、この貴重な留学の機会を与えて下さった宮野名誉教授・山高教授を始め、同門会の諸先輩方、ならびに現在順天堂で私を支えてくださっている医局員の皆様に、あらためてこの場をお借りし、心からお礼を申し上げます。今後も引き続き、順天堂大学小児外科の代表として研究に励んで参りたいと思います。