留学体験記

矢﨑 悠太

2019年5月から2021年7月までのおよそ2年間、カナダ・トロントにあるThe Hospital for Sick Childrenへ留学をさせていただきました。

基礎研究のイロハもわからず、英語も決して得意ではなかった私にとって、この2年間は試練の連続でありました。もちろん辛いことばかりではなく、海外での生活を通して得られた友人や経験は何物にも変え難いものであると、胸を張っていえます。しかし世界中で巻き起こったCOVID-19によるパンデミックはカナダでも同様に大きな影響を与え、2020年3月にはトロント市が1回目のロックダウンとなりました。研究室は一時閉鎖、外出もままならず、せっかく形になり始めていた研究も一時的にストップせざるを得ませんでした。海外でステイホームを余儀なくされ、時間がどんどんと過ぎ、このまま何も結果を出せずに終わってしまうのではないかという焦燥感に、私の精神は自分でも想像していなかったほど追い込まれていきました。

それでも「やるしかない」と自分に言い聞かせ、限られた時間と環境の中でなんとか実験を続けていきました。少しずつ規制が緩和されたこともあり、壊死性腸炎モデルマウスを用いた幼若腸管機能の研究や腸管の虚血再灌流モデルマウスを用いた実験ではある程度の結果を得ることができ、一部は論文にするところまで漕ぎつけることができました。しかし、もっとやりたかった、もっとできたはずという思いは常に自分の中に燻り続けています。コロナを言い訳にしたくはありません。全ては自分の力不足、準備不足が原因なのでしょう。この悔しさと、今回の留学で経験した全てのことを糧に、これから小児外科医として臨床に研究に精進していきたいと考えています。

最後になりましたが、留学の機会を与えてくださった山髙教授をはじめ、同門会の諸先生方、ならびにさまざまな面でサポートしてくださった医局の皆様、そして何より海外での生活を支えてくれた家族にはこの場を借りて厚くお礼申し上げます。