小児外科・小児泌尿生殖器外科
トピックス
~ 子どもたちに、より安全・安心の手術を ~
順天堂医院(東京都文京区)小児外科・小児泌尿生殖器外科は1968年(昭和43年)4月、駿河敬次郎 初代教授(現:名誉教授)により、日本の医療機関の中で、初めての小児外科講座として誕生いたしました。二代目・宮野武 前教授(現:名誉教授)のもと、「患者さんの気持ちを考え、安全で確実な医療を提供する」ことをモットーに医療を提供してまいりました。
2006年8月よりその意志を引継ぎ、山高篤行主任教授のもと、小児外科学会認定指導医・専門医の12名を含む、合計23名のスタッフで日々診療にあたっております。
主任教授 山高篤行の治療方針
この子が自分の子供なら、
どのように診断し、いかなる手術を選択し、どのように術後管理を行うかを考えていく・・・
それが私の治療方針です。
赤ちゃんから中学生までのお子さまの、手術しなければ治らない病気を治療するのが小児外科・小児泌尿生殖器外科です。当科では、小児の手術を必要とする疾患で、腹部消化器外科、肝・胆・膵外科、泌尿・生殖器外科、頭頚部外科、肺・縦隔外科、体表外科など多岐にわたり、身体のほぼ全域を治療しております。2019年(令和元年)10月には、小児医療センターを新たに開設し、大学病院の特性を活かして、(1)成人領域の専門診療科との合同手術により安全で最先端の治療を提供し、(2)青年期以降のフォローアップもスムーズに行う体制を整備いたしました。
また、当科は、わが国で唯一、小児に対し 「ロボット支援手術」(*)を導入し、ダヴィンチCertificate取得医師4名を要する診療科です。ロボット支援手術実績は、胆道拡張症手術、腎盂形成術、前縦隔腫瘍切除などです。ロボット支援手術を用いることで、小児でも、開腹手術、すなわち外科医の手で行うクオリティと同等の運針・吻合を行うことができます。また、ロボット支援手術は、腹腔鏡・胸腔鏡手術と同様に低侵襲手術であり、大人に比べて体力のない子どもにこそ適応されるべきと考えます。開腹・開胸をしないため手術創も目立たないという点で、子どもにとって大変優しい手術といえます。
当科は、術後の痛みの軽減・早期回復に配慮した低侵襲外科治療において、国際的にも群を抜いた存在であり、小児外科の最先端治療の拠点として、国内外に知られております。
さらに排便障害を生じるヒルシュスプルング病においては、当科主任教授の山髙篤行が世界で初めてAnorectal line = Herrmann's lineからの粘膜剥離を提唱し、極めて良好な術後成績を得ております。本術式は2009年Journal of Pediatric surgeryやDiagnosis and Treatmentで発表し、現在、本邦はもとより、海外でもAnorectal lineから剥離を始める施設が増えております。本術式は著明な英語の教科書(Atlas of Pediatric Laparoscopy and Thoracoscopy)のヒルシュスプルング病のchapterにおいて山髙篤行が著者となり、手術ビデオ付きで紹介されており、ヒルシュスプルング病の良好な治療成績が世界から注目されております。
*ロボット支援手術
ロボット支援手術は、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使って行う手術です。患者の腹部に小さな穴を開けてカメラや手術器具を挿入する腹腔鏡手術を進化させたもので、より緻密で安全な手術が可能となり、従来の開腹手術などから急速にシフトが進んでいます。