外来診療

外来を初めて受診する患者さんへ

当院は「特定機能病院」として厚生労働省から承認された病院ですので、原則として他の医療機関からの紹介状(診療情報提供書)が必要です。診察を円滑に行うためにも、ご持参くださるようお願いいたします。
なお、紹介状をお持ちでない場合でも、受診していただくことは可能です。
患者さんご自身でご予約いただく場合
先生方にご予約いただく場合

対象患者さん

一般的な小児科疾患から専門医療を必要とする疾患、急性疾患から慢性疾患まであらゆる疾患に対応可能です。高度医療のみならず地域医療への貢献も念頭に置いた診療体制を心がけております。
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消化器グループ

炎症性腸疾患(IBD)(潰瘍性大腸炎、クローン病)

炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)からなる原因不明の慢性疾患であり、小児でも最近のその患者数が増えています。しかしこのIBDを内視鏡をしっかり行い、成長障害などの治療の副作用を考慮したうえで治療・管理できる施設は小児科ではほとんどありません。
専門でない小児科医あるいは小児科以外の診療科でフォローされているという方で、
 
  • 再燃を繰り返す
  • ステロイド薬やレミケードなどの生物学的製剤を良く使う
  • 背が伸びない

などが認められる場合は、是非、当科の消化器専門外来へご連絡下さい。
(代表:03-3813-3111 小児科外来:内線5480-83)

ヘリコバクター感染症(胃炎、胃・十二指腸潰瘍)

ヘリコバクターピロリ菌は、ヒトの胃粘膜に生息して胃炎、十二指腸潰瘍、胃癌などの原因になります。
小児でも10~20人ひとりは感染しており、貧血や慢性の腹痛の原因となることが知られていますが、ピロリ菌の感染を正確に診断し、治療が行える施設は小児科ではほとんどありません。
 
  • 家族に胃・十二指腸潰瘍や胃癌の人がいる
  • 慢性の腹痛や顔色不良などの貧血症状がある
  • 検査でピロリ菌陽性と診断された

などを認める場合は、是非、当科の消化器専門外来へご連絡下さい。
(代表:03-3813-3111 小児科外来:内線5480-83)

慢性便秘

子どもに認められる便秘は多くが成人期まで移行し、一生便秘に悩まされると言っても過言ではありません。 便秘が食欲不振や体重増加不良、さらには大腸がんの原因になることも分かっています。
 
  • 3日以上排便がないことが続く
  • 便が硬くよく出血する
  • 食欲不振やお腹の張り、腹部膨満を伴う

などを認める場合は、是非、清水教授の便秘外来を受診してください(月曜午後又は木曜午前)。
(代表:03-3813-3111 小児科外来:内線5480-83)
肝臓グループ

C型肝炎

C型肝炎は子どものうちに治療できます。当院では、小児に対するインターフェロン治療を積極的に行っています。

家族性膵炎・遺伝性膵炎

医療関係者の方へ
家族性膵炎の遺伝子変異検索が可能です。原因不明の膵炎をくり返す場合は、家族歴がなくてもこの検索が有用な場合があります。
詳細は小児科研究室までお問い合わせ下さい。
腎臓グループ

急性血液浄化療法

救急・集中治療医学の進歩に伴い、腎不全のみならず、その他の急性疾患や重症病態(敗血症性ショック・多臓器不全・代謝救急疾患等)に対しても積極的に行われるようになり、救命率の向上に寄与しています。当科でも、小児病院等でトレーニングを積んだ専門医師が新生児を含む小児に施行できる体制を敷いており、近年、徐々に施行例は増加しております。

腎生検

各種腎炎・難治性ネフローゼの組織診断のため、必要な患者さんに施行しており、治療方針の決定に生かしております。

各種画像検査(膀胱造影・シンチグラフィー・MRU等)

小児泌尿生殖器外科と連携し、各種腎泌尿器疾患に対する画像検査を積極的に行っております。
循環器グループ

心臓カテーテル検査・治療

手術適応決定や心肺機能精密検査の目的で行っております。新生児から施行可能で、先天性心疾患(複雑心奇形も可能)や川崎病の冠動脈病変などに対して行っております。
年間約100例施行しています。また、カテーテル治療も積極的に行っています。

心臓超音波検査

先天性心疾患(複雑心奇形も含む)、川崎病、心筋症等に対して行っております。通常の超音波以外に、最先端の機器を用いて立体的な画像を得る三次元超音波や、特殊な心機能検査も行っております。
心の発達グループ

様々な方法を用いた発達検査

心の発達グループでは、乳幼児期から思春期(概ね15歳以下)のお子様の心の発達や行動に関する問題を取り扱っています。「言葉が遅い」、「友達と上手く関われない」、「集団行動がとれない」、「落ち着きがない」、「学習の遅れがある」、「登校を嫌がる」、「不安やこだわりが強い」などの問題について、お子様の発達状況を踏まえて適切な治療や支援を児童精神・発達心理の研修を受けた医師が診療しています。

心の発達グループでは、乳幼児期から思春期(概ね15歳以下)のお子様の心の発達や行動に関する問題を取り扱っています。「言葉が遅い」、「友達と上手く関われない」、「集団行動がとれない」、「落ち着きがない」、「学習の遅れがある」、「登校を嫌がる」、「不安やこだわりが強い」などの問題について、お子様の発達状況を踏まえて適切な治療や支援を児童精神・発達心理の研修を受けた医師が診療しています。

研究領域では、各種検査(知能検査、視線計測、VEP検査、Fagan検査等)を用いて小児の心理・認知発達の特性把握や、早期診断、介入について検討をしています。(例:早産児における栄養と発達、発達障害の認知と社会性の発達について、小児心身症の心理社会的側面について、スタージ・ウェーバー症候群の行動情緒・認知発達について)また、国内ではほとんど行われていないグローバルスタンダードな検査であるベイリー乳幼児発達検査法も行っています。
発達外来は、完全予約制になります。受診を希望される際は、発達外来宛の診療情報提供書をご持参いただき、小児科初診外来を受診の上予約をお取りください。
神経グループ

新生児脳波

新生児脳波はリアルタイムの大脳の機能を反映するため、検体検査や画像検査より鋭敏に中枢神経に関する情報を得ることができます。新生児脳波の判読には一定の経験が必要ですが、当院では経験豊かな医師が新生児脳波を積極的に施行し、ハイリスク新生児の予後改善に努めています。

新生児発作

新生児発作は臨床症状と脳波所見との乖離(electro-clinical dissociation)が特徴であり、発作時脳波を施行しないと客観的な診断や治療効果判定ができません。当院では、新生児発作を疑った場合には脳波やaEEGを施行し、客観的な評価を行っています。また、これまでの知見をもとに、新生児発作の症状型分類(案)を作成しました。参考にしてください。

Amplitude-integrated EEG(aEEG)

aEEGは簡易な脳波モニタリングのためのデバイスで、新生児の脳機能モニタリングに普及しつつあります。当院ではいち早くaEEGを導入し、新生児の脳機能モニタリングや発作の診断・モニタリングに利用しています。また、aEEGは年長児の脳炎・脳症やてんかんのモニタリングにも有用です。aEEGを年長児にも適用し、客観的な脳機能モニタリングを取り入れた管理を行っています。

発作時ビデオ脳波同時記録

当院では、発作時ビデオ脳波同時記録を積極的に行い、てんかんを客観的に見て治療しています。発作時ビデオ脳波同時記録を行うと、発作型が予想と異なっていたり、発作と思っていたものが偽発作であると判明したりすることが、しばしばあります。こうした知見を重ねることで、適正なてんかん診療が可能になると考えています。

先進的MRI解析

放射線科と協力して、拡散テンソル画像、MRスペクトロスコピーのような先進的なMRI解析を行っています。
これらの画像解析の結果と疾患の病態や予後との関連を研究しながら、臨床への応用を検討しています。

外来のアメニティー

アンパンマンとその仲間たちが笑顔でお出迎えしています。
待合室にはプレイルームがあり、おもちゃや絵本などを用意しています。
外来アメニティー01
外来アメニティー04
外来アメニティー03

プレパレーション

採血やレントゲンなど特に緊張や不安の大きな方はスタッフまで声をかけて下さい。
ポッケちゃんが優しく説明をしてくれます。
またもしもしガイドブックを自由に閲覧できるのでご希望の方はスタッフに声をおかけ下さい。
プレイプレパレーション01
プレイプレパレーション02
プレパレーション

入院診療

病棟案内

乳児期以降の疾患の患者さんは1号館10階の小児医療センターに、新生児期の疾患の患者さんは1号館11階の周産期センターに入院しています。子どもに優しい医療をモットーにし、身体的ケアのみならず、精神的ケアへの工夫も大切にし、日々の診療を行っています。
 
ここでは10階の小児医療センターの様子をご紹介致します。
入院中のお子様や、ご家族の方々が少しでもリラックスし、治療に前向きになれるような環境を目標に、2000年から小児科医師と看護師、保育士、チャイルドライフスペシャリストや子ども療養支援士のスタッフが中心となり病棟アメニティ委員会を設置し、様々な活動を行っています。
そのいくつかの活動を写真含めご紹介します。

病棟のアメニティ

病棟環境の整備、装飾

エレベータ付近

エレベーターホール
エレベータを10階でおりると明るい照明とアンパンマンたちがお出迎え。 小児病棟は主に10階になります。
病棟入り口

病棟入り口
きょうだいやおともだちが面会できるスペースをご用意しています。
プレイルーム

プレイルーム2
子どもたちの発達段階にあわせたおもちゃやビデオ・絵本を用意しています。 またここでは、ミュージックセラピー「おうたのじかん」、アートセラピー、訪問学校・ボランティアによる集団活動を行っています。
家族休憩室

家族休憩室
入院中のお子様のご家族がいつでも使用することができます。
処置室

処置室検査などで使用される部屋です。子どもたちの緊張や不安を少しでも和らげ、またリラックスできる様な工夫をしています。
子どもたちの描いた壁画が優しく迎えてくれます。
授乳室

授乳室お母さんと赤ちゃんがお互いに、ゆったりとした気持ちで関わることができるような工夫をしています。
(11階B病棟GCU)

プレイプレパレーション

ポッケちゃん

プレイプレパレーション01
子どもたちに自分の体のことや、必要な検査や治療のことを説明する(プレパレーション)ために作ったお人形です。
*プレパレーションとは・・・検査や治療の前に、お子さんの年齢や発達に合わせてこれからどんなことが起きるのかを説明し心の準備をすることです。プレパレーションによってお子さんのがんばろうとする意欲を引き出します。
おなかの中には…

プレイプレパレーション02
ポッケちゃんのおなかのポッケにはいろいろな臓器が入っています。
このようなおもちゃを使って子どもたちの発達段階にあわせた病気、検査などの説明を行っています。実際にこのようなお人形を使って子どもたちがお医者さんごっこで遊べる機会を作っています。
キワニスドール

プレイプレパレーション03
*キワニスドールとは・・・検査や治療前のプレパレーションや処置後のメディカル・プレイ(処置を振り返るためのお医者さんごっこ)で使っています。

トータルケア

トータルケアとは、病院において子どもの病気を診るだけではなく、子どもたちに心の支援、教育支援、 家族支援などをすることで、子どもたちの生活をトータルでサポートしていこうという試みです。
当院では、入院中・外来通院中の子ども達の生活の質の向上を図るために、小児科医師、小児看護専門看護師、臨床心理士、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、子ども療育支援士、病棟保育士、ソーシャルワーカーなどの他職種の専門スタッフも協力して活動しています。

病棟での活動

以下の様な活動を行っています。
月~金には病棟で子ども療育支援士の渡邉さん、杉山さんがこども達の遊びの支援を行っています。
火曜日 午後 アートセラピー(現在休止中)
 
ミュージックセラピー「おうたのじかん」
 (音楽療法士の市田さんにより歌や楽器演奏など音楽を通して入院生活のQOL向上を目指す活動をプレイルームで行っています。)
 
学習のボランティア(現在休止中)
学童のお子さんを対象にお勉強のお手伝いをします。
木曜日(第1・3) 午後 読み聞かせ(現在休止中)
土曜日 午後 遊びのボランティア"まほうのランプ"による活動です。
4月~11月
プレイルームランチ(現在休止中)
プレイルームに集まって特別なお昼ごはん(ラーメン・おにぎりなど)をみんなで一緒に食べる会をしています。
訪問学級
入院しているため、入院前に通っていた学校で教育を受けられない児童・生徒のために、教員が訪問して教育を行う制度があります。順天堂医院では、東京都立北特別支援学校の教員が訪問しています。授業は週3回、ベッドサイドや学習室で個別に行いますが、集団活動も実施しています。
訪問学級を受けるためには北特別支援学校への転校手続きが必要となりますが、退院と同時に、簡単な手続きで元の学校に戻ることができます。
訪問学級への転入を希望される方は、主治医または病棟の看護師長、ソーシャルワーカーにご相談ください。

季節の行事

1月 もちつき
2月 豆まき
7月 七夕
8月 なつまつり
10月 チャイルドパーティ
12月 サンタ訪問(ドクターサンタ)

アメニティ便り

順天堂医院小児病棟では職員のボランティア活動として色々な取り組みが成されています。
病棟アメニティ委員会がスタッフにより設置されており、入院患児のQOL向上のために毎月委員会を設け、数多くの1年間における行事を計画・実行しています。毎月第2火曜日には「ピクニックランチ」と称して、栄養部の協力も得て、普段とは異なったランチメニューにするなど創意工夫しています(現在休止中)。「夏祭り」はB棟低層階の屋上庭園にて模擬店や屋台の雰囲気を取り入れ、医師や看護師が率先して子どもたちの相手をしたり、「チャイルドパーティー」では同様にアトリウムの開放空間を利用して、医師・看護師が普段見せない様相で演技をしたり踊りを披露したり、子どもたちに多くの笑顔を届けています。
 
外部ボランティアにおいては1994年より「絵の時間(現在休止中)」が導入され、1999年から入院患児を対象としたあそびのボランティア「まほうのランプ」が活動を始め、その他「読み聞かせ(現在休止中)」の活動も行っています。「まほうのランプ」は研修期間を設け、ボランティア教育システムもしっかりと構築されており、非常にレベルの高い活動となっています。感染症が流行る期間は職員との連携を取り、予防には万全を期しています。子どもたちは遊びの中で成長・発達することを常に念頭に置き、「入院をしていても楽しいことがあったね」という気持ちを子どもたちにご自宅まで持ち帰っていただけるように、小児病棟スタッフ一丸となって今後も努力邁進して参ります。
 
病棟アメニティー委員会 富田 理
夏祭り夏祭り
チャイルドパーティーチャイルドパーティー
まほうのランプ遊びのボランティア「まほうのランプ」
絵の時間絵の時間(現在休止中)

音楽療法

おうたのじかん
小児病棟では1995年から「おうたのじかん」と称して、音楽療法を行っています。活動は毎週火曜日の午後から小児病棟プレイルームにてグループセッションを、医師・看護師より依頼のあったお子さんには個人セッションとしてベットサイドを訪問して活動をしています。生活の場が家庭から病院へ移行する事、そしてお友達と遊べない事はお子さんにとって大きなストレスです。

グループセッションは子どもたちの友達作りの場のみならず同じ悩みを持つ親御さん同士の交流の機会作りの場ともなります。また長期入院の場合、グループセッションの中で活動に積極的に参加が出来るようになる事により、退院後の社会生活(幼稚園や小学校)への早期適応が出来ます。「心のケア」としては、緩和期にあるお子さんとご家族に最期まで楽しみを持ち続けられる大切な時間としてベットサイドで関わります。さらに親御さんの抱えるフラストレーションを解放するために、親御さんだけの個別音楽療法も行います。また、レスピレーター管理で意思の疎通が困難な状態であっても、ご家族と関われる時間として活動をしています。音とは直接的に「心」(五感)に響くものであり、言語では上手に表現できないお子さんでも「心の内なる声」を楽器や声を通して素直に感情表出ができます。セッションが終了した時に「楽しかった!!」と言いながら部屋に戻っていくお子さんの姿があり、その傍らには、わが子の笑顔を眺めて目を細めるご家族がいらっしゃいます。

気管切開をしているお子さんに、音楽(歌)を通して言葉に興味を持って貰い、スピーキングカニューラをつけ、初めて「ママ」と発した時のお母さんが大喜びをされた様子は今でも忘れる事が出来ません。病院に入院して、淋しい事や辛いこと、苦しい事が一杯あった中でも「楽しかった」という思い出を作って帰って頂きたいと願っております。

音楽療法士 市田幸子