ファブリー病fabry Disease

病因

ファブリー病は1898年に2人の皮膚科医(Johannes Fabry,ドイツ人とWilliam Anderson,イギリス人)によって初めて報告されました。
ファブリー病とは、遺伝子変異が原因で細胞内ライソゾーム中の加水分解酵素であるα-ガラクトシダーゼA(α-GAL)活性の欠損あるいは低下によって様々な症状が引き起こされる病気です。 細胞内でα-ガラクトシダーゼA酵素が欠損すると、体内の細胞内に不要な糖脂質「GL-3(グロボトリアオシルセラミド、別名セラミドトリヘキソシド:CTH)」が蓄積されるため、進行的な組織障害が起こり、多彩な臨床症状を呈します。

遺伝

X染色体優性遺伝とは
大日本住友製薬株式会社 健康情報サイト
「ファブリー病とは」 (監修 名古屋セントラル病院
ライソゾーム病センター・血液内科 坪井一哉先生)
からの転載

X染色体優性遺伝疾患です。

分類

症状などにより以下の3つの型に分類されています。

  1. 古典型(典型的な症状が出現するタイプ)
  2. 亜型(発症年齢が遅く症状が一部に限られる場合)
  3. ヘテロ接合体(女性患者、症状も様々)

症状

障害を受ける
臓器・細胞
症状
腎臓腎機能障害(蛋白尿)
心臓心肥大、不整脈、狭心症、弁膜症、高血圧症
神経四肢疼痛、聴覚低下、脳血管障害、うつ症状
角膜混濁
皮膚被角血管腫(下図)、低・無汗症
消化器胃腸障害
被角血管腫
被角血管腫
(当院にて通院加療中の患者さんより提供)

診断

ファブリー病に特徴的な各臓器の症状で気づくことが多いです。
血液もしくは尿中のα-ガラクトシダーゼA(α-GAL)活性を測定し、欠損または低下が認められれば確定診断となります。
障害が予想される臓器(皮膚・腎臓・心臓)のごく一部を採取して、異常があるかどうかを顕微鏡で確認することもあります。
女性の患者さんでは、酵素活性のみでは診断できない場合がありますので、血液や皮膚の細胞を使って、遺伝子診断を行うこともあります。

治療

  • 酵素補充療法:欠損もしくは活性の低下しているα-ガラクトシダーゼを製剤化した薬を2週間ごとに点滴で補充します。1回の投与にかかる時間は1~3時間です。
  • 対症療法:
    四肢疼痛→抗てんかん薬、ストレスや急激な温度変化を避ける
    蛋白尿→ACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、塩分・たんぱく質制限食、透析治療、腎移植
    心機能障害→強心薬、抗不整脈薬、利尿薬、ACE阻害薬やARB
    脳血管障害→抗血小板薬

日常生活の注意点

ファブリー病の疼痛発作は、体力の消耗、精神的なストレス、疲労、環境(温度や湿度)の急激な変化によって引き起こされることが多いといわれていますので、日頃からこのような発作因子をなるべく避けるようにしましょう。
ファブリー病は腎臓に障害をもたらす可能性がある疾患ですので、腎臓の機能に影響が出ていなくても、塩分やたんぱく質の取りすぎには注意しましょう。
ファブリー病では、呼吸器疾患との関連についても報告がありますので、喫煙により重症化する可能性があります。また、心臓や肺の機能を維持するために、喫煙はしないようにしましょう。

最後に

ファブリー病の症状・検査や治療を正しく理解し、生活環境を整え適切な治療を受けることによって、病気の進行を遅らせ、生活の質(Quality of Life : QOL)を改善することができます。
またファブリー病は、ゴーシェ病、ポンぺ病、ムコ多糖症などとともにライソゾーム病(リソソーム蓄積症)の一つであり、国の難病(特定疾患)に指定されています。患者さんの年齢を問わず、医療費助成制度が利用することができます。住居地の保健所に申請することが必要ですが、申請については各地域によって異なりますので、必ず住所地を管轄する保健所にご相談ください。

参考