泌尿器科

骨盤臓器脱はよくなる病気です

泌尿器科 日野 安見子

  • 堀江 重郎

    教授 堀江 重郎

骨盤内の臓器は、骨盤底と呼ばれる筋膜と靭帯で「ハンモック」状に支えられています。骨盤臓器脱とは、その「ハンモック」が緩くなるために起こる疾患です。膣から膀胱・子宮・直腸などが下がり、膣部の下垂感、股に何か挟まったような違和感、また尿失禁・排便困難などの症状が見られます。日本ではいまだ認知度の低い疾患ですが、実際の患者数は多く、米国の報告では11.1%の方が、80歳になるまでに骨盤臓器脱や尿失禁などに対する手術を受けるとされています。早くて40歳代から始まり、60歳以上に多い疾患です。症状の軽い方は漢方薬の服用や「骨盤底筋体操」が有効な場合もありますが、重度の場合は手術を選択することもあります。当科では、従来の膣式子宮全摘除術や膣壁縫縮術の他に、メッシュという補強材を膣の裏側に挿入し、骨盤の強靭な靭帯や筋膜に通して「ハンモックの再建」を担うTVM手術なども行っています。メッシュはポリプロピレンという繊維を編んだもので、外科手術にも使われ、体内の使用については安全が確認されています。これらの手術は臓器脱の種類や症状、患者さんの持病やご希望に応じて方法を選択おり、80歳代の患者さんも可能な限り手術を検討しています。骨盤臓器脱は治療をすれば良くなる病気です。治療により歩きやすくなることで、体力が回復し元気になる方が大勢いらっしゃいます。一人で悩まず、まずは外来担当医師にご相談ください。

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