耳鼻咽喉・頭頸科

耳鼻科疾患と睡眠時無呼吸症候群
~子どもから大人まで~

耳鼻咽喉・頭頸科 井下 綾子

耳鼻咽喉・頭頸科でみる睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome : SAS)は、鼻やのどが原因の閉塞性睡眠時無呼吸で、子どもから大人まで、すべての年齢層の方を専門にしています。人聞は本来、鼻で呼吸をするのが基本ですが、SASの患者さんは口呼吸が習慣となっていることが多く、耳鼻咽喉・頭頸科ではまず、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔彎曲症などによる鼻づまりの原因、そして扁桃腺などによるのどの閉塞がないかを確認します。必要に応じて、鼻咽腔ファイパ一、レントゲン、CT、鼻腔通気度検査、そして終夜ポリグラフ検査(polysomnography: PSG)という睡眠の検査を計画し、SASの重症度を評価します。手術により改善が見込める場合は、鼻やのどの手術をご提案します。

子どものSASは、耳鼻咽喉・頭頸科での治療が主体となります。子どもの1~6%にSASを認め、心身発育に様々な影響を及ぼすことが知られています。 睡眠中のいびき・無呼吸の他、おねしょ、寝相が悪い(座って寝ている)、陥没呼吸(前胸部が異常に凹む)などはSASの存在が疑われます。日中の症状として、集中力の低下、居眠り、落ち着きがない、イライラなどに現れることもあります。子どもは自ら症状を訴えることが難しいので、大人がこれらの徴候を把握することが大切です。小児のSASはアデノイド・扁桃肥大によることが多く、手術によって症状の改善が期待できます。手術を受けなくとも、鼻炎などの治療で鼻呼吸を獲得できるようになることで、SASが軽快することもあります。「寝る子は育つ」と言われますが、SASでは成長ホルモンの分泌が低下するために、身体発育に影響を及ぼすといわれています。

いびき・無呼吸、鼻づまり、そしてお子さまの睡眠にお困りの方がいらっしゃいましたら、睡眠・呼吸障害センターまでご相談ください。

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