作業療法とは

リハビリテーション室013

作業とは、日常生活活動(食事や更衣、移動など)、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれます。

作業療法では、疾病や障害を持ちながらも、みなさんそれぞれの「できるようになりたいこと」、「できる必要があること」、「できることが期待されていること」などを達成し、自分らしい生活が送れる様に、患者さん、ご家族や支援者、医療スタッフと作業療法士がその方の強みや問題点、目標を共有し、ともに解決できるようサポートしていきます。

当院の作業療法は、主に入院されている患者さんを対象に、医師からの処方に基づき実施します。

目標の立案

リハビリテーション室012

作業療法の「作業」とは、occupationの語源であるoccupyに由来します。Occupyとは「時間を占有する」ことを意味し、その方のlife(人生、生活、生きがい)において多くの時間を占める重要な活動を意味します。

寝ること、食べること、着替えや排泄といった日常生活動作はもちろんのこと、お子さんであれば遊ぶ事、学生であれば学業、成人であれば家事や仕事、そして趣味や余暇活動なども含まれます。

多くの「作業」の中から、その方にとって「したい作業」、「する必要がある作業」、ご家族や周りの人から「期待されている作業」などを明確にし、まずは目標の優先付けを行います。

病院内での生活の不自由や問題を解決していきながら、退院後の生活に向けての目標も明確にし、患者さんや周囲の支援者とともに協力して目標達成を目指していきます。
退院後の生活に向けて
①OT実施者のセルフケアに対するご希望例
・食事が食べられるようになりたい
・トイレで排泄ができるようになりたい
・着替えが一人でできるようになりたい など

②OT実施者の仕事に対するご希望例
・元の仕事に戻りたい
・自動車の運転がしたい
・買い物と料理ができるようになりたい など

③OT実施者の余暇活動に対するご希望例
・子供と公園に行って遊びたい
・映画を見に行きたい
・華道サークルに復帰したい など
リハビリテーション室015


評価内容

それぞれの目標を達成するために、身体機能・心身構造に加え、日常生活場面の評価や退院後の生活を踏まえた評価を必要に応じて行っていきます。 例)生活行為面談、身体機能評価、高次脳機能評価、家屋環境、職務内容評価など

アプローチや支援の方法

目標達成に向けて、作業療法士は、患者さんご本人やご家族・支援者と相談の上、問題を解決するための選択肢をご提案します。

アプローチや支援の方法

1)身体機能の改善
実際の生活場面や自宅を想定した繰り返し練習を通じて、 身体機能の改善を図ります。

2)環境や道具、サポートの調整
身体の状況に合わせて、ご自宅の環境調整の提案や 自助具の提案、スプリントの作成、 ご家族を含めた支援方法の検討や提案などを行っていきます。

3)具体的な目標の提案とプランニング
社会参加に向けた活動内容の検討、 就労支援評価とその引継ぎなどを行います。
当院での入院中に最終目標に達成しない場合には、 次の療養先や生活場所での支援者に向けて引継ぎを行います。
リハビリテーション室014

引継ぎ先の例

リハビリテーション病院、地域包括ケア病棟、デイケア、訪問リハビリテーション担当療法士、就労支援施設など

急性期医療が主となる大学病院において、life(人生、生活、生きがい)の再建に向けたオーダーメイドの支援が行えるよう、作業療法士が患者さんや支援者と協力しながら、リハビリテーションを行っていきます。