診療科・部門Department Information

整形外科

診療日

診療科紹介

当センター整形外科は成人期以降の外傷から加齢変性疾患まで運動器疾患全般を対象としています。よって小児の特殊な疾患以外は全て診察します。特に重点的に治療しているものとしては高齢者に多い3つの疾患が挙げられます。
1つ目は骨粗鬆症やそれに伴う背骨や足の付け根の骨折です。骨折に対する治療はもちろん、その原因である骨粗鬆症の治療も重要となります。
2つ目は変形性膝関節症、変形性股関節症などの下肢関節疾患です。痛みや関節機能の低下により歩行が障害されていきますので、適切な保存治療、手術加療により除痛と機能改善を目指します。
3つ目は腰部脊柱管狭窄症を中心とした脊椎疾患です。脊柱の変形や神経の圧迫により足腰の痛みが生じ、生活が著しく障害されますので適切な保存治療、高度な技術を駆使した手術加療が必要となります。
他にも手指・手関節周囲の骨折、腱・靱帯損傷、肩関節の痛み、関節リウマチなど幅広く対応しています。

専門外来

当センター整形外科では一般診察の他に専門診を設けています。

ひざ関節外来

黒澤尚名誉教授、金澤博明准教授の診察では変形性膝関節症の運動療法、人工関節手術から膝前十字靱帯損傷の再建手術といったスポーツ外傷まで幅広く診療しております。

手外科外来

岩瀬嘉志先任准教授の手外科外来では腱鞘炎、手の外傷、末梢神経疾患、関節症まで診療、手術を行っております。

脊椎診

宮川慶医師の脊椎診では椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、頚椎症、側弯症、後弯症などで生じた首・腰・手足の痛み、歩行の障害を病態や病期を考慮して加療しております。手術は体への負担を低減した低侵襲脊椎手術にも積極的に取り組んでいます(トピックスを参照してください)。

トピックス

当科では運動器の衰えや膝・腰の痛みに効果のあるサプリメントを探究しています。

研究にご参加いただける方を募集しています(下のお知らせを参照ください)。  

近隣のクリニックの先生の紹介で当センターの骨密度計測装置をご利用頂けるようになりました。

骨粗鬆症の治療を現在お近くのクリニックで行っている方、精度の高い骨密度計測をご希望の方で計測をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

脊椎手術の低侵襲化に取り組んでいます。

これまで脊椎手術は侵襲(体への負担)が大きいこと、成績不良例が散見されることが問題とされてきました。我々は成績向上に向け、的確に病態や病期を診断することはもちろんのこと、以下の3点を考慮して手術を行っています。
1つ目は年齢や抱えている病気、それぞれの生活様式、余命といった全身の状態。2つ目は骨強度(骨密度)や体のバランスといった脊椎全体の状態。3つ目は行われる手術の侵襲(体への負担)です。脊椎手術は元来侵襲の大きなものであり、治療には長い皮膚の切開と広範囲の筋肉の切り離し、大量の出血を伴うため術後疼痛に悩まされ、体は消耗し、リハビリには時間と労力がかかりました。もちろんこういった方法で立ち向わなくてはいけない病態は存在しますが、近年の脊椎外科手技や手術器具の進歩により、低侵襲化が可能になってきています。我々は合併症や術後疼痛の軽減、早い復帰、そして何よりも安全な手術を目指して低侵襲化を図り、前方・側方進入手術、顕微鏡下手術、経皮的な椎弓根スクリューを用いる脊椎固定術、低侵襲脊椎安定術(MISt)など最先端の手術を積極的に行っています(下の写真①~④は代表的な低侵襲脊椎手術)。
手術によりどの程度症状の改善が期待できるのか、手術による合併症、後遺症をいかに低減するかを念頭に取り組んでいますのでお気軽にご相談ください。

写真① 顕微鏡下脊椎手術

写真① 顕微鏡下脊椎手術(脊椎や周囲の筋肉にできるだけダメージを与えずに安全に神経の圧迫を解除できます。)

写真② 経皮的椎弓根スクリューを用いた低侵襲脊椎安定術(MISt)

写真② 経皮的椎弓根スクリューを用いた低侵襲脊椎安定術(MISt)(大きく背中を切らず筋肉を剥がさないで後方から脊椎を固定できます。)

写真③ 経皮的椎弓根スクリュー刺入時の皮膚切開創

写真③ 経皮的椎弓根スクリュー刺入時の皮膚切開創(皮下の筋肉も温存されます。)

写真④ 側方進入脊椎手術

写真④ 側方進入脊椎手術(特殊な機器を使うことで大きく切開しない前方脊椎手術が可能です。)

脊椎矯正手術に取り組んでいます。

近年の脊椎外科の進歩により、脊柱管狭窄や椎間板ヘルニアによる神経の圧迫から生じる痛みをとるための手術加療がより効果的に、より安全に、そしてより低侵襲に行えるようになりました。そして更なる進歩により頑固な腰痛や歩行の障害は神経の圧迫から来るものだけでなく、背骨の並びが乱れ、バランスが悪くなることからも生じてくることが分かってきました。よって、これら背骨の弯曲や配列の異常に対しては従来の神経除圧術や脊椎固定術では効果がなく、矯正することが必要となります。
矯正手術の方法にも様々な方法があり、背骨に切り込みを入れてずらすもの(骨切り、写真⑤)が良いのか、椎間板に操作を加えてずらすもの(写真⑥)が良いのかを見極めることが重要です。矯正手術となると一般的には大きな侵襲を伴いますのでここでも低侵襲化は取り組むべき課題となります。
当センターでも病態や重症度、患者様の状態を調べ、適応を吟味した上で脊椎矯正手術を行っています。

写真⑤ 骨切り術による姿勢の変化

写真⑤ 骨切り術による姿勢の変化(強い腰痛がなくなり、立つこと、歩くことができるようになりました。)

写真⑥ 側方から椎間板を切り離す低侵襲矯正固定術

写真⑥ 側方から椎間板を切り離す低侵襲矯正固定術(バランスを取り戻すことで症状が緩和されます。)

スタッフ紹介

黒澤 尚(くろさわ ひさし)
東京大学卒
順天堂大学医学部整形外科学 名誉教授

専門分野
膝・スポーツ整形外科
学会・資格
日本整形外科学会専門医・評議員
岩瀬 嘉志(いわせ よしゆき)
整形外科 科長
順天堂大学卒
順天堂大学医学部整形外科学 先任准教授

専門分野
手の外科
学会・資格
日本整形外科学会専門医、日本手外科学会専門医・代議員
日本整形外科学会運動器リハビリテーション医
金澤 博明(かなざわ ひろあき)
順天堂大学卒
順天堂大学医学部整形外科学 准教授

専門分野
膝関節、スポーツ整形外科、肩関節外科
学会・資格
日本整形外科学科専門医、日整会スポーツ専門医、日整会リウマチ専門医、日本体育協会スポーツドクター
小池 正人(こいけ まさと)
埼玉医科大学卒
順天堂大学医学部整形外科学 助教

専門分野
整形外科一般
学会・資格
日本整形外科学会専門医
名倉 奈々(なぐら なな)
日本医科大学卒
順天堂大学医学部整形外科学 助教

専門分野
整形外科一般
学会・資格
日本整形外科学会専門医
宮川 慶(みやがわ けい)
順天堂大学卒
順天堂大学医学部整形外科学 助手

専門分野
整形外科一般、脊椎脊髄疾患
 
古谷 洋之(ふるや ひろゆき)
専門分野
整形外科
学会・資格
日本整形外科学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医
 
尾崎 友(おざき ゆう)
専門分野
股関節、整形外科一般
学会・資格
日本整形外科学会専門医、股関節学会、骨折治療学会

診療実績

年間の脊椎手術件数

 頚椎・胸椎腰椎合計
平成26年度144256
平成27年度316798
平成28年度2692118

年間の人工関節手術件数

 人工膝関節置換術人工股関節置換術
平成26年度8012
平成27年度759
平成28年度6225

年間の全手術件数

 全手術
平成26年度277
平成27年度391
平成28年度439

専門外来のご紹介

「足腰外来」水曜日午前(担当:黒澤 尚)

どなたでも中高年以後は「足や腰が痛い、動けない、歩けない」といった下半身の痛みや弱体化が起こってきます。
それらの原因は、変形性膝関節症、腰椎椎間板症、腰部脊柱管狭窄症、坐骨神経痛、骨粗鬆症、胸腰椎圧迫骨折、あるいは老化による衰え、等々さまざまな運動器の衰えが挙げられます。

「足腰外来」ではその原因を血液検査、X線、MRI等、精査によって突き止め正しい治療法をお教えし、再び不自由なく動いたり、歩いたりできるように治療します。

足腰外来 図1

そのような病態の元には、中高年者の足腰の衰えがあります。したがって、治療法はその場しのぎの内服薬や注射は必要最小限にとどめ、原因に応じて痛くない方法で「脚上げ体操」(図1)や「つかまり足踏み体操」(図2)のような誰でも行えるリハビリ治療運動をやることによって患部の痛みはとれ、しかも徐々に足腰が強化されていく「運動療法」を中心におこなっていきます。これらの体操は外来で実地指導し、さらに、ご自宅で毎日行えるようにイラスト入りの解説書をお渡しします。
このような治療を行うことによって一旦弱っていた足腰が徐々に丈夫になり、通常の日常生活が再び行えるようになります。
どなたでも、「最近、足腰が弱ってきた、歩けなくなってきた」とお感じになったら、ぜひ「足腰外来」にご相談ください。
(受診を希望される方は前もって医事課予約係にお電話してください。)

足腰外来 図2

「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)外来」木曜日午前(担当:黒澤 尚)

骨格は体を支える大事な部分です。年をとってくると徐々に骨が弱くなってくる骨粗鬆症になりやすくなります。骨粗鬆症があっても特に痛みなどの症状がないために気づかないままのことが多くなります。しかし、骨が弱いままだと、ちょっと畳の上で尻もちをついただけで胸腰椎(きょうようつい)圧迫骨折という背骨がつぶれる骨折を起こしたり(図3)、あるいは玄関先で横に倒れて大腿骨頸部骨折という足の付け根を折る大けがをすることがあります。これらのけがは長期間の療養や手術を必要とする大きなけがで、これがきっかけで体力が低下し、寝たきりや介護となる原因に結びつきます。

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)外来

骨が弱くなっているかどうかは、背骨と足の付け根の骨の強さを正確に測るDEXA(デキサ)という検査(レントゲンに似た検査で15分で計れる)を行う必要があります。
この検査でもし骨粗鬆症あるいは骨量低下(骨粗鬆症の前段階)と診断されたらビスフォスフォネートという薬を週1錠づつ服用していただきます。この薬は以前はなかった画期的なお薬で、たとえ90歳の方でも飲んでいただければ徐々に骨が強くなってきます。
さらに、同時に当外来では足腰を徐々に強く丈夫にしていく運動(体操)や足元がふらつかない運動(体操)を実地指導します。さらにご自宅でも毎日行えるようにイラスト入りの解説書を差し上げます。
どなたでも、骨粗鬆症が心配の方、あるいはもう骨粗鬆症と診断された方は、ぜひお気軽に骨粗鬆症外来にご相談ください。

中高年の膝の痛み: 変形性ひざ関節症

黒澤 尚

1.変形性ひざ関節症とは

中高年のひざの痛みの原因はほとんどが変形性ひざ関節症です。ひざの上の骨と下の骨がこすれ合う表面を覆う軟骨(関節軟骨)が徐々にすり減ってくるために起こる病気です。変形性ひざ関節症は体質、年齢(50歳以上)、性(女性の方が男性より多い)、肥満(標準体重より4倍かかりやすくなる)、筋肉が弱さ、などでこの軟骨が徐々にすり減って行きます(下図)。高齢化している我が国では、現在患者さんの数は2000万人を超えています。
このような状態になると関節表面は滑らかではなくなり、ザラザラ、ゴツゴツとなり、動かすと互いに摩擦が生ずるようになり、これが原因でひざ関節に炎症(痛む、熱を持つ、腫れる、水がたまる、等)が生じてひざ関節症となるのです。

中高年の膝の痛み1

2.治療法について

ひざ関節症を原因からすっかり治してしまう方法は今のところありません。また、ひざ関節症は5年~10年と長い年月をかけて徐々に初期から中期、中期から末期へと進行してしまうこともあります。
しかし、適切な治療を行えば痛みはとれ、進行もせずにずっと平穏な日常生活を送ることは可能です。それにはひざ関節症は生活習慣病の一つですから、病院の治療とともに、自宅での生活の仕方、適切な運動、食事や自分で行う対処法が大変大事です。その中心となるのが運動(リハビリ)療法です。

1)運動(リハビリ)療法

運動と言ってももちろん、走ったり、屈伸したりする方法ではありません。穏やかに脚を上げたり、下ろしたり、痛くなく、誰でも簡単に行える方法です。この方法を行えば、まず2~3週間のうちにひざ関節症の痛みや腫れはとれていきます。その効果は抗炎症剤(痛み止め)や関節注射(ヒアルロン酸)などと同じかそれ以上であることは証明されています。そして、この運動療法を継続していけば徐々に下肢の筋肉や関節は強化されて、痛みが再発しにくくなる治療法です。NHKテレビの「ためしてガッテン」で黒澤が出演して「脚上げ体操」などを紹介しました。順天堂病院ではもう20年近く前から行っていて、多くのひざ関節症に悩む方々から感謝されている方法です。

中高年の膝の痛み2

関節症が進行してしまった末期関節症の方(O脚が著しい方)ではこの方法の有効性は低下します。それでも痛みは和らぎ、筋肉が強くなって脚がしっかりするなど、行って損はしない方法です。
当院外来で、黒澤が直接やり方をご指導し、やり方のパンフレットもお渡しします。
この方法を行えばもう、頻繁に通院してヒアルロン酸注射を続けたりしなくても済むようになります。

中高年の膝の痛み3

当院外来で、黒澤が直接やり方をご指導し、やり方のパンフレットもお渡しします。

この方法を行えばもう、頻繁に通院してヒアルロン酸注射を続けたりしなくても済むようになります。

2)手術について

中高年の膝の痛み4

ひざ関節症が進行してしまって、ひざがO(オー)脚に変形してしまい、近くのスーパーへの買い物も大変になった方には手術をお勧めします。手術は人工関節手術が最も確実な方法です。この方法によって痛みは確実にゼロになります。人工関節とはすり減った関節の表面を金属性の関節の形をしたもので置きかえる、虫歯の治療でいえば「さし歯」のような方法です。現在では、80歳を過ぎた方でも安全に行えます。手術後1週間以内に、手術したひざもついて歩き始めるようになります。入院はリハビリも入れて3週間です。当院では毎年60~80人の方にこの手術を行っています。