順天堂大学スポーツ健康科学部/大学院スポーツ健康科学研究科
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教授 和気 秀文

生理学

〔研究領域〕
呼吸循環生理学、神経科学
〔研究領域のキーワード〕
苦痛(負情動)、扁桃体、循環調節、自律神経、運動
〔目標・方法・内容等〕
 生理学というと、一見難しい学問分野に思われがちですが決してそのようなことはありません。体で起こっている当たり前の現象を、不思議に感じ、そのメカニズムを解明していこうというのが生理学です。体のことに興味さえあれば、だれでもが楽しく学べる学問です。
 平成27年にスタートしたゼミナールです。私もフレッシュな気持ちで学生さん達と一緒に新しい事を発見し、ワクワクしたいと思います。動物実験が中心となります。大学院へ進学希望の方、または生理学に興味をお持ちの方を歓迎いたします。可能な限り3年生から少しずつ実験に参加してもらいます。主な研究内容は次のとおりです。

1.高強度長時間運動はなぜ苦しいのだろう?
 運動競技成績を決める最大制限因子は「苦痛」感です。少し心理学的な話に聞こえますが、この苦痛感は脳の中でも扁桃体と呼ばれる場所で作られています。例えば扁桃体を破壊すると痛覚は感じてもそれが苦痛だと感じられなくなります。運動中にどのような刺激が扁桃体に作用し、苦痛感を引き起こしているか調べて行きます。また、扁桃体が運動時にあまり働かなければ、苦痛を感じず、もっと長く運動できるのではないか?という仮説も成り立ちます。そのようなことを研究して行きたいと思います。

2.運動中になぜ心拍数と血圧が上昇するのだろう?
 運動中に心拍数と血圧が上昇します。この理由は簡単そうで実際はかなり複雑です。精神的なストレス(これも扁桃体が関与)も関係していますが、実は運動の指令を作り出すところと、骨格筋からの信号が、血圧・心拍数の中枢(視床下部や脳幹)に働きかけて、血圧と心拍数を上昇させるのです。ちょっとマニアックですが、その機序の詳細を調べて行きます。

3.運動とセロトニン(気分が良くなる物質)の関係
 先ほど運動は苦痛をもたらすと言いましたが、これはあくまで長時間運動を行って疲れている状態の時です。逆に適度な運動中はハイ(幸福感を得る状態)になることがあります。これにはエンドルフィン(俗に快楽物質と言われている)やセロトニンと呼ばれる物質が関係しています。セロトニンは血圧を低下させる作用やうつ病予防など、体にとって有益な作用を引き起こす物質でもあります。健康科学の観点からセロトニンをはじめとした多くの脳内物質と運動の関係を調べて行きます。

 この他にも、高血圧に関する研究や性差に関する研究なども行っていきます。