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研究代表者 挨拶

急性冠症候群(ACS)患者における心房細動(AF)合併率は、海外から様々な報告があり、高齢者を対象とした研究では21%と高い合併率を示した報告も認めます。1-5) 本邦で実施された多施設共同研究であるCREDO-Kyotoのデータからは、急性心筋梗塞でPCIを施行した患者(12,716 例)におけるAF 合併率は,8%と報告されております。6)

冠動脈イベント二次予防を目的とする抗血小板療法と、心原性脳塞栓発症予防のための抗凝固療法の併用に関しては議論の余地があるところです。イベント予防を強化すれば出血のリスクが増加します。単剤より2剤併用、3剤併用では段階的に出血性リスクが上昇し、そのマネージメントが難しいとされています。

 

 

冠動脈ステント留置患者の抗血栓薬の管理については、各種ガイドライン等で整理されてきておりますが、AF合併ACS患者においては、その管理方法について、循環器専門医の中でもコンセンサスが得られておりません。

本研究はイベントリスクの高いAF合併ACS患者の最適な抗血栓療法を見出すための多施設共同観察研究であり、日本人のエビデンスを構築する上で大変重要な意味を持ちます。

 

 

是非、本研究にご協力をいただけますよう宜しくお願い致します。

STAR-ACS研究代表者

順天堂大学 代田浩之

REFERENCES

  1. Eldar M, Canetti M, Rotstein Z, et al. Circulation. 1998; 97: 965–970.
  2. Crenshaw BS, Ward SR, Granger CB, et al. J Am Coll Cardiol. 1997; 30: 406–413.
  3. Kinjo K, Sato H, Sato H, et al. Am J Cardiol. 2003; 92: 1150–1154.
  4. Goldberg RJ, Seeley D, Becker RC, et al. Am Heart J. 1990; 119: 996–1001.
  5. Rathore SS, Berger AK, Weinfurt KP, et al. Circulation. 2000; 101: 969–974.
  6. Goto K, Nakai K, Shizuta S, et al. Am J Cardiol. 2014; 114: 70–78.