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救急の現場にいち早く駆けつけ、患者さんの命を救う仕事 -フライトナース-

静岡病院救命救急センター
松尾 正人 看護師

救急の現場にいち早く駆けつけ、患者さんの命を救う仕事です。

順天堂大学医学部附属静岡病院救命救急センター
看護師 松尾 正人さん

山梨医科大学医学部看護学科を卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院での勤務を経て、順天堂大学医学部附属静岡病院へ入職。2年間、整形外科に勤務したのち、救命救急センターに配属。5年目の2009年からフライトナースとして活動し、現在は10年目を迎える。

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静岡病院のドクターヘリと格納庫

事故や急病の患者さんのもとにドクターヘリで駆けつけ、素早く処置をして病院に搬送する。それが、私たちフライトナースの仕事です。病棟内での勤務とは違い、ドクターヘリが出動する現場は、決して治療の環境が整っているわけではありません。一分一秒を争う緊張感のなか、限られた人員と医療器具で患者さんに適切な処置を行う必要があるのです。

例えば、複数の車を巻き込んだ交通事故の現場の場合。多数の負傷者を目の前にして「誰から最初に処置を行うべきか」という究極の判断を迫られることもあります。また、治療を行う医師とコミュニケーションをとりながら、患者さんの様子を観察したり、救急隊員や消防隊員に指示を出したりと、現場全体のコントロールを行うのも看護師の仕事。医師、看護師、救急隊員、消防隊員の全員の力を合わせて、すべての患者さんをスムーズに病院に搬送できたときは、安堵と同時に達成感を感じます。

そして、患者さんのご家族の精神面のケアをするのも、フライトナースの重要な役割。激しく興奮していたり、不安で泣き叫んでいたりすることもあるので、まずは優しく話しかけたり手を握ってあげたりして、気持ちを落ち着かせます。ご家族がヘリに同乗する際、興奮している状態だとヘリコプターの安全面にも関わってくるので、なるべく処置の様子を見せないよう、窓の外の景色を見てもらうことも。ナース自身が動揺してしまうとさらに心配をかけてしまったり、冷静な判断ができなくなったりしてしまうので、どんな環境でも動じない精神的な強さも必要です。

ドクターヘリの現場は、今まで看護師として培ってきた知識と経験のすべてが試される場所。肉体的にも精神的にもハードな場面が多いですが、そのぶん患者さんの命を救うことができたときには大きなやりがいを感じます。フライトナースは、医療職のなかでも特殊な仕事と言えるかもしれません。しかし、過酷な状況でも患者さんを助けたいという熱意がある人にはぜひ、めざしてほしいと思います。

『看護系大学・学部進学情報誌「NURSE+2019」(2019年3月発行:アローコーポレーション)』から転載

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