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多文化社会ハワイで広がった学びの視野
国際教養学部
新舟亜理沙さん、五日市佳甫さん、栗山桃香さん、橋本美幸さん、今井純子准教授、野村佑子助教
国際教養学部では、様々な海外研修プログラムを展開しております。アメリカ・ハワイ州オアフ島での研修は、ハワイの言語・文化・価値観、日系社会や平和構築の歴史、海洋・環境保全に関わる取り組みなどをめぐるフィールドスタディーとなっています。2025年3月の研修では、ハワイ大学マノア校第二言語学科で、言語教育に関わる学部授業にも参加しました。
今回は2025年3月に研修に参加した4名(2025年3月卒)を卒業前の座談会に迎え、企画をした今井純子准教授、野村佑子助教を交えてお話をお伺いしました。
「Aloha!」が生み出すホスピタリティ
今井純子准教授(以下、今井) 今回研修に参加した6名のうちの4名に研修のことをお伺いしたいのですが、まずは研修への参加を決めた動機を聞かせてください。
栗山桃香さん(以下、栗山) 高校生の時に行った1週間のフィリピン語学研修しか海外渡航の経験がなかったため、フィールドスタディーとしてのその他の地域への海外渡航にまず興味がありました。ハワイは日本とのつながりも深いと聞いていたので、学ぶことも多いと感じ参加しました。元々は観光リゾート地のイメージでしたが、意外にも、言語、文化、歴史など異なった側面を多く学ぶことができたので、大変有意義でした。
新舟亜理沙さん(以下、新舟) 何より最初は、海や山などの自然が綺麗でロケーションが魅力的でした。また、日系人が多いことに元々興味を持っていたため、どのような背景があるのかを直接知ることができるチャンスだと感じましたし、旅行ではなく研修として行くことに意味があると思い参加しました。
五日市佳甫さん(以下、五日市) もちろん日本人の観光地としての人気もありますたが、新舟さん同様、旅行で訪れることはできていても、研修だからこそ学ぶことができる文化や価値観はとても良い経験になると思いましたし、大学生だからこそできることでもあったので参加しました。
今井 五日市さんも新舟さんもアジア圏での留学経験もあるので、ハワイ独自の考え方や価値観は、また違ったご経験になったかと思います。
橋本美幸さん(以下、橋本) 4月から英語教員になるにあたり、リアルな英語で会話をする経験を少しでも多くしようと思い、参加させていただきました。
野村佑子助教(以下、野村) 言語教育学で有名なハワイ大学の第二言語学科の授業にがっつり参加するスケジュールでしたので、語学力も鍛えられましたね。
今井純子准教授
栗山桃香さん
新舟亜理沙さん
五日市佳甫さん
橋本美幸さん
野村佑子助教
今井 この2週間の間に大変だったことはありますか?
五日市 私は2日目の夜に体調を崩してしまったので、海外の病院にかかったことがまさかのハプニングでした。ハワイは日本人が多いこともあり、病院は日本語で対応をしていただき、あまり不自由なく受診できたので、観光地での急病人対応の体制など、違った目線で学ぶこともできました!(笑)
今井 すぐに回復してよかったですよね。栗山さんはいかがですか?
栗山 私はハワイ大学でアメリカ人の学生と一緒に、授業をすべて英語で受けることに最初は少し苦労しました。ただ、ローカルの学生も積極的にコミュニケーションをとってくれたので、短い期間でも英語力が向上したと思います。あとはプランテーションビレッジで案内してくださった日系3世の方と話したときに、自分の方が日本の文化を知らなかったことはとても驚きました。
今井 言語だけではなくその背景にある文化を知ることはとても大切ですよね。栗山さんは、今回第二言語学科が受け入れてくれた全ての授業に出席したと思いますが、印象に残っている授業はありますか?
栗山 教室の外に出て質問や調査をしていく授業(「第二言語習得とテクノロジー」)はとても面白かったです。ローカルの学生に私がインタビューをした際、1つの質問に対してしっかり個人の背景や実体験を付随して回答してくれることにも感銘を受けました。
今井 インタビューの仕方や回答についても今後社会人として役立つことは多そうですね。
新舟 私は英語を話す環境、アウトプットできる環境がとても刺激的でした。英語は私にとって憧れの言語ですので、少しでも多く会話をして、色々なことを試して吸収しようと出発前から思っていたのですが、現地についてからもより強く感じることができました。
野村 英語が伝わらなかったり、相手と通じ合えなかったりして、困ったことなどはありましたか。
新舟 全くありませんでしたし、「Aloha!」と毎回声をかけていただき、むしろ歓迎されているように感じたので、ホスピタリティについても勉強にもなりました。
今井 同じアメリカでも本土にいるとあまり感じられないと思いますし、来る者を拒まず歓迎するホスピタリティーは、アメリカ大陸とアジア・太平洋諸国の間に位置するハワイ独特の風土なのかもしれませんね。
橋本 以前ニュージーランドへ語学留学に行った際、ハワイに比べて留学生や日本人が多くないため、英語を話そうとしない人に対しての対応が厳しかった印象があります。しかし、ハワイは日本にルーツを持っている方や日本人観光客が多いこともあってか、単語だけや、文法や発音が拙い英語でも聞いてくれようとしてくれたことがとても温かくて感動しましたし、自分の英語の意識も変えていかなければと思いました。唯一大変だったのは朝の4時半にニワトリが鳴くくらいですかね…(笑)
一同 爆笑
今井 日常と自然の境界線がシームレスな生活もハワイ独特かもしれません!
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ハワイ大学マノア校のメインキャンパスで
今井 ハワイはピジンやクレオール、独特な英語を話す地域であり、そのような言語についての授業もハワイ大学で受けていただきましたがいかがでしたか?
栗山 学期中のひとコマのみの参加でしたが、「ハワイピジン・クレオール英語論」の授業でハワイルーツの先生がとても丁寧に補足説明もしてくださいましたし、何より先生がハワイのことを愛していることが伝わってきたからこそ、より解像度高く学ぶことができました。
今井 ハワイピジン・クレオールの授業はハワイ大学マノア校でしか履修することができないので、とても貴重なご経験だったと思います。
野村 他の授業では、どのようなことを学びましたか?
新舟 「多言語主義における社会言語学」の授業では、異文化コミュニケーションにおけるミスコミュニケーションについてなど、国際教養学部で学んできたことを再認識させられることが多かったですね。
今井 今回はほとんどが異文化コミュニケーション領域を選択している学生だったこともあり、言語教育学で著名な第二言語学科の全面的な協力により、言語、文化、コミュニケーションに関する正規授業への参加と学生交流会が実現しました。国際教養学部での学びや卒論と関連させて、学びを深められる機会が多かったですね。
橋本 英語教育学や教職課程に関連する話も多く、(特に「言語教育におけるプロフェッショナリズム」では、)学習成果をポートフォリオとしてまとめていく形式もあったので、国際教養学部をはじめ、日本でも同じような学びができると、より言語教育に興味関心が深まるのではないかとも感じました。また、現地の学生は様々なルーツを持った人が多く、日本ではなかなか出会えない方もいたので、グループワークをしていても色々な価値観に触れることができ、新鮮で楽しかったです。
栗山 日本での卒業制作は論文のような「文章」で残す表現が強くありますが、ポートフォリオという「視覚的」に残る形も素敵だと感じましたし、社会人になってからも作成できると利点が多いとも思いました。
今井 ポートフォリオをURLとして残すことで、自分がどのようなことを考えているのかを瞬時に伝えることができますし、転職などのPRでも活用できますから、是非皆さんも機会があったら作成してみるのもいいですね。
ハワイ大学第二言語学科で順天堂をプレゼン!
ハワイ大学第二言語学科のみなさんと
ルーツを知り、他者を理解する
今井 後半のフィールドスタディーについてはいかがでしたか。
栗山 パールハーバー(Pearl Harbor)では、第二次世界大戦の真珠湾攻撃について学ぶことができました。日本の広島や長崎では、人々の過去に焦点を当て、戦争の悲惨さを語るような展示が多いですが、パールハーバーでは攻撃を受けたことについても伝えているのですが、戦った方々の栄誉を称える展示方法も多く、日本との表現や展示の違いも学ぶことができました。
今井 今回2つの記念館を訪れましたが、戦艦アリゾナはまさしく日本の真珠湾攻撃によって沈没させられた“開戦”の象徴であり、戦艦ミズーリはポツダム宣言を受け、日本が降伏文書にサインをする調印式がされた“終戦”の象徴であり、第二次世界大戦の始まりと終わりの歴史を実感できるところですよね。
新舟 アリゾナメモリアルで戦死者の石碑を見た際、よりリアルに戦争というものを感じ、今までの人生で感じたことがないくらい、とても悲しく複雑な気持ちになりました。日本人観光客はあまりパールハーバーに行かないと聞いたのですが、私は行くべきだと思いますし、広島や長崎を世界中の人々に訪れてもらうように、日本人だからこそ訪れる価値がそこにはあると感じました。
五日市 私たちが学んできた歴史は日本視点であることを学んだこともそうですが、別視点から見る戦争があることや、そこに対する感情がまた異なることも学ぶことができました。台湾へ留学した際は戦争や歴史に触れる機会はあまりなかったので、語学以外のこと、特に母国である日本のことを異なる視点から学べる機会は大変貴重だと感じました。
今井 皆さんが感じたことは本当に大切なことです。ワイキキにある戦争博物館に行くと原爆のことや当時のアメリカの教科書なども飾られているので、また異なった角度で戦争を感じることもできますし、是非またハワイに行く機会があれば訪れてみてください。
『開戦』の象徴、戦艦アリゾナ記念館で真珠湾攻撃を知る
『終戦』の象徴、戦艦ミズーリ記念館で平和構築を学ぶ
今井 プランテーションビレッジやハワイ日系移民文化センターでも、日系ハワイ移民の歴史について学ぶことができたと思いますがいかがでしたか。
新舟 戦時中の日系人のアイデンティティの揺らぎについてはとても印象的でした。生まれも育ちもアメリカ(ハワイ)ではあるが、ルーツや見た目が日本人であるため、生き残るためにアメリカへの忠誠心を見せようと活動していたことや、当時日系だからというだけで受けた差別などを深く知ることができたのですが、私もタイと日本の2つのルーツがあるため、気持ちが重なる部分が多くありました。また、現在では4世、5世となる現地の方々が「1世の方々のおかげ」という思いを共通して強く持っていて、1世の方々が後世のために尽力した苦労なども知ることができ、終始感動していました。
五日市 戦時中、日本文化にかかわるすべてのものを捨てることになったところから、どのようにまた日本に関する文化等を再構築してきたのかを現地の方へ質問したのですが、「戦後自分自身のルーツに興味を持ち、調べることや語り継ぐ意欲を代々受け継いでいただいていたから」ということが学べましたし、今でも日本人がハワイで歓迎されるのはそのような方々の強い意志で成り立っているのだなとも思い、感動しました。
今井 「おかげさま」という気持ちは、現代の日常生活でもなかなか言葉に表れないと思いますし、日本でもほとんどなくなっているような盆踊りのお祭りもハワイでは毎年夏になると、どこかのコミュニティーで毎週やっているなど、古き良き文化を上手に伝承していることが素晴らしくもありますよね。
日系移民センターで移民の歴史を学ぶ
馴染みのある言葉も大切にされている
野村 プエルトリコなど、日本以外の国からの移民の歴史についても学ぶことがあったと思いますがいかがでしたか?
栗山 一つのレストランのメニューをとっても、アジア料理からメキシコ料理まで用意があり、ハワイならではの多文化・多民族混合の文化を学ぶことができました。
五日市 日本人の家の中で靴を脱ぐ文化を「それいいじゃん!」とハワイの日常生活でも伝えてくれるように、他の国の良いところを許容することや取り入れることに抵抗がない風土に、とても感銘を受けました。
栗山 その取り入れたものをさらに自分たちで良い方向でアレンジしていくことも素敵だなと思いました。
今井 本当に異なる文化の許容はハワイならではですし、グローバル市民として学ぶべきものはありますね。日本文化の受け入れの一つともいえ、現在では日系だけでなく地域のさまざまな人々が集まる「パロロ本願寺」も訪れましたがいかがでしたか?
栗山 住職さんに色々なお話をしていただきました。特に自己紹介のお話がとても印象的で、自分の地位や役職ではなく、育ってきた環境やルーツについて話すことで、人柄や深いところまで知ることができると仰っており、興味深く聞き入っていました。
今井 さまざまな背景の人々が行き来をするハワイのような場所では、ルーツを知ることで、その人の概念も知ることができるので、コミュニケーションは容易になりますよね。
プランテーションビレッジで日系4世のガイドさんと
パロロ本願寺
ハワイでの“リアルな時間”
今井 土曜の午後に行った農園での体験はいかがでしたか。栗山さんは草刈り上手で褒められていましたよね(笑)
栗山 幼少期に田舎で過ごしていたことが功を奏しました!(笑)
一同 爆笑
栗山 正直なところ、ワイキキの都心部にあるスーパーで売られている野菜や果実の品質は思っている以上に良いものではなかったのですが、訪れた農園では、本当に心と健康に良いものを育てていることを知り、食べるものが体を作り健康状態につながるのだと、自然や命の大切さを再認識できました。また、食べ物を作る努力や、より良いものを生み出すための知恵がそこにあることも学べました。
今井 たしかに、世界中から本土経由で輸入されてくる野菜を置く都心部のスーパーにくらべて、農園や農園近くのファーマーズマーケットの方が新鮮なものが安価で多く並べられていましたよね。ローカルの生活では入手するものによって購入するマーケットを変えることが当たり前で、これもまた文化の違いですよね。
橋本 見た目だけではなく、味も本当に美味しいものばかりでした。特に海外のお米は美味しくないイメージでしたが、日本で食べるものと同じクオリティであったことも驚きました。また、紹介していた料理のレパートリーもとても多く、本当に驚きました。
栗山 味付けも日本人好みに施されていて、その部分でもハワイの寛容さを感じることができました。
今井 プログラム以外の時間はどのように過ごしていましたか?
五日市 動物園に行ったのですが、飼育されている動物が日本では見ないようなものも多く、とても新鮮でした。
栗山 展示方法も日本と変わっていて、野生的に飼育されている種類もあり、開放感溢れていて感動しました。
新舟 アウラニ(ディズニーホテル)に朝食を食べに行きました。キャラクターグリーティングも兼ねて行ったのですが、何回もテーブルを訪れてくれたのがとても印象的でしたね!日本のパークのキャストの方々ももちろん素晴らしいのですが、ハワイらしい素敵なホスピタリティで接してくれたので、そういった意味では一風変わった雰囲気を味わうことができました。
橋本 今井先生たちと一緒にオアフ島の色々なスポットを回らせていただきました。海岸沿いの地域は、場所によって立ち並んでいるお店の種類や数も異なっていて、日本ではあまり見ることのない光景を訪れることができました。他にも、世界中を旅していて、数年に一度しかハワイの戻ることのできないハワイ伝統帆船の「ホクレア号」や、野生のウミガメがビーチにたくさんいるところも運よく遭遇することができ、感動的でした。
ハワイで得た学びを未来へ
今井 今回参加して気づいたことや自分自身にとって大きな変化となったことがあれば教えてください。
五日市 日本人なのに日本のことをあまり知らないなと痛感しました。知識が多ければ多いほど、色々な視点で楽しむことができることがわかったので、他の国視点での歴史や、他国と日本のかかわりなどをもっと知りたいと思いました。また、相手の文化をリスペクトするハワイの文化を目の当たりにすることができましたので、私もそのような姿勢ができるように精進したいです。
橋本 当初、観光地やリゾート地のイメージでしたが、ハワイと関わりの多い日本人だからこそ知らなければいけない歴史などが多くあり、今まで学んできた歴史がとても表面的なものだったと感じました。また、文化的にも友好的な方が多く、英語を学んで実践していくには最適な環境だと思ったので、今後は教員として多くの話を学生へ伝えていきたいと思いました。
栗山 ハワイでは日本とアメリカだけではなく様々な文化が交差していることが学べましたし、その交差するものも含めてハワイの文化ということも学ぶことができました。複言語を操る方も多かったので、自分自身も英語だけではなく、異なる言語を再度学ぼうと思える良い機会にもなりました。また、元々環境問題に興味もあったので、農園を訪れることでより環境保全や配慮などへの興味関心を深めることができました。
新舟 すべての体験が刺激的で、自分のエネルギーになりました。より多くの人と交流することや、文化を学ぶことへの意欲も高まりましたので、卒業後もこの経験を忘れずに、モチベーション高く、積極的に行動し続けようと思っています。
今井 最後に、学部生の後輩や受験生にメッセージがあればお願いします。
栗山 卒業を目前にした4年生で研修に参加をしましたが、2年生や3年生のうちにこのプログラムに参加していればなという思いもありました。1,2年生で学んだ英語を発揮する良い機会でもありますし、体験したことをもとに卒業論文のテーマを決めることもできると思うので、ハワイに限らず、早い段階で留学や海外フィールドスタディーへ行くことをお勧めします。
新舟 多くのチャンスは転がっていますし、アンテナを張っていればそのチャンスをつかむことはできると思います。少し難しいと感じることも、必ず乗り越えられると思いますので、是非多くのチャレンジをして、時間を有意義に使ってもらえたらうれしいです。
五日市 日本では日本語が公用語であり、いくら外国語を話していても、上達できる限度があると思います。なので、留学や研修など、その国の言葉で会話できる環境に身を置くことで、より実践的でリアルな言語が学ぶことができますので、是非そのような環境に多く身を置いてほしいと思います。
橋本 学生だからこそできることもありますし、特に大学生活では多くの時間があります。国際教養学部の学びを深めるためには異文化交流や理解し、コミュニケーションをとることも大切です。文化はその国で生活することが一番ですし、私も今回そのことをとても深く感じましたので、皆さんには多くの時間を留学など、貴重な体験ができる機会に使ってほしいです。
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