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- スポーツ健康科学部
“競技+α”の強みを持つ 順大ソフトボール部が追求する価値
強豪校がひしめく関東学生女子1部リーグで戦う、順天堂大学ソフトボール部。大学から競技を始めた部員もいる中、ソフトボール女子日本代表のアナリストとしても活躍する大田穂先生(スポーツ健康科学部准教授)の指揮のもと、データの活用、短期集中型の練習、部員の主体性と結束でチーム力を強化してきました。2026年のリーグ戦を前に、厳しい1部の戦いの中で感じたこと、順大ソフトボール部が持つ強みや価値について、監督の大田先生、前主将の柴田夏美さん(2025年度スポーツ健康科学部卒)、2026年度主将の飯田美樹さん(スポーツ健康科学部4年)に聞きました。
1部で戦い続ける厳しさを実感
順天堂大学ソフトボール部が戦う関東学生女子ソフトボール1部リーグは、2024年、2025年の大学チャンピオンを輩出したトップレベルのリーグです。順天堂大学ソフトボール部は、2025年春季リーグから1部に昇格。秋季リーグでは5戦全敗を喫したものの、入れ替え戦に勝利し、1部残留を決めました。
これまでにも、2018年春季リーグで初の1部昇格を果たし、2021年春季リーグでも再び1部に返り咲くなど、昇降格を経験しながら挑戦を続けてきました。
1部と2部の違いについて、柴田さんと飯田さんは「対戦相手のレベルが一気に上がり、勝つことの難しさがまったく違った」と振り返ります。
「厳しい試合、苦しい試合が多く『こんなに勝てないんだ』と思いました。1部はピッチャーのコントロールや球速、打球速度、技術など、あらゆる面で2部とは違いました。チーム力で戦わなければならないのに“個人戦”になってしまい、自分たちの本来の力を出し切れませんでした」(飯田さん)

主将・飯田美樹さん(スポーツ健康科学部4年)
反省点を踏まえ、個の強化に加えて、ポジションごとのミーティングなどで目標設定と反省を繰り返し、練習やトレーニングを改善。さらに、学年の垣根を超えたコミュニケーションで「何を目指すのか」「どんなチームにしたいか」の意思統一を図り、結束力を高めて課題をクリアしようと取り組んでいます。
ハイレベルな1部で戦い続けることの難しさは、「1部でほかの5校と対戦して初めて分かること」。監督の大田先生はそう言います。
「関東1部は非常にレベルが高いので、たとえば打球速度も『捕球できないとけがをする』と思うくらい速い。1部のチームとは過去に何度か“良い試合”ができたことはありますが、“良い試合”をしても結局勝たなければ残れない。そこで勝ち切る難しさは、1部で戦った学生たちが今身に染みて感じていると思います。やはり、今までの練習では足りない、本当に意識を変えないとやっていけない、と」(大田先生)

監督・大田穂准教授
一方で思うように力を発揮できない1部の厳しさを痛感しながらも、2024年の初出場に続き、2年連続で全日本大学選手権に出場したことは、着実な成長を実感する大きな成果にもなりました。
「勝つことの難しさを感じたからこそ、『勝ちにこだわりたい』という言葉が部員から自然に出るようになりました。後輩たちには力のある選手が増えてきているので、勝てるチームになってくれると期待しています」(柴田さん)

前主将・柴田夏美さん(2025年度スポーツ健康科学部卒/花王コスメ小田原フェニックス所属)
「勝ち」を目指す意識改革とデータ活用
ソフトボール競技の運動技能やパフォーマンス評価を専門とする大田先生は、ソフトボール日本代表チームのアナリストを務め、世界ランキング1位(2025年12月31日現在)の日本チームと選手たちを支えています。大田先生が順大ソフトボール部の監督に就任したのは、2022年春。それから4年間、指導者として、選手たちに意識改革を促してきました。
「力のある選手はいましたから、しっかり結果にこだわっていこう、と話をしました。時間はかかりましたが、少しずつ『勝ちを目指す』意識に変わってきましたね」(大田先生)

大田先生の就任と同時に入学した柴田さんは、「この4年間で勝ちを意識するようになり、それまで以上に真剣に競技する環境が整ってきました。部のイメージは変わったと思います」と、部の変化と成長を肌で感じています。飯田さんも「大学のサポートで、のびのび練習できる環境を整えてもらっています」と話します。夜間練習で使用するLEDライトが設置されるなど、学内の練習環境の充実も進んできました。
さらに、変わったのは意識だけではありません。2024年から部内にデータ班をつくり、さまざまな測定機器や試合の映像をもとにデータを収集・分析し、選手にフィードバックする取り組みも始まりました。これまで選手の感覚や主観に頼ることも多かった対戦相手の分析も、データを土台として行うことで精度が向上。こうしたデータの活用が、2024年インカレ初出場の原動力にもなりました。
「データ班は、データに興味がある学生を中心に活動しています。中には、日本代表のアナリストをしている私のもとでデータ活用を学びたい、と入部してきた学生もいるんです。『やってみたい』という学生がいて、実践できる環境があるのは、順大ならでは、スポ健ならではの強みだと感じますね」(大田先生)
ソフトボール“だけ”にはなってほしくない
実は順大のソフトボール部は、高校時代に全国大会を経験した選手から、大学で競技を始めた“初心者”まで多様なレベルの学生が混在する、関東1部リーグの中でも“異色”のチームです。
「各学年に数人は大学から始めた部員がいます。それでも、先輩方も私たちも『誰一人取りこぼさずに勝利を目指そう』という姿勢で頑張ってきました。昨年は、大学から競技を始めた私の同期が1部の試合に出場したんです。すごいですよね」(柴田さん)

さらに、ソフトボール部は学業を最優先し、平日の練習時間は授業終了後の17時以降で、1日2~3時間。「大学4年間を『ソフトボールだけ』の人になってほしくない」という大田先生の考えもあり、競技以外の活動にも時間を割けるよう、短時間で集中して取り組む方針を貫いています。
「大学を卒業して社会に出た時に、強みが2つあればオンリーワンになれる。オンリーワンになれたら社会で必要とされる人材になれる。学生には普段からそう話しています。部活も100%頑張って結果を求める。でも、強みがソフトボール一つだけにならないように、『学業でこんなことを学んだ』『ボランティアでこんな経験をした』と言えるようになってほしい。大学時代しかできないことに取り組んでほしい。それが“順天堂のソフトボール部”であることの価値になると私は思っています。アルバイト禁止のチームもありますが、うちはルールの範囲内であればOK。お金を稼ぐ大変さも、学生のうちに学んだ方がきっといいですよね」(大田先生)

学業を大切にする部員たちは、授業で学んだトレーニング理論やデータ測定・活用、チーム経営などのさまざまな知識を、部活動で日常的に実践しています。教職課程を履修している部員も多く、技術指導やチーム内での声掛けにも、教員を目指す学びが生かされています。
さらに昨年は学生の発案で、スポンサーの獲得やボールの寄付を募る差し入れプロジェクトなど、新たな取り組みにもチャレンジしました。男子蹴球部と共催している子ども向け競技体験教室『みらたの』や職業体験イベント『JJT』などを通して、ソフトボール競技の普及・発展に貢献しようという意識も生まれています。

シンガポールの子どもたちとソフトボール講習会の様子

職業体験イベント『JJT』の様子
「学外の方々に支援していただくことで、学内外でしっかり行動しようという責任感が部員の中で高まっています。学生から監督に『こんなことをやってみたい』と提案できるのも、今の順大ソフト部の強みだと思います。大田先生が『やってみなよ』と背中を押してくれるので、私たちも前向きに挑戦できます」(飯田さん)

“難しいこと”への挑戦が将来の糧に
「少なくとも関東1部では、大学から競技を始めた選手がいるのは順大ならではですし、練習時間も他大学より短い。そんなチームが強豪校に勝とうとしているわけですから、すごく難しいことに挑戦していると思うんです」。大田先生は部の現状を率直にそう語ります。「その難しいことを実現するには、全ての部員が“チームのために自分ができること”を明確に持ち、『私はこれをやる』と主体性を持って動くことが大切です。そのためにもいろいろな経験をして、アンテナを高く張ってほしい。それが部活動に生き、大学での学びに生き、将来社会人としてのベースになってくれると期待しています」(大田先生)
関東1部やインカレを経験した柴田さんの学年から、国内最上位リーグであるJD. LEAGUEのタカギ北九州ウォーターウェーブに加藤詩音さん、日本女子ソフトボールリーグの花王コスメ小田原に柴田さんが入団し、卒業後の活躍にも期待が膨らみます。

「大学の4年間で身に付けたコミュニケーション力やリーダーシップを強みに、まずはレギュラーを目指して頑張りたい。後輩たちには、のびのびと自分たちの良さを生かしてプレーし、インカレで勝てるチームになってほしい」と柴田さん。その言葉を受けて飯田さんは「リーグ戦やインカレで勝つために、チームの軸をしっかり持ちながら、後輩たちの意見も聞いて柔軟に変化できるチームにしていきたい。去年始めたスポンサーなどの挑戦も継続し、新しいことにも積極的に取り組んでみたいです」と意気込んでいます。

大学時代にしかできない学びを大切にしながら、強豪校と肩を並べ、全国トップクラスのリーグで戦う順大ソフトボール部。授業で得た知識や経験を競技に還元し、部員一人ひとりが主体的に役割を果たしながら、さらなる高みを目指す新たな1年が始まります。
