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2021.06.22 (TUE)

  • 順天堂大学について

学校法人として日本初のLEED-New Construction版・プラチナを取得

図1

学校法人順天堂(理事長:小川秀興)と鹿島建設株式会社(社長:押味至一)は、このほど、順天堂大学 新研究棟(文京区本郷 2020 年 9 月竣工)について、米国発でグローバルに普及する環境性能認証LEEDのNew Construction版において、国内の大学施設として初となるプラチナ認証を取得しました。本施設は、エコホスピタル・エコキャンパスの実現に向け、15年の歳月をかけて計画・実施してきた本郷・お茶の水キャンパスの再編事業の集大成として、世界の最先端施設のオープンラボをはじめ、明治39年(1906)に竣工した順天堂醫院旧本館のファサード(正面意匠)を再現した歴史記念館等、先端性と歴史性を併せ持った大学研究施設として整備されました。
また、新研究棟はCASBEE-建築(新築)第三者認証でもSランクの評価を取得しており(2020年10月)、米国・日本の最高位のダブル認証の取得は、世界的な環境建築として高い評価を受けたことになります。

1.認証取得のポイント

LEED- New Construction 版の認証取得では、設計終了時に設計審査、施工終了時に建設審査をそれぞれ受審します。審査の対象分野は、①持続可能な立地、②水効率、③エネルギー・大気、④資材・資源、⑤室内環境品質からなる主要 5 分野と①設計革新性、②地域特性への対応からなる連動 2 分野の計7分野です。
LEED の最大ポイント110点のうち、約3割の35ポイントがエネルギー関連と大きな比重を占めている一方で、その他の項目も多岐に渡り総合的な取り組みを必要とされます。プロジェクトの初期段階から各項目において「取得」「不確実」「非取得」等、取得ポイントを戦略的に分析し、プロジェクトスケジュールにおけるフェーズごとに定期的にレビューを行いながら進めました。その結果、審査項目をほぼ予定通りクリアし、プラチナ認証の取得〔83 点(110 点満点、80 点以上が認証取得)〕となりました。
新研究棟がプラチナレベルとして評価された主な点は、評価カテゴリーの中で最も高配点の、建物全体のエネルギー効率を評価する項目のポイントを獲得できたことにあります。外皮性能向上、屋上緑化、コジェネレーション、外気冷房、講堂居住域空調、高効率熱源システム(大温度差送水、1次・2次ポンプ変流量制御)、LED照明、太陽光発電などを採用。また、システム・制御の工夫として、照明の昼光制御、人感センサーによる照明・空調制御、ドラフトチャンバー風量制御なども採用しました。省エネルギーの評価としては「光熱費の削減量」において40%*を達成しています。
(*:ASHRAE90.1 に準拠したエネルギーシミュレーションソフトを使用した「標準ビル」に対する評価数値)

2.LEED/LEED- New Construction 版について

LEED とはLeadership in Energy and Environmental Designの略で、米国グリーンビルディング協議会(USGBC)が主宰する建築と敷地利用についての環境総合性能評価指標です。環境先進企業の環境ブランディングに欠かせない指標として認識・活用されています。近年、LEED 認証が国内でも普及しつつありますが(2020年までで累積149件)、New Construction 版は認証システムの中でもハードルが高く、日本において、最上位であるプラチナ認証取得6例のうち、大学施設としてはこれまで取得事例がありませんでした。

3.認証取得の経緯

新研究棟の前に建設された順天堂医院B棟(2016年4月竣工)がエコホスピタルである証として、LEED- New Construction-Healthcare 版・ゴールドを取得しています。世界最先端の国際的研究施設としてエコキャンパスを目指した新研究棟では計画初期段階よりLEED-New Construction 版、最高位のプラチナレベルを目標として掲げました。
全フロアーオープンラボ形式を取り入れた、国内施設で類を見ない革新的な大学研究施設として計画を進める中で、考え得る技術と対策を取り込むことで獲得可能なポイントを確実に積み上げプラチナレベルまで到達させました。その中でも評価ポイントの高いエネルギーパフォーマンス項目を当初より重要視し、最大19ポイント中15ポイントを取得出来たことが大きな要因に挙げられます。

4.今後の展開

LEED-New Construction 版・プラチナ取得に至るには大学が高い理想を掲げ、設計者・施工者、コンサルタントが高度な技術力を持つとともに、密に連携する必要がありました。
本認証の取得により、順天堂は世界最高位との認証を受けた大学研究施設である新研究棟の環境面のアドバンテージを活かして、世界最先端の医学研究・教育を推進することで医学の発展に寄与してまいります。また、鹿島建設では新研究棟でのノウハウと設計施工のメリットを生かして効果的・効率的な LEED 認証取得を提案することにより、案件受注に結び付けていく考えです。

5. 歴史ファサードについて

新研究棟の顔(ファサード)として再現された旧本館は当時、最先端の医院として1906年(明治39年)に建設されましたが、1923年(大正12年)の関東大震災で被災し、残念ながら焼失しました。本再編事業において順天堂がこれまで歩んできた歴史の象徴として当時の資料を基に計画・建設されたものです。
■LEED- New Construction 版・プラチナ認証取得の体制
大学 LEED 推進主体 - 順天堂大学キャンパス・ホスピタル再編事業事務局
総括 LEED 推進主体 – 鹿島建設株式会社
設計・施工関連項目検討 - 鹿島建設株式会社
LEED コンサル – 株式会社 ヴォンエルフ
コミッショニング‐ Commtech Asia Japan 株式会社
■順天堂大学 新研究棟の概要
建物名称:順天堂大学キャンパス・ホスピタル再編事業
順天堂大学 新研究棟
所 在 地:文京区本郷 2 丁目 2-5
発 注:学校法人 順天堂
プロジェクト・アーキテクト、基本設計、設計監理:株式会社日本設計
実施設計・施工:鹿島建設株式会社
規 模:建築面積 3,569 ㎡(既存716㎡含む)、
延床面積 37,640 ㎡(既存8,688㎡含む)
地下 2 階、地上 13 階 、高さ 66.65 m
竣 工:2020 年 9 月
LEED-New Construction 版・プラチナを取得した順天堂大学 新研究棟

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LEED-New Construction版・プラチナ

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CASBEE-建築(新築)Sランク

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SDGs_1

順天堂大学は、SDGsに取り組んでいます。